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西側の町に目を向ける

王府の役人たちが調べている間、西側の町に目を向けます。

 子爵による拉致について、別の口実を設けて王府の役人が調べることになったが、直ちに何か効果があるわけではない。


だからまた拉致される不安はどうしても残る。攻撃する方は自分の好きな時に攻撃できるが、受ける方はいつ来るかわからない。


これではあまりに不安だ。やはり攻撃事態をしたものが損をするように仕組みを作らなくてはならない。



 それで結局家と商会の往復は馬車を使っている。しかもいつもシンディと同乗だ。別に彼女と同乗して息がつまるわけでもないけれど。


それにあまり目立つところに出入りするのも避けている。王府の人たちが何か解決の糸口を見つけてくれるのを待つしかない。


それまで何もしないのも退屈で、相変わらず気晴らしに子爵領とは反対側の西側の町に繰り出している。



 ちょっとばかり西側の方の町に詳しくなったので、またガイドブックなどを作らせている。前にクルーズンのガイドを作ったときと同じだ。


見どころや買い物先や飲食店や宿泊先などをまとめる。印刷や挿絵なども手慣れたものだ。われながら上出来だと思う。


自分で楽しいところはたいてい載せてあるし、それだけだと独りよがりになるので、他の人も連れて行って記事も整えた。



 満を持して売り出したが残念ながらあまり売れない。クルーズン市のガイドを作ったときはあまりの売れ行きに取り合いにまでなった。


こちらによこせと圧力もあったりして面倒で仕方なかったし、コピー業者まで現れてさんざんだったのだが、今回はさっぱりだ。むしろあれくらいの方がよかったのに。



 幹部たちとどうしたものかと相談する。

「せっかくガイドブック作ったのにあまり売れてないけど、どうしたものかな」

「確かにねえ、流行りがあるわけでもないし」

「なにか行くのが面倒だよね」


「俺がコンサートをすればファンが集まってきてくれる!」

アランはまだコンサートをしているのか。ファンが数人いるかもしれないが、それだけでは赤字だ。


「行ってみるとなかなかいいところなんですけどね」

「やはりもう少し登山客とか需要を調査した方がよさそうですね」


登山は登山でいいのだけれど、そうでなくても気軽に行ってもらいたい気もする。


「さっきマルコが行くのが面倒だって言っていたけど、そう?」

「行くの大変だよね」

「一回しか行ったことないや」

「そりゃ、フェリスはギフトがあるから簡単に行けるけど」

「馬車もけっこう不便だよね」

確かに山がちだし、人口もそれほどではないので、小さい馬車で便も少ない。


だいたい人気になるためには手軽さがないといけない。だが正直言ってクルーズンの西側は山がちで人に行き来も少なく、大都市はない。


だから馬車などの便も不便で乗り場もわかりにくいところにある。


いろいろ調べたり工夫が必要などというのは大半の人の意気をくじく。その時点で選択されなくなる。


だから人を呼びたければそれを取り除いてやればいい。つまり面倒を代行する。そこに商機がある。


そう言うわけで西側の町を巡るツアーをしてみることにした。


「馬車も宿も行先も全部こっちで用意するツアーを作ったらどうかな?」

「そんなの行きたいと思うかな?」

「確かに全部用意してくれるなら面倒はないね」

「あたしは思いもよらないことが起きていろいろ試す方が面白いと思うけど、ぜんぶ決まっている方がいい人もいるわ」

「親世代だとそう言う方が好きそうですね」

「よさそうな気もするけど、人集まりますかね?」

「人が集まらないようならするかしないかも含めて一から見直した方がいいかもね」


確かにあまり知られていない西側の山稜地帯だとふつうの素人みたいな人が好みそうにない。


「うーん、ただ何とかしてツアーというのはしてみたい」

「儲からないかもしれないし、損をするかもしれないのに?」


「うん。理由はいくつかある。まず上手く行けば儲かる」

「それはそうね」


「それからこういうものを求めている人もいる」

「それもたしかにそうね」


「それからものすごく大規模でしなければ損をしても大したことはない」

「それも正しいわ」


「もしお金が儲からなくてもうちの商会が何かをつかめればそれはそれで利益だよ」

「いちいちもっともね」


「それにさ、新しいことはしないといけないし、新しいことするときはいつもかけだよ」

「のるか、そるか?」


「うん。だから大損しなければいい」

「大損というと信用を無くすのも大損ですね」


「うん、そうだ。それは避けないといけない」

「何かいろいろ見えてきましたね」

「とりあえずやってみるのはいいと思う。大損はしないようにして」


「じゃあどうやったら大損しないかを考えないとね」

「できたらやっぱり儲けたい」

「やっぱりフェリスは商人ね」


「そりゃそうだよ。儲からないと商会だって維持できないし」

「わかったわ。一緒に考えましょう」


そう言うわけで西側の町を巡る観光ツアーを考えることになった。


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