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農場を見に行く

 西部の旅行で協力する食堂でのメニューを考えている。そのためレオーニ氏に来てもらっている。

午後にシャンプの食堂で食べたメニューをレオーニ氏が再現した。だがずっと洗練されていた。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)


フェリス「レオーニさんの手にかかるともう高級料理みたいですね」

レオーニ「もう少し器具や材料があればもっと行けたんだけどね」


これだけでもすごいのに、まだ先があるんかい! と思う。


フェリス「どんな技法を使ったか説明してもらえますか?」


これは聞いたのがうまくなかったかもしれない。こちらが思うよりずっと多く使われている上に関連する知識が次々と披露される。だんだんわからなくなる。


ただリアナの方は興味深そうに聞いているし、彼女の部下もおとなしく聞いている。その意味ではいいのかもしれない。



 途中でよくわからなくなり、考え事をしていた。レオーニ氏は技量も卓越しているし、時間も十分にかけている。


その条件に恵まれない町の食堂でどれくらいできるかはわからない。その点はどうしたものかと思う。


レオーニ氏の説明がひと段落したところで、こちらから口を出す。


フェリス「あのー、それなんですが、街の食堂の親父さんがどこまでできますか。修行させるわけにもいかないし、次から次に注文が入るので忙しいですし」

レオーニ「うーん、そうだなあ」


あまり考えていないようだ。ただそれはそれでいいと思う。誰だって得意不得意がある。


さいわいリアナと部下がさっきの説明の要点をメモしておいてくれていた。こういうところがうちの商会の人間の利点だ。


それに基づいて話す。リアナはもちろん技量があるが、一緒に来ている部下はまだ基本的なことしかできないそうだ。


リアナ「これはできそう?」

部下「うーん、ちょっとやってみないと」


リアナ「こっちは?」

部下「こっちはできそうです」


そんな感じで絞っていく。多くはできないが、簡単にできることもあった。例えば肉に粉を振るとか、香草を振っておくことなどだ。


簡単にできることだとそのうちうちと協力関係にないよその食堂に漏れてしまうだろうが、それはそれでいい。


この地域の外食がレベルアップすれば旅行客も増えるかもしれない。


そんなわけでいきなり1日目にして少しだけレベルアップできた。パーティに助っ人を加えたら無敵のメンバーでお宝を見つけられたようなものだ。ただ同時にしっかり苦労させられているけれど。



 翌日は食堂で紹介された仕入れ先に行くことになった。このシャンプの町も山間部だが、仕入れ先はさらに上の方だ。


この辺は一応街道が通っているが、上の方になるともう山道となる。それで歩いて行くだけで1時間以上かかるらしい。


レオーニ氏は意気揚々と歩いて行く。リアナも元気だが、俺と部下君はへとへとだ。忙しい食堂の主人では体力があるのだと思う。



 1つ目の農場にたどり着く。農場の主人にあいさつしていろいろ作物を見せてもらう。まだ収穫前のトウモロコシなどが見えている。収穫したもので干してある香草なども見せてもらった。


レオーニ「これ、生のものはないの?」

主人「生のモノが欲しいんですか? あまり持ちませんよ」


レオーニ「ええ、見せてもらいたい」

主人が持ってくる。


レオーニ「ほら、乾物と生とそれぞれにおいをかいで噛んでみて」

そう言って俺たちに回す。確かにまったく異なる。


フェリス「これはどれくらい持つんですか?」

主人「まあ、3日というところだろうな」


フェリス「3日だといろいろ難しいですね」

レオーニ「いや、そんなこともないだろ。シャンプの町の食堂で使うなら生でもいいし、それに君の冷蔵流通でどうにかならないか」


なるほど、確かにそうだ。どうもこちらはチェーン店の発想が抜けないようだ。ここから1時間ほどの店なら十分使える。


それにもしかしたら冷蔵か冷凍でクルーズンまで運べるかもしれない。確かに現地まで来るのも悪くな

いと思う。


さらにレオーニ氏は面倒なことを言い出した。


レオーニ「じゃあ、雑穀とハーブと持って帰ろう」

フェリス「え? だってこれから別の農場に行くのに、これを持ち歩くのはつらいですよ」

レオーニ「一度町に戻っておいてくればいいじゃないか」

こともなげに言う。2番目の農場はここから言った方が近いのに。一度町に戻るとけっこうな遠回りになる。


ギフトはちょっと見せられないので、というより見せたら黙ってはくれるだろうがまたいいように使われそうなので使えない。結局彼の言う通り持って帰ることになる。


 帰り道にまたレオーニ氏が言う。

「今の季節じゃないものでもよさそうなものがあったね。また来たいね」

そう言うが関係者は大わらわだ。レストランの事務担当のマンロー氏も頭が痛いだろう。


 その日はまだ3つほど回る予定の農場がある。またレオーニさんが持ち帰ると言い出しかねないので、ロバを借りることにした。これならそうなっても荷台に積んでいけばいい。



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