西部地域の旅行に行ってみる
クルーズンより西側の方について取引を進めている。さほど商売をするつもりはないが、旅行ツアーと郵便は整備したい。
シャルキュの商人のオルソン氏の紹介もあり、シャンプやグランルスさらにそこから南に行ったモンブレビルあたりとは顔合わせができた。
(西)カンブルー ---- 峠 ---- グランルス ---- シャンプ ---- 峠 ---- シャルキュ ---- クルーズン(東)
それぞれの町の商人と詳細は詰めていないが、それぞれの町に駐在員を置く予定なので、そちらと話してもらえればいい。さらにしばらくの間はアランに統括をしてもらうつもりだ。
とりあえず旅行ツアーがどのようになるか内部の人間で試してみようかと思う。まずは少数で役員だけで行ってみればいい。
ただ役員全員が一緒に行動すると商会が動かなくなるし、万が一事故があった場合に商会の存続にかかわってしまう。だから少人数ずつ分けていくしかない。
特にこの前、俺が捕まったときにシンディの機転でマルコが代理になったため、マルコと俺は一緒には外に出ない方がよさそうだ。
どうしてもというなら、その代理も決めておかないといけない。
そんなわけで俺とシンディとジラルドとリアナとカミロで先に旅行に行くことにした。もう1組はマルコとアランとエミリとアーデルベルトにする。
いちおういろいろ考えて人選している。俺とアランが一番よく地理がわかっているので別々にする。どちらも男のみや女のみにしない。
ジラルドやマルコやアーデルベルトはわりと実務型でどちらかだけに偏らせない。そう言う人はいないと困るがそう言う人ばかりでも新味がないと思うのだ。
気まぐれで何か言いだしたりする人もいいかと思う。俺とかシンディとかリアナとかアランとかエミリは割とそんな感じだと思う。
実際に5人で旅行してみる。1日目はクルーズンからシャルキュまで1日の馬車道だ。丸1日かかかるわけでもない。人と一緒に行ってみるとやはり自分で行き来してきたのとは別の感想が出る。
「ここまでは特に何もありませんでしたね」
「そうなんだけど、退屈過ぎない?」
ジラルドにシンディが意見を言う。
「退屈?」
「だって何もないでしょ」
確かにその通りだ。出張だったら何もなく平穏な方がいいが、楽しみの旅で半日馬車に揺られているだけではあまりにつまらない。
「何か別の企画を組み込んだ方がいいでしょうか?」
クルーズンを朝に出るとシャルキュには2時頃に到着する。
「このままシャンプまでは行けないの?」
「うーん。夜にはつくけれど途中で日が落ちるからね。本当に1日移動になっちゃうよ」
「それじゃまずいの?」
「夜は動物も出るし、野盗も出るかもしれない。危なくて」
「動物や野盗くらいならよくあることじゃない?」
「商売の旅じゃなくて観光だからね。年寄りも来るだろうし。そう言うのはまずいよ」
「そうかあ。そうかもね」
午後についたらシャルキュで街を見てもいいかもしれない。それ以外にも途中の町を見る手もある。
「シャルキュまでは道が2つありますね。北回りの草原の道と南回りの街道です。北の道の方が近道ですが途中は何もありません。南回りだと途中にいくつか宿場町もあります。
北を取ってシャルキュで半日過ごすのもいいですし、南を取って途中の町を見て、シャルキュは夜だけの手もあります」
カミロはちゃんと本を調べてきたそうだ。街道沿いをきたが途中の町は見なかった。帰りに見ればいいかもしれない。そうか考えたら行きと帰りがあるから、北の道を通って帰りは南の道を通る手もある。
「じゃあ、帰りはちゃんと街道筋の町を見て帰ろう」
「そうしましょう。それはともかく、今日はシャルキュの町を見ましょう」
そう言ってシャルキュの町を見る。ここは山の入口で有名な寺院がある。その門前町のようになっている。寺院にも行ったりして途中の茶店や土産物屋などを見る。
「けっこう道は狭いわね」
そう言われるとそうだ。だいたい寺院は山の中腹にある。そう言うわけで参道も山道の上り坂になっている。大型の馬車は通りにくい。
大半の人には参道は歩いてもらう方がいい。周りの景色も楽しいし。どうしても足の悪い人だけ別の手を考えればよさそうだ。
「ねえ、少し休んでいかない?」
仕事ばかりでも退屈なので、参道の茶店に入ってみたい。
「いや別に疲れてないけど」
「だけどさ、お客さんたちはここらで休むわけだし、下見してもいいじゃん」
「そうね、そうしましょう」
そう言うわけでお茶とお菓子でゆっくりする。観光地価格で少し高いが、まあ雰囲気代だと思う。
それから寺院の方も見る。相変わらず神の像は本当の神に似ていない。
「フェリスって神様拝むとき、いつもしらけているわよね」
あ、ばれていたか。そりゃあの神をまじめに拝む気はしない。いちおう神通力はあるのは知っているのだけれど。




