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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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差し押さえをする

 パラダ商会のブラックに対する元従業員たちの裁判を続けている。1回目は勝訴し、今度は2回目だ。


2回目の原告はクルーズン在住の元従業員とうちの商会だ。うちの商会がいるのは、クラープ町にも被害者がいるが、彼らがここで訴えられないため、代わりをしている。




 裁判の手順は、1回目の経験があるので、ずいぶんスムーズにできるようになった。


「なんとなく、勝手がわかってきました」

カルター代言人に話す。


「ええ、パラダ商会みたいに簡単な相手ならそれでいいのですが、手ごわい相手だとやはり相当な経験を積まないと生兵法ではいろいろ怖いですよ」


確かに専門家に頼む費用をケチって素人判断で進める者はいそうだ。


特に前世のようにネットがあると、そういうことをしたい誘惑に捉われる。


だが商売などしていても、意外に例外が多いのだ。それにどう対処できるかが、問題なく進めるための要点と言える。やはりそれなりに経験は必要なのだろう。



 そうは言ってもやはりパラダは「簡単な相手」だったようで、2回目も欠席裁判だった。やはりこちらの勝ちでパラダは2000万余りの支払いとなる。


とはいえ、取り立てない限りは単なる紙切れに過ぎない。そうだと思っているからパラダも平気で欠席するのだろう。



 やはり2回目の原告たちは、それなりにはうれしそうだが、1回目の者たちほどではない。


それは自分でつかみ取った勝利ともいえないし、勝ちが予想されていたことだからだろう。


またそれもわかっていたことだが、まだ実際の金を手にできていない。途中のステップに過ぎないのだ。




 ただ今回でほぼ移籍した徒弟たちの労働債権は取り戻した。他にもあの預金からふんだくりたいものがないわけではないが、いつまでもお預けをするのもよくないだろう。


パラダに警戒されるかもしれないが、差し押さえに移ることにする。




 差し押さえは差し押さえで、また手順を踏まなくてはならない。カルターからは相手に判決を知らせて、請求するようにと言われる。


それで向こうが払わないようなら、クルーズン市のパラダの口座の差し押さえだ。ただそれについてもいちいち期限を待たなければならない。


あちらが気づいて口座の金を引き出されると面倒だが、裁判に来ないような者だから大丈夫だろう。



 そして期限が来て、いよいよ差し押さえの申立をする。もちろん以前とは少しやり方が違う。


1回目の原告と2回目の原告とうちの商会とで、裁判所に書類を提出する。


どの程度の預金があるのか心配だったが、実際に差し押さえしてみると1回目と2回目の訴訟の分の2300万余りは取り戻せた。


どうやらこの金はわりと放置されているようだ。しかも電話やネットがあるわけでもないため、差し押さえしてもすぐには伝わりそうにない。


勝った原告たちは実際のお金を手にして、もちろん大喜びしている。もちろん彼らが当然に受け取るべき金だ。





 1回目の原告たちは俺の都合で差し押さえを遅らせたので、俺が立て替えてすでに受け取っている。


それでもわざわざ見に来て、無事に取り立てられたことを喜んでいる。パラダからとりたかったのと俺の負担になるのが心苦しかったようだ。


「これでパラダに不当に取られたものを本当に取り戻せた!」

「俺たちもやればできるんだ」

「こうなることが分かればもう二度と馬鹿なことはしまい」

「あんな商会どうせ長くないだろ」


2回目の原告はここで初めて、お金を手にした。いやパラダだって全く給料を出していなかったわけではないが、やはり不当に取られた分を取り返したのはうれしいらしい。




 ただこの口座から取り立てていることはまだパラダには知られたくない。どちらの原告にも口止めすることにした。


そうは言っても人の口に戸は立てられない。しばらくすれば漏れ出すだろう。


急いでうちに友好的な商会が持っている債権を取り立ててしまった方がよさそうだ。


そうは言ってもパラダは為替などという先進的な仕組みは全く使ってないはずなので、現金を引き出すにしても直接来るか誰かに頼むかしないといけないだろう。


主人や番頭あたりが来るなら彼らの顔を知っている人間はうちにはたくさんいるから、商業ギルドの前で見張っていればよい。


とにかく、あんな商会は早くつぶした方が世の中のためだ。




 家に帰るとクロが俺の手の届きにくいところで寝ている。だが俺が帰ってきたことに気づいたらしい。


とはいえまだ眠そうだ。寝ぼけ眼で俺がどこにいるのかわからないような感じでこちらを探している。


だがどうも微妙なのだ。なかなか起きてこない。寝ていたい気持ちと遊んでほしい気持ちが葛藤しているらしい。


さっさと手を出せと言われている気もするが、そんな手の届かないところに寝られても困る。




 そんなことを1分ほど続けていたが、結局は睡魔の方が勝ったらしい。そのまま自らの腕を枕にして寝てしまった。


だがこんな時だけ神通力の使えるあのアホが障害物を透過してクロの頭に触っていた。


そしていちいちそんなことをしなくてもいいと思うが、こちらに得意げにしている。


どうせならそこで教育的指導ねこぱんちがあればいいが、クロは気持ちよさそうにしている。


あんなのでも猫相手になると神通力が使えるものだとつくづく思う。

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