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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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冷蔵についてブリュール氏と魔法学校との交渉

 冷蔵庫の発明からそれを使った流通経路の整備となり、クラープ町から農産物などを輸入した。ただ、いまのところ冷蔵庫を使ったものは高級品となる。


そこで高級店を作らざるを得なくなる。正直言うと前世でそういうものと縁遠かったため、センスがよくわからなかった。


役員たちの意見でチラシも包装紙も凝ったデザインのものにする。さいわい好評で迎えられ、売り上げもかなり上がるようになった。




 こういう風に上手く行くと、クルーズンの西方のクラープ町だけでなく、南北や東についても輸入を考えるべきだった。


「あの赤字だった事業がずいぶん上手く行っているな」

「みんな高級品には飢えていたみたいね」

「あの店のおかげでうちの商会の格まで上がっているみたいだよ」

「でもこのままだと早晩まねされそうだよね」

「その前に差をつけておきたいな」

「それなんだけど、クルーズンは東西よりむしろ大きい道のある南北の方が輸入が多いんだよね。だから規模を増やすならそちらに向かわないといけないと思うよ」

 


 そういってもうちでは南北方面からの輸出入の取扱いがない。クラープ町からの輸入ばかりで、他のところからの輸入はまだなのだ。


いまから始めるにしても、すぐには大きくすることは難しそうだ。むしろ誰かと組むのがいいのだろう。そこですぐに思い浮かぶのは青果商のブリュール氏だった。



 さっそくブリュール氏に相談する。


「こんにちは」

「どうもシルヴェスタさん。今日は何の御用で?」

「実は冷蔵庫を使った流通についてご相談したいのです」

「あれではすっかりお株を奪われましたな」

「申し訳ありません。そこで今度は協力をお願いしたいのです」

「ほう。何ですかな」

「実は先日作った高級品の店の売り上げがよいので、南北や西側からも輸入がしたく、ご協力願えないかということなんです」

「はあ、なるほど、それは私どもにとっても興味深いことですが」

「ええ、もちろん合弁を考えております。こちらは冷蔵品流通のノウハウを、そちらからは輸入についてのご経験を、それを合わせようとこういう考えです」

「なるほど、ぜひ前向きに検討させてください」


それで帰ったが、さいわい日本の役所の言葉とは違ったようで合弁が進むことになった。




 そうなれば、これまで以上に魔法使いの養成が必要になる。


おそらくブリュール氏が単独でできない理由もそこにありそうだ。


いままでは社内で養成していたが、それでは足りそうにない。


クルーズンには魔法学校があり、そこに相談に行く。




 あらかじめ手紙で知らせておいて、面会に行く。


「はじめまして、シルヴェスタ商会の商会長をしておりますシルヴェスタと申します」

「はじめまして、魔法学校の校長のブラントでございます」


「本日はお手紙でも知らせましたが、氷魔法使いの養成についてお願いしたいと存じます」

「はあ、氷魔法はあまり需要がなかったものでうちとしても手薄なところですが」


「実は先日開発した冷蔵庫に氷魔法が必須になっております。そこで氷魔法の魔法使いを多数雇いたいと思っているところです。そこで養成をお願いしたいと」

「なるほど」


「それだけでなく、氷魔法についても従来のものだけでなく、新たな展開ができないか、考えております。

「と申しますと?」


「従来の氷魔法は、例えばこういう広い場所に水の容器を持ってきて水を入れて上から凍らせていくような形でした。

ところがこれだと氷を切って、冷蔵庫に入れなおす作業が必要です。これがまた重くてつらい。

あらかじめ冷蔵庫の中に入れた水か例えば金属に封じ込めた水などを外から凍らせることなどができればさらに手軽なのですが」


「なるほど、私どもでは考えもしませんでしたな。何しろ氷魔法は従来はあまり使い道がなかったもので」


「いささか、研究費も出す準備がございます。魔法使いの養成もあわせてどうかよろしくご検討ください」




 氷を冷蔵庫に入れるのもなかなか大変だ。しかも大型化するとますますつらい。


のこぎりで切って氷ばさみで摘まみ上げるが、どちらも力仕事でつらい。ホワイトにするためにはなくした方がいい。


もちろん小型冷蔵庫向けで氷をあらかじめ作っておいてそれを配る場面ならば、そういう作業も仕方ない。何か機械を作って移動するのがいいのだろう。だが大型ならばその場で作れる方がいい。


そんなわけで将来に向けての展開の仕込みが進んでいる。





 家に帰ると神がクロを抱えている。何をしているかと言えば、クロが猫のおもちゃで遊ばないから何とか使わせようとしているらしい。


いったいどちらが子どもかわからない。だいたい猫など気まぐれでおもちゃを使うところがいいというのに。



 別に神に味方する必要もないのだが、ちょっと思い出したことを言ってみる。


「そういえば、猫が強く反応して酔うような草や木があって、地球の猫のおもちゃにはそれが使ってあったな」

「なるほど、やってみよう」


神は何かよくわからない草を出し、それから摘まんでおもちゃの中に入れている。そしてまたおもちゃをクロに近づける。


だがクロは特に反応もせず、横を向いている。


草が駄目なのかと思いきや、さっき草を置いた場所をしきりににおいをかいでいる。


さすがに神だけあって猫が反応する草は作れたらしい。だがなぜか草が入っているおもちゃじゃなくて、さっきまで置いてあった場所に反応する。


猫なんてこんなものと思いつつ、もしかして神をおもちゃに使っているのかとも思ったりする。


こちらは冷蔵品の流通で大きなことをしているが、神はずいぶん小さいことをしている。


しかし猫の福祉が世界で最も重要だとしたら、これにも意義があるのだろう。

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