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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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冷蔵流通ルート開放の相談

 水路を使った冷蔵流通ルートを作り、シーフードを輸入している。大人気になり供給が足りていない。足りない理由は氷魔法使いの不足にある。


だから氷魔法使いを養成していて、何とか成果が出てだんだん実際に育ちつつある。



 ところで実際に積荷を運搬する大型船は5日に1回だったが、小型船も使うことでもう少し回数を増やせることになった。


いままでの大型船の氷魔法使い同乗と異なり、小型船の運用では途中の川湊で氷の積み込みが必要になる。


そこではアランが何度も出張して上手く行くように整えてくれた。



 前世で何か問題があるときにちょっとしたアイディアとか工夫だけで解決できると思っている人がいたが、そんなはずはない。


もちろん今回は小型船を使うアイディアはあった。ただ上手く行きつつあるのはアランが面倒な調整をいろいろしてくれたからだ。


それに実は重要なこととして氷魔法使いが増えつつあることがある。小型船を使って調整をしたとしても氷魔法使いが少ないとうまく積み込みができない。


川湊に氷魔法使いが1人だと1日中何隻も船が来た時には相手することができない。基礎的な環境が整えずに小手先の対応だけで何とかしようとするのは間違いだ。


逆に氷魔法使いが多ければ、少しくらい調整がまずくても十分回すことができる。あまり思い付きみたいな工夫を重要視してはいけないのだ。


あー、また前世のろくでもない会社の馬鹿上司のことが思い浮かぶ。毎回毎回思い付きで指示しやがって。




 そんな愚痴はともかく、小型船でも運ぶようになってシーフードの輸入量はかなり増えてきた。


「最近は仕入れが多くなって助かるよ」

「毎日来るのもいいよね。前は次回までやきもきしていたもの」


「さすがのレオーニさんも毎日までは川湊に来れませんしね」


そうそうレオーニ氏は以前は大型船が来るたびに川湊に来てシーフードを回せと言ってきていた。供給も安定してきたし、それも止んだようだ。また珍しい食材でも来れば復活するのだろうけれど。




 うちの流通も安定してきたので、前から検討していた川湊でよその業者に冷蔵流通を開放する算段をつける。やり方としては2通りある。


まず契約してその間は川湊に船が来たら氷を必ず提供する方式だ。それから契約なしで立ち寄りで氷を提供する方式だ。


それぞれうちにも利用者にも利点と欠点がある。マルコと話になる。


「それぞれどんな感じになるの?」

「契約方式だと船が来たらうちは必ず氷を提供しなければならない」


「それは責任重大だな」

「向こうだって冷蔵しないといけないものを積んでいるだろうからね。さすがに事前通告なしにふだんより大量に要求された場合は断るだろうけれど。それ以外ではうちはどうしても提供することになる」


「どんなふうにすればいいんだ」

「いまはどの川湊も複数の氷魔法使いを置いているから、割と上手く行くだろうけど、場合によっては非番のものや隣町の魔法使いを呼ぶとかすることになるね。そうしたら手当も出す必要がある」


「もし供給できなかったらどうなるの?」

「それは賠償するしかないかな」


「結構つらい契約だね」

「だけどその代わり需要がある程度把握できるし、毎月決まった料金が収入として入ってくるから、こちらにとってもいいこともあるよ」



「なるほど、それでもう一つの立ち寄り提供の方はどうなの?」

「そちらは契約なしでも氷の供給が受けられるようにする」


「契約なしなら客の方も楽でいいね」

「もちろん値段は高くする。それにうちの都合が悪ければ提供を拒否することもありうる」


「まあいいことばかりじゃないよね。ところで提供を拒否することってあるの?」

「そりゃたまたま氷魔法使いがいないとか、うちや契約業者で大量に氷が必要で他に回せないこともあるから」


「なるほどね。確実に欲しかったら初めから契約しろということか」

「まあそうだね」



 また役員や従業員の意見を聞きつつ細部を詰める。ただどうしてもやってみないとわからないところもありうる。


特に需要に対してどれくらい氷魔法使いが確保できるかが問題になる。ただ需要が読めない。


「需要が読めないとやりにくいよね」


「初めはかなり高くしておけばいいと思う」

「あまり高いと使う人が来なくなるんじゃない」


「まだ氷魔法使いの数に不安があるからね。それに氷魔法使いが少ないから高いのもいいわけがつくよ」

「なるほど。でもサービスはじめて、誰も使わないんじゃ事業としては失敗になるよ」


「氷魔法使いが増えてきたら、それに従って値下げすると言っておけばいいよ」

「値下げすれば使う人も増えるか」


「それに安くし過ぎると利用者が多くなりすぎるかもしれない。それじゃこちらが対応しきれない。

それに後から値上げするのは、物価が上がっている時ならともかく、そうでないと評判が悪くなると思う」

「確かに後から値上げだと、元の価格をもとに交易の体制を作ってしまった商会からうらまれるかもしれないね」


それはあるかもしれない。ちょっと怖いな。やはりはじめは高めでいいような気がしてきた。


そんなわけで初めはけっこう高めの短期契約から始めることにした。別にアンセンを引き抜いた商会を見習ったわけではない。

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