表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
300/641

専門店でなく何でも屋

 クラープ町での商売は行商が主体で店はあまり出していなかったが、こちらでは店も結構必要だとわかった。


人口が増えていて、行商だけでは対応できない。そもそも既存の店が足りないのだ。


行商では何回も行かないといけないのでよけいに手間もかかるし、そのための家畜や車も必要になってしまう。




 ところで店は複数種類の品があるある意味ではスーパーマーケットのような形式にしている。


実際には他の店は専門店ばかりだ。つまり穀物ばかり売る店や肉ばかり売る店や魚ばかり売る店などだ。


仕入れの都合上もそういう専門店の方がもともとの形態なんだろう。




 ただセレル村あたりでは多くが自給自足に近く、そうは言っても自給自足できない人もいた。


そんな状態だと専門店を開こうとしてもちっとも客の数が足りない。そうすると何でも屋になってしまうのだった。


だからドナーティ商会は何でも屋だった。だいたいもともとはクラープ町から行商で来ていた。行商で穀物だけ持ってくるなんてことはできないだろう。


その流れでセレル村のドナーティ商会は何でも屋で、理由はわからないがクラープ町の店の方もそうだった。ただどちらが先に何でも屋になったのかはわからない。


もしかしたら村の事情に引きずられて町の方の店も何でも屋になったのかもしれない。




 そんなことと日本でスーパーを使っていた記憶で、店も何でも屋を作ってしまう。


だが他の店は専門店ばかりだ。昭和30年代あたりはスーパーなどは少なく、たぶん米屋とか肉屋とか八百屋とかそういう店で買いまわっていたと思う。たぶんその感覚だ。


「うちの店は何でも売るんですね」


徒弟の子から聞かれる。幹部たちは、古株で、といってもまだ2~3年だが、とにかく彼らは慣れているが最近来た子には目新しいらしい。


まさか前世の日本にあったとは言えないので、村にあったという。

「村なんかだとふつうだよ。自給自足の人が多くて、穀物屋とか服屋とかそういう店ができるほど商人がいない」


マルクはそれなりには裕福だったが、ただもう一軒で来て収入が半分になったらやって行けたかどうか疑問だ。


「なるほどそうなんですね。でもお客さんはこの方が一カ所で買い物できて便利ですね」


そう便利なのだ。ただ専門店にも意味がある。英語でshopは加工も行う店で、storeは置いて売るだけの店の違いがあるそうだ。


まだ工場で並べて売るだけの製品にまでしてないものも多く、その場で加工するshopが多くなって、そうすると専門店の方が有利なのかもしれない。


うちあたりは専門店の問屋で仕入れて来て並べている。




 肉や魚も冷蔵設備がないので結構扱いは面倒だ。ただ日本でも昭和20年代などは冷蔵庫など限られた場所にしかなかったらしい。


いちおう冷却する魔法はあるのだが、かなり費用が掛かりそうだ。金持ち相手の商売なら可能かもしれない。


ただあったとしても途中で温度が上がらないようにコントロールする必要がある。


そうすると温度計も必要だ。温度計は……、見当たらないがあれは原理は簡単だから「発明」することはできるかもしれない。




 うちみたいな何でも屋がいい条件もある。人口増加中で大きい家をつぶして長屋を作ったりしている。そうすると新たに何軒も専門店を作る余地がない。


なんとなくその手の店が作れない都会の中の田舎になっている。


「それにこの辺は新たに長屋ができたけど、商店街までは作れないよね。近くの商店街となると30分くらい歩くからみんな行きたくないだろうし」

「そうですね30分歩くのはつらいですね」


そうか、こちらの人でもそう思うのか。江戸時代の日本では現代日本よりはるかに歩いていたらしい。だからこちらも歩きなれているかと思った。


以前はセレル村からクラープ町まで数時間よく歩いていた。都会と田舎でどちらが歩くかの関係はよくわからない。


なお現代日本だと車が使いにくい都会の人の方が車をよく使う田舎よりも歩くのに慣れているらしい。田舎だとコンビニ行くにも車だったりする。


遠いときはわかるが、歩いて5分でもそうだというから、もう車に慣れきっている。


もっとも田舎だと家の敷地に駐車場があり、コンビニにも広い駐車場があるから、都会よりずっと車を使うのが楽だ。車がないとするとどちらが歩くのだろう。



 ついでに専門商店ができない理由としてそれほど商店主もいそうにない。


商店主と言うともちろん販売と商品に対する知識は必要だが、それ以外の経営についても能力が必要だ。


仕入れや経理や近隣との付き合いや使用人の管理や面倒な仕事がたくさんある。だいたい番頭が10年20年と勤めてのれん分けしてもらうのがふつうだ。


その候補者がいたとしても店を開くにはそれなりに金が必要だ。それを用意するか出してくれる人を見つける必要がある。


そうなると急激に人口が増えているときにその候補者がいなかったりする。


「パン屋とか肉屋とかできないんですか?」

「人が増えて店も増えているからね。店主になれる人もそんなに多くないと思うよ」




 そんなわけでなかなか専門商店もすぐにできるわけでもない。だからたまたま金の入ったうちがマニュアルを使ってそれなりにできる店員を置いて店を広げられる。


もっとももっと金のある大商会に同じことをされたら、やはり商売はつらくなるような気もする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ