表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
338/638

65. レーヌ到着

 冷蔵庫の発明からそれを使った流通ルート整備することになった。青果商のブリュール氏と相談し、水路を使って船で北に4日の大都市レーヌと交易することにする。


今ちょうどその実験中だ。交易船に冷蔵庫を載せ、実際にどうなるかを確かめている。同乗者は俺と氷魔法使いと代言人だ。




 実は俺も氷魔法は使えるのだが、氷を作るスピードが遅い。


だから10台あって間に合うかわからない。かかりきりになるのもつらいし、だいいち実験だ。


実際の条件に近いようにした方がいい。それで氷魔法使いにも乗ってもらった。




 実際に実験してみると、ふつうは朝に氷を入れる。だがそうすると10台いっせいに氷が必要になる。


時間を1時間ずつくらいずらして入れるように調整すると仕事が分散してやりやすいようだ。こういうのもやってみないとわからないところがある。


「前は決まった時間に入れていましたが、間隔さえ一定ならどの時間でもいいんですよね。だからずらして入れることにしました」

「それはそうですね」

「はい。仕事はならした方がよさそうです。特に船の上は仕事がないと暇なので、」

「ぜひその辺のことを記録しておいてください」

「はい、もちろん」


こうやってノウハウをためていく。


ブラックにしてもいけないが、ぜんぜん儲からないのも困る。


ただ少なくともしばらくは競合がいないので商品をかなり高く売ることもできて、ホワイトにできそうだ。




 時間をずらすことについてはどうやら事前に算段もあったようだ。


実は氷魔法使いが冷蔵庫の数からすると、氷魔法使いがもっと必要な計算だったが、1人で足りると反論された。


初日から時間をずらして氷を入れていたから、たぶん乗船の前の時点で気づいていて、あらかじめ入れる氷の量を変えていたと思われる。


なお1人だけなので、事故があったら俺がバックアップに入るしかない。それは金をかけてももう1人くらい連れて来てもよかったかもしれない。




 氷魔法使いが一定時間ごとに仕事をしているのに比べると代言人の方はやや手持無沙汰のようだ。


いちおうレーヌ市の法制度の資料など読んでいるそうだ。


ただ判例集とか役所の通達などが入手できるわけではないらしく、むこうで手探りでしないといけないところも多いとのことだ。



 途中何度か入港するが、いずれも小さい町だ。人と荷物の上げ下ろしだけでゆっくり滞在するわけではないという。


ちょっとした桟橋や船着き場と、それに付随した小さな建物があるくらいで、退屈な風景だ。



 そうこうして4日たって、実はちょくちょく家に帰ってクロを触っていたのだが、とにかくレーヌに到着した。氷魔法使いは下船前に冷蔵庫に氷を補充している。


もちろんクルーズンから出港してきたわけだが、大きな港への入港は初めてだ。途中の町は入港と言ってもバス停に停まったようなものにしか過ぎない。


それに比べると、レーヌは本当に入港という感じがするのだ。



 河港なので海の港のように前方を取り囲むように見えてきたわけではないのだが、それでも船着き場以外にいくつも建物が立ってにぎやかだ。


さらに屋台らしいものが並んでいる。


ブリュール氏は宿を手配してくれたが、まだ夕方に差し掛かったくらいで日が出ている。


せっかくなので、代言人と氷魔法使いの2人を誘って屋台街を歩く。



 港と言っても河川港なのでシーフードというわけでもない。串焼きの肉やら飲み物やらを楽しむ。


ただやはり大都市だけあって、周囲からいろいろ流入し、華やかだ。


2人は成人していてエールなども飲んでいる。未成年の俺が飲んでも捕まるわけでもないが、特別好

きというわけでもないので遠慮する。


日が暮れてきたのでブリュール氏が手配してくれた宿に向かう。冷蔵庫はやはりブリュール氏の手配で、商業ギルドに送るとのことだった。


とは言え、また夜にホールでこっそり帰ってクロをモフモフしてきた。一日のお勤めのようなものだ。


そもそも神すらあがめる至高の存在だ。一通りお勤めが終わると、翌朝寝過ごすと困るので、宿に戻って就寝する。


クロはまた神かマルコとよろしくするのだろうか。




翌朝は、やはりブリュール氏の手配で商業ギルドに向かう。何から何まで用意周到だ。

氷魔法使いは一緒に来て氷を補充し、代言人は特許の申請に領府に向かった。


ギルドにはギルドマスター以下の幹部と、いくつかの商会の主人や番頭などが来ていた。

さっそくギルドマスターにあいさつする。


「はじめまして、クルーズンから来ましたシルヴェスタ商会の商会長を務めておりますフェリス・シルヴェスタと申します」


ギルドマスターは戸惑っている。


「いや、これは失礼した。話には聞いていましたが、本当に未成年でいらっしゃる。いや大したものです。

私はこのレーヌの商業ギルドのマスターのゼーマンと申します。以後お見知りおきを」


クルーズンではもう俺が子どもの姿でも慣れてしまい、誰もそういうものと納得しているが、よその街ではそれは通用しないらしい。


それはそうかもしれない。


とにかく冷蔵庫のお披露目会を始める。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ