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一行はグランルスで南に向かいモンブレビルへ


 クルーズンの西の方のツアーを企画している。各地の商人とわたりをつけて、今は役員で下見に行っている。


第1弾は俺とシンディとジラルドとリアナとカミロでいまはシャンプにいる。


(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)



 シャンプやグランルスの町は山間を流れる川の周りに作られた町だ。さほど広くはなく、観光というと山登りなどとなる。


いまは山登りのツアーは考えていない。そのうちシャンプにも人を置くようになったら、そう言うツアーも考えてもいいのかもしれない。



 シャンプは薬膳料理で有名らしい。そこでみんなで食べてみる。


「わりと素朴な味だね」

「肉がないと物足りないわ」

「これはこれでよいのではないでしょうか?」

「あまり見たことのない材料を使っているな」

「この辺だと地場の素材ばかりでしょうね」


「名物だし、ツアー客にも食べてもらう方がいいと思う」

「うーん、中年以降はいいけど、若い人はもっと肉があった方がいいんじゃない?」

「この辺ならイノシシが取れそうですけどね」

「あれはいろいろ料理しがいがあるな」

「安定的に取れるといいのですが」


「料理っていえばさ、(クルーズンの料理人でリアナの師匠の)レオーニさんはこれ食べたことあるのかな?」

「師匠かあ、あちこちで歩いているから食べたこともあるのかもな」


「なにか工夫の余地はありそう?」

「うーん、やってみないとわからないな」


「どう? やってみる?」

「しばらくこの町にいてもいい?」


「下見は俺たちだけでもできるから、5日くらいは大丈夫そうだよ」

「じゃあ、その間にこの町の料理をいろいろ習ってみるわ」


そういうわけでリアナだけしばらくこの町に残って料理の勉強をすることにした。俺たちはグランルスに行き、さらにそこから南に折れてモンブレビルまで行って戻ってくる。


それまで5日か6日かかりそうだ。さいわいこの町にも一つ家を確保してあるので、リアナにはそこで泊まってもらえばよさそうだ。



 シャンプからグランルスまでは半日もかからない。グランルスもさほど大きな町ではない。山際にあり、ついたときはまだ日も高かったので山に登ってみる。


さほど高い山でもないので、3時間もかからずに登ることができた。途中に古戦場があったりする。


ただここは道が狭いので馬車はなかなか難しそうだ。歩けないということになると、輿に載せてもらうしかない。そうするとけっこうな値段になりそうだ。裕福な人だけのオプションツアーにしかできそうにない。



 下山して街中ですっかり休む。この辺は温泉があるのがいい。5時間くらいの山歩きだったが、久々の運動で脚が張っている。


「気持ちがいいね」

「ええ、これだけでも名物になりそうですね」


温泉を観光の呼び水にしているのはこちらの世界ではあまり見たことがない。


こちらの世界は風呂の事情はあまりよくない。クラープ町にいたころは体を洗うのは行水が多かった。


クルーズン市でも事情は似ている。いちおう公衆浴場があるのだが、日常の温浴のためというよりはレジャーに近く、値段も健康ランドに近い。


だからお湯につかるとか浴びることについてはあまり身近でない。その辺で非日常性を出せればいいと思う。


薬機法による規制もないので、健康にいいイメージの広告もできそうだ。あまりに誇大広告だとまた信用問題に関わるからほどほどにするつもりだけれど。




 食べ物についてはこの辺は大麦を食べるようで、すいとんのようなものを食べた。また素朴な味だ。


どうせツアーをするなら、こういう料理の教室があってもいいかもしれない。


こっちもまた時間のある時にリアナに研究してもらえばいいように思う。




 そのあとはまた馬車に乗って、グランルスの南のモンブレビルを目指す。こちらも半日もあればいける。


モンブレビルは標高が高いためか、涼しい。避暑地にいいのかもしれない。もっともこちらは夏でも日本の都会ほど暑くはならない。


そうは言っても、こちらで育った人は夏になれば暑く感じるらしい。だから避暑地として売り込めるかもしれない。


旅行に出ていても何か商売モードになってしまう。もっとも商会の経費で来ているのだから、旅行と言っても仕事なのだけれど。



 なおジラルドは沿線の宿や食堂や馬車などの業者と具体的な交渉をしたり実務的なことをしてくれている。


カミロの方は地図やうちで前に出したガイドとにらめっこしながらいろいろ計画を立てている。


「ジラルド、だいたい必要な業者との交渉はまとまりそう?」

「いちおう30人くらいの規模なら対応できるとは思いますが、それ以上になるとどうなるかわかりません」


「そうかあ。もっと増えたらどうしよう」

「他の業者も探してみます。ただそちらはあまりないのかもしれません」


「もしないようなら、うちで出資して地元業者に規模を拡大してもらうか、それもダメならうちで店を出してもいい」

「ええ、その時は考えましょう」


そんな感じでツアーの計画は進んでいった。

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