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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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出先からホールで家に帰ると侵入者

 冷蔵庫を使った流通から、ブリュール氏の勧めで水路を使った交易を始めることにした。まずは北方のレーヌと交易する。とりあえずは実験から開始する。


 なおレーヌには俺が行くことになっている。他の幹部も行きたがったが、俺が行ってホールで連れて行けばいいと断った。


ただ後から思うのは、仕事から離れる時間というのももしかしたら必要なのかもしれないことだ。


ともかく俺が行くのだが、船の中でもホールで家に戻ることを考えていた。クロと4日も離れるというのも考えたくない。




 そこでギフトのホールについての実験がある。実はずいぶん前にしてあったのだ。


神からギフトでもらったホールはどこからでも壁に向かって入ると、クロの前に行ける。そして1日以内なら、クロのところから元の場所にも戻れる。


問題は壁が移動したときだ。船室の壁や床に向かってホールに入ったとして、クロの元に行けるのはいい。ただ船が動いた時にどこに戻るかだ。


もし戻ったときに川の真ん中に出されたら困る。たぶん壁などに入るのでそこに戻ると思われるが、実験してみないといけない。



 実験したのはまだ村にいたころだ。小さな湖にみんなの共用の小舟があった。そこで誰もいないときに実験したのだ。


小舟のついた岸に石で目印をつけておく。そこで小舟の底をホールの目標としてクロのところに行く。歩いて湖に戻り、舟を移動して別の岸につける。


そこでもまた別の印をつける。また歩いてクロのところに戻り、今度はホールで元の場所に戻る。そうするとホールで戻った先は元の岸でなく、後の岸にある小舟だった。


おそらくホールはその入った壁にくっついているものと思われる。



 これはだいたい予想がついていた。


実はこの世界も惑星は恒星の周りをまわっている。それはまあ、神が大世界のフォーマットをそのまま使ったというからそんなものだろう。


だからもしホールが空間に固定されていたとしたら、クロのところに行って、数秒でも後に元の場所に戻ったら、宇宙空間に放り出されてしまう。


それではホールなど自殺魔法になってしまう。いままでさんざん使えてきたわけでそんなことはあるまいとは思っていた。


とは言え、実験はしておくべきだ。川だの海だのに放り出されても困るので、何度か実験を繰り返して確信を得ていたのだ。



 なおついでに言うと壁が壊れたときはホールはなくなるようだった。それも実験してみたのだ。


板に向かってホールを作り、クロの元に行く。


そして歩いていたの場所に戻り、板を割ってしまい、またクロのところから戻ろうとしたところ、戻ることができなった。


それはそれでもっともだと思うし、だいいち身の安全がはかれていい。



 なんとなく商売が忙しくて冒険はしなくなってしまったが、ダンジョンの大ボスからホールで逃げて、時間がたってからこっそり戻って攻撃しようと考えていたことがある。


もちろん上手く行くこともあるだろうが、ボスが暴れて壁を壊したら、また歩いてそこまでたどり着かないといけなくなるようだ。


当面行くことはなさそうだが、シンディはしょっちゅう冒険したいと言ってきている。




 舟運の船について夜は港につけて泊まるのかもしれないと聞いてみたが、たいていの場合は船員が交代して夜通し進むようだ。


もちろん積み下ろしや人の乗り降りで途中寄港もあるが、それでもすぐに出発してしまうことが多いらしい。


舟運も複数あって速さを競っているらしいからそうなるのかもしれない。




 そして実際の予定日となる。冷蔵庫は少し大きめのものを10台積むことになった。


俺と氷魔法使い1人と特許事務所の代言人1人で行く。


それぞれ一等船室を予約する。代言人はうちの商会持ち、後の2室は合弁からの費用だ。




 船旅でどうせ宿泊代は発生するのだが、クロに会わないなどということはあり得ない。


よくよく考えているとあのアホと同レベルになってきたかもしれない。


神に近づくとなれば教会の坊さんたちは法悦を感じるかもしれないが、実態はこんなものだ。




 ただ氷魔法使いと代言人にはホールのことは言っていない。


個室にしたのはそうしておけば、いなかったとしてもデッキで外の空気を吸っていたとでも言い訳すればいい。


この船は輸送用だが旅客も載せていて食堂や娯楽室もあるのだ。


夜になって就寝の時間となり、皆それぞれの個室に入る。


照明がろうそくの明かり程度しかないので、俺の部屋をのぞきに来る者もいそうにない。


そこでさっそくホールでクルーズンの家に帰る。




 ところがホールで家に帰るとなんと俺の部屋に人がいる。


光魔法で明かりをつけてみると、マルコだった。


物を盗むような人でないことはよくわかっている。俺の下着をというのも考えにくい。


「なんでここにいるのかな?」


マルコは何か目が泳いでいる。

「い、いや、実はクロを触りたくて」


何かやましいところがあるようだ。どうも本当のことを言っている風でない。目が泳いでいる。


彼とクロとの関係については、セレル村にいたころからよくかまっていた。



「こやつは、よく猫吸いしておるぞ」

神が俺に告げ口をする。なお神の声はマルコには聞こえていない。


そういえば、マルコは前にも猫吸いをしていた覚えがある。すっかり依存になってしまったわけか。


目が泳いで辞去するマルコにはいどうぞとばかりにクロを勧める。クロも嫌がっていない。


マルコはたまらず、猫吸いを始めた。




 しかしまあこの年にもなると、いやどの年かわからないが、見られたくないものだって部屋にあるのでかってに入られても困るのだけれど。


かといってクロは自分のいたいところにいるべきで、マルコが触りたいからと言って出すわけにもいかない。


どうしたものかと困ってしまった。またそのうち考えよう。

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