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80. ツアーの対象者は誰?

 西部の旅行を終えて、シャンプからギフトのホールで帰った。とはいえ、実は毎日家には帰っている。もちろんクロと触れ合うためだ。


 シンディはまだ帰ってこないが、俺が毎日シャンプとの間をギフトで行き来して、向こうの家で回収すればいい。


そう言うわけでとりあえず、第1団は視察を終えることができた。次は第2団の役員たちに行ってもらえばいい。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)



 第2団の方は俺がギフトでシャンプに連れて行く手はあるが、そうしなかった。理由は旅行の視察だからだ。実際に行く経路を見ておいた方がいい。


何かと効率という人がいるが、効率というのは目指す目的次第で変わる。今回は第2団の旅行を終えることが目的ではなく旅行の視察が目的だ。


だから時間が短くなってからと言って視察が達成されない方法はダメだ。そう言うわけでクルーズンから馬車で行ってもらう。効率的という言葉に酔って目的を見失ってはならない。



 ただマルコが行ってしまうと商会のかじ取りの問題はある。俺はまだ子爵の件が片付いていないので表に出たくない。シンディはとても主人には向かない。本人だってそれはわかっている。


とりあえずジラルドにやってもらえばいい。何か大きな決断が必要なら俺が出ればいいだけのことだ。


ふだんから俺がいなくても回るようにしておいた方がいい。俺の方はなんだかんだとギフトを使ってまたシャンプあたりに出入りしていた。



 そうこうしているうちに第2団も帰ってきた。マルコがきちんと実務をしてくれて、現地での手配も整いつつあった。ただそこで第1団があまり十分に検討していないこともわかってきた。


「ツアーなんだけど、どういう人たちを対象にするの?」

「いや、それは西部に行きたい人だけど」

「それはそうなんだけど、その中で高齢者なのか若い人なのか、男性か女性かとか、裕福な人かそうでない人かとかはどう?」


そう言われてみるとそこまで気が言っていなかった。だいたい初めてのツアーだ。


「どうしたらいいかな?」

「何も考えていなかったね」

「対象によって内容が違うよね」

「宣伝する先も違うわ」

「なんで今まで気づかなかったんだろう?」

「うーん!?」


「とりあえず先のことを考えよう。だいたいあちこちと取引の相談もしてしまったし」

「そうね。とりあえずやってみることね」

「そんな場当たり的で大丈夫なの?」


「うーん。失敗しても大した損害はないと思うよ。人が死ぬとかならまずいけど」

「確かにうちの商会の規模から行ったら数十人くらいのツアーじゃ失敗してもどうってことないね」

「それでとりあえずやってみればいいと思っていたのかもしれない」


「初めは若い人向けにしようか」

「それはなんで?」

「病気したりとか死んだりとかそう言うことが少なそうだから」

「そうね」

「確かにそうだな」

「じゃあそれでいいか」


「男女はどちら対象にする?」

「それはあえて決めなくていいんじゃない?」

「まあね。両方行く旅行の方がふつうだよね」

「うーん。だけどそれでもあえて言えばどちらの方向けというのもありそうだけど」

「そうかな? まああんまり決めなくてもいいんじゃない?」

「じゃあ、とりあえず両方ということで」


「後は裕福な人向けか庶民向けかか」

「そりゃ裕福な人向けの方がたくさん稼げるんじゃない?」

「だけど庶民の方が多いから、募集したときたくさん来るかもしれないよ」

「でも庶民は旅行している暇あるか?」

「うーん。でもクルーズンはみんなそこそこだよね」

「よくよく考えると途中の宿とか飯屋とかあんまり金持ち向けの施設がなかったような」

「そういえばそうね」

「じゃあ、金持ち向けは難しいか」

「そうだな。庶民向けでいこうか」


 そんな相談をして、そう言う立場で第2団には視察に行ってもらうことになった。

俺はまた自宅にこもったり、ギフトで西部に行って外こもりしたりしていた。



 10日ほどして第2団も帰ってくる。


さすがに具体的な対象者像が固まっていたので、いろいろと詳細までの計画を作ってくれた。


それに合わせて店との算段なども整いつつあった。




 ところで西部地方にも人を置くことにした。さすがに人がいずにクルーズンから全部出張で行くのではコントロールが利かない。


何かイレギュラーがあったときに対応できないだろう。そこで西部地方の出身者で西部地方で勤務したい者を募り、希望者に赴任してもらうことになった。


クルーズンに比べて田舎で仕事もないから出てきたが、仕事があるなら向こうにいたいという人もいるのだ。


もちろんそう言うわけではなく仕事があっても都会の方がいいと言う人もいる。だから希望次第で勤務地を決めるのだ。


忠誠心試しや部下を飛ばす万能感の確認のために転勤をさせるような真似はしたくない。



 人を置くことについては微妙なところもある。旅行についてどれくらいの需要があるかはわからない。人数次第では赤字になってしまうかもしれない。


商売させる手もあるが協力してくれる商人のオルソンさんと競合にはしたくない。それでも宅配便とか郵便とかは必要だ。現地の人に依頼してもいいが、おいてもよさそうな気がする。


前にやっていた洗濯だったら競合にはならないだろう。そう言うわけでいろいろ整いつつあった。



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