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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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肉の加工を手掛ける

 アランに前に工夫が必要だと言って何かないか考えていた。


実はすでにクラープ町で作っていた軽食は売っている。あれはあれで評判で、うちの店に来てくれる訴求力にはなっている。


ただあれだってまねされることはありうる。この社会でもいちおう発明には特許があるらしいが、レシピにはそれがあるわけではない。


いろいろ面倒な工夫があるからそう簡単にはまねできないとは思うが、ただ金と時間をかけて有能な料理人を使えば、同等かそれ以上のものを作れる可能性はある。


だから他にもいろいろ工夫しておく必要はある。




 ところで工夫が必要と言うと工夫すればいいと思い込んでいる人がいる。だけど結果が伴わないと仕方ない。


だから工夫するのはいいが、小さいところで試してみて、結果を確かめることだ。ダメなら改良すればいい。


ところが何か知らないが、すぐに大きいところでしたがる人がいる。難点を指摘しても楽観論ばかり唱える。


そして今後状況が悪くなる中で新しいことをしないでいいはずはないと叫ぶ。いや、新しければ何でもいいわけでじゃない。


それが将来をかけていいものかどうかもう少し確かめてからにしてくれと言っているのだ。だが自分が賢者だと思い込んでいる者は止まらない。


まわりも止めればいいのだが、なぜか面倒がって止めないのだ。放置すればもっと面倒になるというのに。こんなことを考えるのは前職の恨みがこもっている気がする。





 うちは住宅街では食料品主体の何でも屋になっている。


だが前世ほどには工場で消費者にすぐに売れる物を作ってくれているわけではなく、それなりに商人が加工しなくてはならない。


だから穀物屋とか八百屋とか肉屋とか魚屋のような専門商店がけっこうたくさんある。何でも屋でそういう店に対抗しないといけない。


穀物などは売れ筋の粉しか置かない。というよりそれ以外置けない。こだわった難しい料理を作るには別の店に行ってもらうしかない。




 肉は冷蔵庫がなく保存が難しいため、新鮮な肉がほとんどだ。ただ冬になるとブタを飼っておけなくなるために屠畜して塩漬けや干し肉にすることはあった。


いずれにしても肉屋は市場で買ってきて店で加工をして売っていた。うちは店にそこまでのスペースがないので、専門店に頼んでいた。


ただそれでもそれだけでは足りないことも多々あった。


「何か肉の仕入れが一定しませんよね」

「おろしてくれる店の方も自分で売った方が高いだろうからね」

「そうは言っても加工を頼むから仕入れ値は安くないですね」


どういうことかと言うと、1.市場での仕入れ値<2.加工してうちへの卸値<3.小売値で、うちは1.の値段でなく2.の値段で買いつけるのであまり儲からない。


専門店は小売りすれば3.の値段で売れるところ、うち相手だと2.の値段なので、小売りで売れるときはうちは後回しにされてしまう。


「買いたいものが売ってないと他の店に行っちゃいますよね」

他の店に行かれるのは仕方ないことだと思う。ただもうどうせうちにはないからとうちに来なくなるのは困る。


「そうだね。うちに来なくなると困るね」

「そうなったら怖いですね」

「うちで加工までしてしまおうか」

「それがいいかもしれませんね」


そんな調子で肉の加工ができないかを考えていた。飲食部門で調理をしているリアナと話すとだいたい肉は業者から加工されたものを買ってくるという。そうは言っても全くしたことがないわけでもないそうだ。


「肉の加工をしたいんだけど、うちでするにはどうしたらいいかな?」

「まあやってみるか?」

「だけど今の仕事があるだろう?」

「いやもうあっちもくたびれてきた。セストや他の者たちがやってくれるから任せておけばいい」


リアナは少しオーバーワーク気味だが、だんだんやることが決まってきて、ルーティンワークとなっているので、飽きて余計に疲れるそうだ。


なおセストはクルーズンに来た時に徒弟として取った子でリアナの師匠だったレオーニ氏のレストランで3月ほど修行してもらっていた。


「でもレオーニ氏のレストランではルーティンワークじゃなかったの?」


「それがしょっちゅう新メニューやるし、下の者にも新しいもの作れとうるさかったんだよ。だからけっこういろいろやらされた」


「そうかあ。じゃあリアナには肉の加工の方をちょっと手がけてもらって、リアナが抜ける分、誰か補充してもらおうかな」


「あたしが抜けたからって、たいして仕事はきつくならないよ。ちょっとこの商会はぬるくないか?」


そういう考え方はまずいと思う。もちろんリアナが働いていたレオーニ氏の店に比べたらうちは楽だと思うが、飲食部門はうちの中ではきつい方だ。


人を減らしたら人を補充するとか、何か余計な仕事を増やしたら何か減らすとかしないと、どんどん黒さが増していきブラックになって行く。


「飲食は他の部署よりきついだろ。十分儲かっているんだからいいよ。そこだけきついとリアナの下にいると損だと思われちゃうぞ」


「まあ、フェリスがそう言うならいいか。あたしが抜けて1人補充するんでいいんだな」

「ああ、そうしてくれ」


そんなわけで、リアナには肉の加工の研究に携わってもらうことにした。


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