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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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薄切り肉を調味料に漬け込む

 肉の加工職人のミルトンが加入して、大して時間を置かずにリアナとミルトンに新しい肉の加工を提案する。


リアナは元の仕事が後輩が引き継いで何となく手持無沙汰になっている。


「新しい肉の食べ方を考えたいんだ」

「どんな風にしたいんだ?」

「肉なんだけど、わりと薄切りにして調味料に漬け込んで、焼くだけの形にしてほしいんだ」

「薄切りにすると傷みやすいですね」


こちらの世界だとあまり薄切りがない。言われた通り、傷みやすいから嫌がられるのもありそうだ。


それに前世だと機械があるから簡単にできるのかもしれない。


ただいまは焼肉のような薄切りを食べたい。


「そこで調味料だ。漬け込むとわりと持つようになる」

「塩漬けの肉はあるよな」

「あれはまずい」

「どんな味にしたいんだ?」


理想を言えば焼肉のたれが欲しい。


だが焼肉のたれはだいたい醤油と砂糖とにんにくと酒あたりが入っていて、こちらの世界には醤油がない。


醤油は大豆のたんぱくを分解してアミノ酸になって、肉とは別のタイプのうまみが出て、相乗効果でおいしくなる。


こちらの異世界でも化学的な構造が同じかどうかはわからないけれど。



 それで焼肉のたれは、砂糖の代わりに果物の汁にしたり、玉ねぎやしょうがや味噌を入れたりといろいろあるが、ともかく重要なのは塩味と甘みとにおい消しとうまみあたりだと思う。


こちらには醤油はないので塩味にするのは仕方ない。


醤油がないのは仕方ないが、こちらだと甘味もあまり使っていない。そちらは何とかなりそうだ。


それから酒を入れればうまみは出るはずだ。




 なんだかんだ考えて、甘みとうまみを足したい。


甘味は砂糖か果物か蜂蜜あたりを使えばいいだろう。


うまみはトマトかきのこか酒あたりだろう。ただきのこは栽培が難しそうだ。森から取ってくるのでは量が足りない。


やはり酒あたりが手軽でよさそうだ。それに酒はにおい消しになったり保存性が高まる。


けっきょく、塩味に甘味と酒を加えることがよさそうだ。


「いま保存に塩漬けにしているだろう。塩をある程度流してから、甘みと酒を加えたい」

「変わっているな」


確かにこの辺りの発想ではない。あまり肉に甘みは使わない。


ただもちろん配合次第だろうが、うまくすればかなりおいしくなるはずだ。


試してみるのに砂糖と酒を調理のときに入れてみる。それだけでもかなり違う。




 砂糖はこの世界ではかなり高くあまり気軽に使わない。地球でも戦前あたりはけっこう高かった気がする。


冷戦期もキューバ危機とかコーンシロップとかいろいろ事件があったはずだが覚えていない。ああWikipediaがあれば思い出せるけど。思い出さない方がいいのかも。


それはともかく砂糖と酒も入れて肉を焼いてみる。


「これうまいあなあ」

「ええ、おいしいですね」


確かにおいしいが、焼き肉のたれとか塩だれとかいろいろあった記憶からすると何か物足りない。


玉ねぎなんかもうまみがあるはずなので加えてみる。


「うん? まだなんかあるのか?」

「まあ悪くないんだが、ちょっと物足りないんだよなあ」


リアナとミルトンは不思議そうにしている。


こちらは答えと言うか、理想形が頭の中にあるからそうしているが、2人はそれがないから奇妙に思うのも無理はない。


玉ねぎを入れるとまた風味が違っていいが、それでも物足りない。


「やはり漬け込んだ方がいいのかな」


玉ねぎや酒に漬け込むと肉が柔らかくなる。漬け込むならついでにハーブあたりも香りづけになっていいかもしれない。臭み消しならスパイスもあるが、あれは高い。


漬け込もうとすると、ミルトンが少し難色を示す。

「切ってしまってあまり時間を置くのはよくないですよ」


そうだった。こちらは冷蔵庫がないのだ。凍結の魔法はあるが、そうすると漬かりそうにない。氷を作って間接的に冷やす方法もありうるが面倒そうだ。


いずれにしてもよほどの金持ち相手の商売でない限り高くて使えない。高級レストランだったらいいのかもしれない。


ああいうところは金や手間がかかっても味に結びつくなら平気でするし、それを売りにしている。


「そうだね。漬け込みは30分くらいにする」


そんな風にしてやってみると、やはり前より風味がいい。


「ああ、これはいいですね」

「食べたことない味だな」


評判は上々だ。実はこちらからするとまだ物足りないのだが、この辺でいいのかもしれない。


売り物にするなら仕込んで店に持って行って、それを客が持って帰る間に漬かればいいのかもしれない。ただすぐに食べてもらわないとダメそうだ。


「いちおうどれくらいでダメになるかチェックしておいた方がいいな」

「そんなことするのか?」

「珍しいですね」


前世だと当たり前だが。いやそれも工場で製品を作っているところだけか。でもいちおうしておいた方がいい。


試してみるとやはり半日も置くと傷んでしまったが、2~3時間なら大丈夫なようだった。


店に持って行く時間を考えると、やはり持ち帰り後はすぐに食べてくださいとした方がよさそうだ。


ともかくそうして新しい名物になるかもしれない。


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