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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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75. レオーニ氏シーフードに来襲

 クルーズンを中心の冷蔵流通を考えている。東はクラープ町、南は水路を下って港町マルポール市、北は水路をさかのぼりレーヌ市までたどり着いている。


西の方は大きい都市はないがいくつか町があり、そのうち開拓することになるだろう。



 北のレーヌ市までの3つの町についても交易と魔法塾について契約を進めた。南の方もいくつか町があり、アランに頼むことにした。


何となく役員たちも得意分野があって、アランは対外交渉、マルコは仕入れ、ジラルドは人事や総務、カミロは経営企画、リアナは飲食、アーデルベルトは財務などに分かれつつある。


それぞれなんとなく部下もついてきている。シンディも商会にいるがいまいちなじめないところがあるみたいで、少し心苦しい。



 ところでいろいろ手を広げ過ぎたからかシーフード関係だけでもすることが多すぎる。


マルポールから魚を持ってきたので、どのように使えるかいろいろ試してみる必要がある。


リアナは俺より先に帰ってきた魚についていろいろ研究を進めている。通常業務よりもできるだけ開発研究中心にしつつあるので対応しやすくなっている。


それにレストラン主人のレオーニ氏に渡してみたり、あるいは司教や領主に献上することもしないといけない。


それ以外にも流通関係はまだ仕事が残っているのだ。一つ一つ片付けていくしかない。


仕事に追われているが、何か達成すると少し気分が上向く。とはいえ、前世のブラックから逃れられたつもりが、またそうなりつつある気もする。経営者だから仕方ないけれど。





 ついでにレオーニ氏には魚の件を手紙で伝える。司教や領主に悪くなったものを出すわけにはいかず、品質を十分にチェックしてからだが、レオーニ氏にはそうする必要はない。


さっさと見せて欲しいだろうし、むしろチェックに加わってくれそうだ。


手紙に返信が来ると思っていたら、こちらのスケジュールも聞かずに直接来てしまった。

「やあ、知らせてくれてうれしいよ」


いやこっちは仕事があるんですけど。


「ちょっと私の方は仕事がありまして」

「魚はどこだい?」

「前に届いた分はうちでいろいろ試しています。次に届いたらすぐにお送りしますよ」

「君の商会で使う分はまだ残っているのかい?」


いろいろお世話になっているから仕方ないが、そうでなければ迷惑な人でしかない。いやお世話になっていても迷惑かもしれない。


「リアナが管理しているはずですが」

「そうか。じゃあリアナのところに行ってみるよ」


そう言ってリアナの仕事場に行ってしまった。勝手知ったる人の家という感じだ。


俺の方は面倒がなくていいが、リアナの方は大変な気もする。リアナ、すまん。




 リアナのキッチンは複数人で研究開発したり、部下に調理を教えたりするために少し広めにとっている。


こちらの仕事が終わったタイミングで部下に耳打ちされて、レオーニ氏がお待ちですと言われる。


行ってみるとフライだのムニエルだの見事な料理がいろいろと並んでいる。


「これはレオーニさんが?」

「うん。やっぱり海産物は面白いね」

「レオーニさんはシーフードは慣れていないと思っていました」

「修業時代にマルポールにしばらくいたこともあったんだよ」

「そうですか」

「うん、見聞が広がるからリアナやセストも少しは外に出すといい」

「ええ、考えてみます」


それは悪くないが、いまみたいに人が足りないとそう言うわけにもいかない。


もっとも儲かっているのだから、人を採って中の人が外にも行けるようにした方がいいのはわかる。


「それはそうと、冷めないうちにどうぞ」


うちの材料なんだが、そう言われると複雑だ。さらに複雑なのは、やはりおいしいのだ。


「おいしいですね」

「そうだろ。喜んでもらってうれしいよ」


いや素直に喜べないんだが。


「リアナにも作り方は教えておいたから」


こういうところは鷹揚だから困る。まるっきり料理が下手だったり、成果を独り占めするなら、敬して遠ざけるところなのだが、料理がうまい上にノウハウも教えてくれるから扱いが難しい。


「それでさ、少しくらい高くなってもいいから、いい材料回してほしい」


そりゃまあレオーニ氏の店は高級店だし、クルーズンでは珍しいシーフードを出せば評判にもなるだろう。


だけどこっちの都合というものもあるんだけどなあ。もっとも高く買ってくれるならそれはそれでありがたい。


けっきょくはレオーニ氏の店の事務部門のマンロー氏との交渉となった。彼は交渉事では手ごわいが、シーフードはしばらくうちの独占だけに強く出られる。


レオーニ氏は相当大量に買い付けたいようだったが、さすがにマンロー氏に止められていた。


それは彼の店だってなじんだ味を求める人は多いわけで、多少の新趣向を出すのはいいが、まるっきりシーフードの店になったら困るだろう。




 後でリアナから聞くと、キッチンに来たレオーニ氏はまるで子どものようだったということだ。


当たり前のように次から次に材料を出して片っ端から試す。もちろんリアナも助手の扱いだったという。


中途半端に調理したものはうちの飲食部門で全部食べてしまったという。まあもともとリアナの研究用の材料だから使う分にはいいのだけれど。


いちおう一つは懸案が片付いたのか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] レオーニ氏のフットワークの軽さが面白い。 シーフードに関しての領主や教会やらのお偉い方々との、面倒くさい対応も楽しみでわくわくしてますw
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