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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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レーヌでの冷蔵庫お披露目

 冷蔵庫の発明から、冷蔵流通経路の整備を図ることになり、青果商のブリュール氏の世話で北部の大都市レーヌに向かった。


レーヌでは冷蔵庫のお披露目会をすることになった。




 お披露目会は盛況で商業ギルドのマスターを始め、多くの商会の主人や番頭などたくさんの人が来てくれた。


ブリュール氏が複数の取引先にとにかく重要なものが出てくるからぜひ顔を出すようにと手紙を出してくれたらしい。


本当に感謝しかない。しかも現地で困らないように調理人などの手配もしてくれているという。




 そこでいつも通りの冷蔵庫のお披露目会を行う。


ただ肉と果物はクルーズンから船で持ってきたものだが、ジュースは今朝に家からホールで持ってきたものだ。


レーヌで調達したり冷やしたりできるかどうかわからなかったので、一応そうしておいたのだ。


後から考えたら到着から少し時間を取ってからお披露目会をすることにして、ゼリーなども持ってくればよかった。




「私はクルーズンで商会を営んでおりますシルヴェスタと申します」


挨拶するとさすがに子どもの姿なので、みな一様に驚き、ガヤガヤしている。


目配せでギルドマスターに確認している人もいるが、マスターのゼーマン氏はそれでいいと応える。


「本日は私どもが発明した冷蔵庫というものをご覧に入れようかと遠路駆けつけました。必ずや皆様のお気に召すものと思われます」


そこで木箱を見せる。


「こちらは上の部屋に氷を入れておくと、下の部屋の食品が冷やされる仕組みです。多くの食品は冷やしておくと痛みが進みにくくなります。実は肉はクルーズンからお持ちしました。どうぞお確かめください」


さすがにみんな怪訝な顔をしている。


「え? クルーズン?」

「4日間はかかるぞ」

「いや上げ下ろし2日あるからもっとだ」

「ちょっとだいじょうぶか? その肉」


「どうぞ近寄って、外見だけでもご覧ください。もしよろしければにおいなどもお確かめください」


そう言っても大半は近づいて来ないが、2人くらいが確かめに来た。そしてじっくり見まわして、においなども嗅いでいる。

初めに反応してくれる人というのはありがたい。


「特段異常はなさそうだな」

「ああ、特に悪くなっている様子はない」


そう言うと、もう数人が来てやはり確かめ始めた。


「確かに傷んでいる様子はないな」


そこで演説をぶつ。


「実は7日くらいの保存はすでにクルーズンで確認しております。なお3日たった肉については、クルーズン伯爵様にもお召し上がりいただきました。悪くはなっておりませんのでご安心してお確かめください」


こういう時に偉い人の名前を使わせてもらう。別に御用達と言っているわけでも嘘をついているわけでもないからいいだろう。


またがやがやして、半分くらいの人が確かめ始める。




 その辺でブリュール氏から取引先経由で手配してもらった料理人が肉を検分して焼き始める。

初めの一口は料理人も嫌だろうから、俺がまず口にする。


「まったく悪くなっていません」


続けて料理人も口にして、やはりまったく悪くなっていないことを確認する。

「大丈夫ですね」


そう言われると何人もが試食に来る。そして口々に問題ないと話す。


「実はクルーズンではすでに冷蔵庫をお披露目しております。またクルーズン東部の町クラープ町との間に冷蔵流通ルートも確立しました。

今回はこちらレーヌとクルーズンの間に冷蔵流通ルートを確立したく、皆様にお目にかけております」


そう言うと少し騒がしくなる。

「これは何かすごいことがありそうだ」

「うちも取引を考えた方がよさそうだ」

「これは流通が全く変わるぞ」


「次に冷蔵庫ですが、保存だけでなくある種の食品をよりおいしくすることもできます」

そういってジュースを配る。予想されたことだが、かなり好評だ。



「それでは最後に冷蔵庫を使った真髄をお目にかけましょう。こちらプラムです。プラムはクルーズン郊外での栽培が盛んです。

長持ちさせるためには未熟な物を収穫して途中で追熟させますが、それでもこちらにお持ちするころにはそろそろダメになってしまうものです。

しかし冷蔵庫に入れたものはこの通りです」

そういってプラムを配る。


「おお、これは初めてだ」

「南方に行ったときに食べましたが、あの時を思い出します」

「なるほど今まで食べられなかったものが手に入るようになるわけだ」

「ぜひ仕入れたいですな」


「私どもはクルーズン近郊の特産品をこちらレーヌにお持ちするとともに、レーヌ近郊の特産品をクルーズンに持って行くことを計画しております」


「素晴らしい計画だ」

「なんと壮大なことだ」

「販路が広がりますな」


「現在はまだ試験中ですが、ノウハウをためつつ、規模を広げて冷蔵流通ルートを確立する所存です」


「ぜひ後でゆっくりお話ししたい」

「うちともぜひ」

「こちらも取引をお願いしたい」


引っ張りだこになりそうになって、ギルドマスターのゼーマン氏が助け舟を出してくれる。


「シルヴェスタさんにはうちの会員の皆さんと順にお会いできる機会を設けたいと存じますが、いかがでしょうか?」

「ぜひお願いいたします」

「それでは今回のご訪問で翌日以降などご都合はいかがでしょうか?」

「はい明日でも結構です」


レーヌの街でも見て回ろうかと予定を空けておいたので明日にしてもらう。


翌日は会議室で15分くらいずつの面会になった。いろいろ提案され、前向きに検討することを伝える。


ただ冷蔵庫と氷魔法使いの手配が追い付かず、すぐには無理だということも伝える。あまり期待させ過ぎても申し訳ないからだ。


ただ水路を使うと思っていたより氷魔法使いの人数を減らすことができるようだ。思っていたよりは早く流通ルートを整備できそうだ。




 帰りの船の日となった。冷蔵庫は一台、こちらのギルドに置いていくことにした。


残りの9台の冷蔵庫にはブリュール氏の取引先から仕入れたレーヌの特産品を詰め、氷魔法使いが同乗してクルーズンに向かう。


こちらに置いた冷蔵庫は、レーヌに元からいる氷魔法使いが氷を作って冷やせばいいとのことだった。


俺はしばらくこちらに居残りすることにする。街を見物をするためとギフトで幹部たちを連れて来て見物してもらうためだ。


かなり実り多い旅になりそうだ。


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