表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
318/641

45. 冷蔵庫の扱いを幹部と相談する

 肉の加工から始まって氷魔法使いを呼び、その関係で冷蔵庫を作ってしまった。


ただ氷を入れる形式であって、機械自体は冷気を作る機能はない。


家で試してみると上手く行ったので、商会に持って行って皆でどう活用するか相談することにした。




 商会に持ち込んだので、もう俺は氷魔法は使う必要はない。俺が使うと慣れてないから毎回30分もかかってしまい、とてもとても使用に耐えない。


商会では氷魔法使いを呼んで肉の加工をしてもらっているので、ついでに氷も作ってもらう。あっという間だ。


いやそれどころか従業員に氷魔法を習わせて使うことも始めているのだ。そちらはまだ俺とどっこいどっこいだが、そのうち彼らが追い越していくだろう。




 幹部たちの前に冷蔵庫をお披露目する。とはいっても見た目は大きめの単なる木箱だ。

「これは何です?」


「これは冷蔵庫と言って食べ物を冷やす装置よ」

なぜかシンディが説明をする。だがその辺で詰まってしまったので俺が続ける。


「この上の空間に氷を入れておくと空気が冷えて、下の空間に冷たい空気が回ります。下の空間に食品を入れておくと、それが冷やされる仕組みです」

「仕組み自体は単純だな」

「冷やすと何ができるんだろう?」


「こちらは冷蔵庫に入れて3日たった肉です」

料理番組でオーブンにかけて30分立ったものを出すみたいなことをする。


「3日って危ないんじゃないか?」

「よく見てにおいも嗅いでください」


みな調べているが、特に欠点はないという。実際に焼いて試食してもらう。


みなおそるおそるだったが、特に悪くなっていないという。


「冷やすと確かに悪くなりにくいけど、そう言うことなのか?」

「ええ、今までは直接氷魔法で冷やしましたが、こうやって間接的に冷やしても保存できます」

「なんでなんだろうな?」

「さあ。ただ現象自体は昔から知られたものです」


食中毒に関係することだけにみんな怖いとは思う。それでも冬などは食べ物が悪くなりにくいことや保存に氷魔法を使うことなどは昔から知られていた。


だから既存の知識に紐づけて説明する方がみんな安心すると思う。


実際は食品の表面に微生物がいて温度が高いとそれが爆発的に増殖するところ、温度が低いとほとんど増えることができないからだ。


増大の仕方はどちらも指数関数で、温度が高いとドラえもんに出てくる栗まんじゅうのようにふえ、低いと銀行預金のようにしか増えない。


「これって何に使えるんですか?」

「こんな風に肉などを保存できるのが1つ、塩漬けにすると味が悪くなるからね。それ以外に飲み物を飲んだり果物を食べるときも冷やしが方がおいしいんだよ」


実際に冷やしておいたものをふるまう。


「なんだこれ?」

「いつものオレンジが全く違う」

「こちらのレモン水もおいしいです」


かなり好評のようだ。




「少なくともすぐに特許は取る必要がありますな」


アーデルベルトから言われる。元は大商会勤務だったので頼りになる。


確かにその通りだ。原理自体は簡単なので腕のいい職人にまねされたらあっという間にコピー商品が作られてしまう。




「どうする? 工房を作って大々的に売り出すのか?」


それをすることもできるが手間が大変そうだ。新たに職人を雇わないといけないし、それを指揮するものも必要だ。


だいたいそんなに多人数の職人など一から集められそうにない。それができたとしても今度は売買も必要だ。


うちは商売はしているが、こんな大きいものを売るような体制にはなっていない。





「特許を持っているなら使用料だけ取ってあちこちの工房に作らせる手もありますね」


実際そうした方がいいと思う。まだまだ工夫の余地はある。うちだけで作っているとそう言う点でおろそかになる。


それに職人を引き抜いたりしたら、あちこちの工房から相当な反発を食うだろう。特許使用料を取って作ってもらうならむしろ歓迎されると思う。





「これは普及したら、食べ物の流通が変わりますね」


たぶんそうなりそうだ。店などにはおかれるのではないかと思う。ただ家庭にまでは難しそうだ。氷を毎日入れなくてはならないからだ。


日本でも戦前あたりは各家庭には冷蔵庫などなかったはずだ。それでも貴族や金持ちなんかの家にはおかれるような気もする。




 それで思い出してしまった。クラープ町ではまたあの領主の馬鹿子爵がくだらないことをマルクのところに言ってきているらしい。


こちらにも時々向こうの領府から手紙が来る。全部無視しているが。


せっかく冷蔵庫を作ったのだから、対抗するためにもクルーズン司教に献上しておいた方がいいのかもしれない。


大した値段でもないし、人より先に渡しておけば気分もいいだろう。そうするとクルーズン領主である伯爵にも渡しておいた方がいいのか。


何か世知辛いことを考えているな。しかもどちらに先に見せたかで恨まれたりしても困る。それはまあ同時に手紙を出しておけばいいか。


後は青果商のブリュール氏やレストランのレオーニ氏、あるいは商業ギルド幹部あたりは献上まではする必要はないが、先に見せておいてもいいのかもしれない。


何かいろいろすることができてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ