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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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クラープ町からの輸入準備

 クラープ町との間に本格的に冷蔵の流通ルートを確立することになった。


と言ってもさほど難しいことではなく、クラープ町とクルーズン市と途中の2つの宿場町に氷魔法使いを置く。それらで食物を凍らせたり、冷蔵庫用の氷を補充すればいい。



 もし氷魔法使いに病気やけがなど何か不都合があれば近くの街から応援に行けばいい。


とつぜんの不都合を知らせる手段も一応はある。魔法報という電報のようなものがありごく簡単な信号を魔法で伝えられる。


ただやや高価な魔道具が必要で、多くの場合にそれがある魔法ギルド間での通信になり、受信した場所からはふつうに手紙の配達となる。


そういうわけで数日の距離でも数時間で知らせることができる。ただしやや費用が高く数文字で1万ほどかかってしまうので気軽には使えない。


それでも魔法使いの急な不都合などめったにないだろうし、あった時には荷物を守るために遠慮なく使えばいい。むしろ商会で受信機を持ちたいくらいだ。




 宿場町の魔法使いの常駐については宿場内にとりあえず物件を借りる。もし本格的に稼働するようになれば物件を購入してもいい。


それから宿場町出身者を商会内で探したところそれぞれの町の出身者が1人ずついた。


どちらの宿場町も人口はあまり多くないが、働き口も少ないので外に出るようだ。それぞれ氷魔法の研修を受けた上での町への常駐について希望を聞いてみた。


するとクラープ町に近い方の人は希望したが、クルーズンに近い方の人は希望しなかった。


それぞれ事情はあるのだろう。前世でも地方から都会に出て、出身地に帰るかどうかはいろいろな要素があった。


もともといい思い出があるかどうかとか、親がぴんぴんしているうちは大都市にしても、老いてくると戻るとか、配偶者や子どもの都合とか、そもそもふさわしい職があるかとか、とにかく多様な事情が背景にあった。だから本人の希望は尊重すればいいと思う。


足りない方のクルーズンに近い宿場町についてはクルーズン出身者に声をかければよさそうだ。だいたい半日で帰れる。実際に待遇も悪くないのですぐに見つかった。





 ついでにクラープ町でも冷蔵庫の普及を図ることにした。


セレル村をはじめとする周辺の村から農産物を集めたときに、うちの輸送隊が運ぶまで冷やしてくれた方がいい。


そんなわけで木工業者に冷蔵庫製造を依頼する。それに氷魔法使いも育てて、シルヴェスタ・ドナーティ商会に属してマルクの采配で動いてもらうことにする。




 木工業者にも声をかける。生地こね器や洗濯機でお世話になったフルヴィオだ。


「どうもお久しぶり」

「久しぶりだね。フェリス君。いやシルヴェスタさんか」

「いやフェリス君で構いませんよ」

「それはそうと今日は何だい? クルーズンの大商会の店主さんが」

「大商会というほどではありませんよ。それはそうと、冷蔵庫というのを発明しました。クルーズンでは作り始めていますが、こちらでも作って欲しいのです」


そういって、設計図を見せる。


「なるほど、断熱して中の氷で庫内を冷やす仕組みか」

「はい、そうです」

「これは特許とかは取ってないの?」

「ええ、取りました」


ところが特許制度に問題がある。クルーズンは伯爵領、クラープ町は子爵領だ。領が違えば国が違うようなものだ。


しかも子爵領ははっきり言って遅れていて、特許制度がない。だから俺の特許も守られないのだ。


「いいのかい? こっちじゃクルーズンの特許は無効だよ」

「どうせ、すぐにこちらにも流れて来て、すぐにまねされるだけですから」

「まあ、それはそうだけど」


「ただこちらで作られた製品をクルーズンに入れるなら特許料を取られるはずです。だから輸出はあまり考えない方がいいです」

「まあ、向こうの業者と争おうとまでは思わないけど」

「こちらで作って普及させてください。こっちは流通で儲けますから」

「また難しいことを考えているんだね。わかったよ。作ってみるよ」


そういうわけで特許料は取れないが、こちらでも冷蔵庫を作ってもらうことにした。


これでクルーズンに輸出する農産物などを周辺の村から集めて保存したりできる。


それに他用途で冷蔵庫を使うとしても、氷を発注するのはクラープ町のうちの商会くらいしかない。


他にも氷魔法使いはいるが、うちより安上がりなわけでもない。


冷蔵庫自体の特許料でも儲かるが、実はそれ以外でも十分儲かる仕組みになっている。




 氷魔法使いの養成はマルクと相談だ。すでに輸出のことで何度か相談はしている。


「前に話した冷蔵庫と輸出のことですが、こちらの商会でも何人か氷魔法使いがいてくれると助かります」

「何かまた面白そうなことを考えているんだね」

「ええ、流通を押さえればかなり儲かりそうです」

「うちを立て直してくれたのは君だし、もちろんやってみるよ」

「そうしたら、希望者を募ってください。10人くらいいても大丈夫です」

「わかった」



 とりあえずはクルーズンで養成したクラープ町出身の氷魔法使いに町に帰ってもらい、そこで仕事をしてもらう。


そんな風にして、果物や乳製品などをクラープ町で冷蔵庫に入れて運び、途中の宿場町で氷が不足するのでそこに常駐する氷魔法使いが補充し、クルーズン市まで運ぶ。


冷蔵庫の断熱効果でクラープ町からクルーズン市までずっと冷えたままだ。


木工業者のフルヴィオに頼んだ冷蔵庫は見込み通り周辺の村、特にセレル村からだが、農産物を運ぶのに使われるようだ。



 もちろん冷蔵庫自体を運ぶのに余計な負荷がかかり、しかも氷魔法使いに支払う費用も掛かる。だから使うのはやや値の張る商品ばかりだ。


それでもクルーズン市ともなれば人口が数十万人あり、それだけ高級品を消費する人もいる。


クラープ町とその周辺の村村からの冷蔵が必要な高級食品の輸送ルートが整いつつある。


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