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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
4章 13歳~ 領主との争いとクルーズン事業の伸長
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連鎖倒産とそれへの対応

 パラダの倒産は連鎖倒産を引き起こした。



 クラープ町北部の俺の行商について領主に取り入って取り上げたのは実はパラダだけではない。


パラダが6割ほどでいちばん多いが、それ以外にも彼の仲間の商会がやはり噛んでいた。


パラダも含めて5つ、いずれも領都に起源をもつ商会だ。




 1商会だけはうちがしていた時ほどではないが、それなりに行商をうまくしていたらしい。


他はパラダほどはひどくないが、やはり相当ダメな様子だ。


けっこう高い金で引き取ってもらったので、彼らには相当な負担になっているだろう。




 しかしまあ4商会も行商をダメにするというのはどういうことなんだろう。


パラダだって初めの月はそれなりに利益が出ていたらしい。それがだんだんやり方を変えてひどくなっていったようだ。他の3商会もやり方を変えてダメになったのだろうか。


ただどれもダメになる方向にやり方を変えるというのも不思議なものだ。領主を頼るような権威主義者だから、それが商売に出たのだろうか。


それともあの知恵があるつもりで猿知恵のモナプあたりが、つまらない入れ知恵をして回った結果だろうか。


いずれにしてもどこもかしこもひいひい言いながら商売を持たせていた。そこでパラダがこけてしまう。するとあとは連鎖倒産だ。




 つまりこういうことだ。借金をするときに保証人を求められている。だがもう商売が寒くなっているので保証しようとする人が現れない。


そこでお互いに保証人が必要なもの同士で保証し合うのだ。つまりAに保証人が必要で、Bも保証人が必要なら、AとBが保証し合う。


だいたいこういう保証のしあいは知り合い同士ばかりだ。つまり今回は領主の取り巻きばかりと言える。Aは保証人がBだけで足りなくなればCやDやEにも頼む。


もちろんBも同じだ。そうやって仲間同士のA,B,C,D,Eが保証し合う。ABCDE包囲陣だ。いや包囲されているのか。


そこでAがこけるとBに請求が行く、そしてBもギリギリなので払えず、こんどはCに請求が行く。またCもギリギリなのでDやEに行くとなり、すべて倒れてしまう。





 それだけでなくパラダ相手に債権を持っていた商会もある。そこにパラダがつぶれて、配当は8%弱となってしまった。


つまり1000万入る見込みだったのが、80万弱しか入らなくなってしまったのだ。


これもやはりパラダの仲間の商会が多い。なぜかと言えば、パラダの仲間以外はもうパラダを見限っていて、掛け払いなど認めていなかったからだ。


けっきょくパラダにつぶれてもらっては困るお仲間の商会だけが引き受けていた。




 少しは行商が上手く行っていた商会1つも含めて4つの商会がパラダに巻き込まれて倒産する。


そこで案の定というか予想通りというか、判で押したようにうちからの行商の譲渡に瑕疵があったと文句をつけてくるのだ。


だが言ってくることがパラダとほとんど同じなのだ。だからパラダ相手とほとんど同じように反論する。パラダとの対決は公開だったのに学習しないのだろうか。


それとも自分の都合のいいところだけ見ているとか、ちょっと対応が変わったときの対応について考えていないのだろうか。


とにかく全部はねのける。とはいえ、同じことを何度も繰り返すのは本当に疲れる。本当に消耗するのだ。


ああいうことが続くと、ついつい猫吸いに依存してしまう。神は呆れた顔で見ているが、そんなことは知ったことではない。


だいたい四六時中出入りしていること自体が呆れることで、呆れられる者同士で仲良くすればいいと思うのだ。





 破綻処理はいつもパストーリ氏が引き受けてくれる。俺も記録を取っているので、そろそろマニュアルができそうだ。


「またお願いできますか?」

「まったくこんなことばかりですね」

「本当にすいません」

「あの者たちが悪いんだから、謝ることはないですね」

「そうは言ってもこんな面倒なことばかりお願いしてしまって……」

「商売にはじまりがあれば終わりもある。人口の減る中で行商から初めた商会が大きくなれば、なくなる商会だってあってもおかしくありませんよ」

「そう言われればそうですが……」

「あなたは彼らよりより町の人々に支持される店を作りました。だから経緯はともかく、こうなるのはいいことですよ」

「はあ、そう言っていただくと少し楽になります」

「ですから、北部での行商と郵便も復活させてください」



 もちろん復活させたい気持ちはある。ネックになっている人が足りないことも、つぶれた商会から採れば、みんなにとって悪くないことだ。


ただやはり領主がまた介入するかもしれないかと思うと、どうしても商売に躊躇してしまう。


しかも逃げ延びたモナプあたりが何かたくらんでいそうな気がする。


「そうしたいのはやまやまですが……」

領主がらみの不安をどうにかしないと、どうしても復活する気に慣れない。




 さて立て続けに商会がつぶれるが、毎度毎度ヤクザ者が借金取りに出てくる。領都の各商会の本家筋が出してきているらしい。そして毎回捕まる。


なぜ彼らは学習しないのだろうか。やくざ者など使い捨てで頼んだ商会の方がたいして痛い目に遭っていないからかもしれない。



 いずれにしてもこんなに立て続けにつぶれて大丈夫なのかと心配になるほどだ。


しかも行商を俺からパラダの3億も含めて5億で買い取ったことについて、さんざん向こうが悪いと反論してそれが明らかになっても、まだおかしな言いがかりをつけてくる。


また領主に頼んで無茶苦茶なことをしてきそうで怖い。そんなことをしているからいつまでも領の景気はよくないのだけれど。


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