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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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55. 氷魔法使いの養成

 冷蔵庫を「発明」して、シェフのレオーニ氏に振り回された。うちで使って少しずつ広げていくつもりだったが、どうもかなり売れそうな雰囲気になってきた。


問い合わせなども多いし、レオーニ氏はすでに新メニューを公開していて評判になりつつある。そこで木工業者にうちで商品を3年は引き受けるからと徒弟を増やしてもらった。




 それで冷蔵庫が足りるかどうかはわからないが、もう一つ問題がある。氷だ。冷蔵庫と言っても冷やす機能がなく、氷を入れて冷やす木箱に過ぎない。


だから氷を流通させないといけない。


むしろ氷の流通で儲けようと思っている。冷蔵庫の製造は需要がかなり増えたらうちでもするかもしれないが、当面は木工業者任せだ。


既存の木工業者がたくさんあってそちらの方がうまくできそうだからだ。だが氷の方はそんな商売はいままでにない。


氷魔法使いを呼んできて作ってもらっている。うちが一から構築するしかない。




 実は肉の販売で必要と思ったのですでに氷魔法使いの養成を始めている。


「冷蔵庫の売れ行きがそんなに進むと氷魔法使いもたくさんいるんじゃないですか?」

「そうなんだよね。かなり増やさないといけないと思う」

「そんなに増やして大丈夫なんですか?」

「むしろ足りない方が困る。冷蔵庫を売っておいて氷がないんじゃ、うちの信用問題になっちゃうよ」

「まあそうですが、研修もけっこう金がかかりますよね」

「まあそうだけど、氷が売れるようになったらすぐに取り戻せるよ」

「売れなかったら悲惨ですけどね」

「そうなんだよな。やっぱり少しずつ広がって行ってくれた方がうれしい」

「それはそうと、うちの金で氷魔法使いになって、独立したりよそに行ったりする人も出てきませんか?」


「いちおう貸付だよ。無事に氷魔法が使えるようになったらうちでも高給にするからね。

それに競業避止の契約をして5年は競業にはついてはいけないことにしている。だから同業他社とか独立はできない。違反したら違約金だ」

「なるほど。でも何か事故とかでできなくなったら悲惨ですね」

「さすがに本人の責任でないときは契約で返さなくていいことにしているよ。そうしないと怖がって人が来ないかもしれないからね」

「それなら来ますか?」

「それは氷魔法を習得した人にはふつうの勤め人より待遇をよくしているから、けっこう来ているよ」

「なるほど」





 そんなわけでうちはいま異常なほどたくさんの氷魔法使いを抱えている。


ただ技量はまちまちでかなり大きい氷をすぐに作れるものもいれば、かなり時間がかかる者もいる。給料は基本給以外に成果給を出すような形だ。


成果主義というのも前世ではずいぶんおかしなことになっていたが、現場仕事が中心のところではそれなりに有効だと思う。


管理作業が入ってくるとまともに動きそうにないけれど。




 こういうことで需要と供給をうまく合わせるというのも口で言うのは簡単だが、そううまくできるはずがない。


冷蔵庫がまだ多く出ていないときはせっかく氷魔法を使えるようになったのに使う場面が少ない。

ただうちは肉の販売をしているのでそちらでいくらかは使っていた。ただどうしても暇になってしまうのは仕方ない。



 ところがレオーニ氏のゼリーが評判になって冷蔵庫が売れ出すと、氷魔法を使いも忙しくなる。


冷蔵庫のある場所で氷を作るなどでは人が足りなくて対応しきれそうにない。


断熱性の高い倉庫を作ってそこにあらかじめ作っておいて運ぶようなやり方をするしかない。


「かなり氷が売れるようになりましたね」

「本当にあっという間だった」


こういうのも冷蔵庫を見た人の一定割合が欲しがるとなると、いま世の中にある冷蔵庫に比例して増えていくので指数増大になるのかもしれない。


「この調子で氷魔法使いが足りますか?」

「結構きついかもしれない」

「氷がないとまずいですよね」

「そりゃそうだ。冷蔵庫だけ売りつけておいて、それを実現する氷がないんじゃ、詐欺みたいなものだ」

「どうしましょう?」

「こうしましょう。じゃなくて、少し効率化しよう」

「どうするんです?」


「冷蔵庫のある所に魔法使いに行ってもらっているけれど、氷をどこかで作らせて、断熱して馬車で冷蔵庫のある所に運んだほうがいい」

「あ、なるほど。それならかなり効率的になりますね。ただ結構重いですよね」


「そうなんだよな。しかも運ぶ距離が長いと氷が解けちゃう。だから市内にいくつかの拠点を作ってそこに氷魔法使いを置いて氷を作るのがよさそうだ」

「どういうところに拠点を作りますか?」

「いま需要があるところを参考に、たぶん商店街とかの近くの方がいいと思う。個人宅だと金持ちは使うかもしれない」

「じゃあ、それで少し探してみましょう」



 そんな感じで拠点になる物件も探して、そこで氷を作ることになった。


拠点ができると、ふつうの従業員は乗合馬車で移動だが、氷魔法使いはハイヤーのように馬車を雇って移動する。それくらい氷魔法使いひっ迫している。



 ところで拠点を作るとなると、ある程度は需要がコントロールできた方がいい。


たいていの拠点は1人しか魔法使いを置けないから、あまり需要の増減が大きいとやりにくくて仕方がない。


そこで毎日必ず氷を注文する場合にはそれに応じて割引をすることにした。




 そんなわけで食品販売の方は競業がいるからそうは簡単に店を増やせないが、氷屋の方は全く新しい業種なので人の手当てがつく限りいくらでも増やせる。


氷販売でトップシェアというより、完全にうちしかできない状態になってしまった。




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