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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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60. クルーズンでの出店候補地探し

 クルーズンではジラルドがすでに数人の行商人を育てており、実際に行商もスタートしている。これは東の拠点を中心に動いている。


ジラルドはクラープ町に戻ってしまったが、あらたにシンディ・マルコ・アラン・カミロがこちらに入って南の拠点にいる。


またクラープ町北部の事業を譲渡したときにクルーズンに行ってもいいと言った従業員もいたので連れてきた。彼らも行商にはなれている。


東の拠点のジラルドが抜けた分はアランに面倒を見てもらう。その間に地図を入手して、出店について計画する。


なおクルーズン市は人口増加中で店が足りていないところも多い。行商だけでなく店自体を出すことも考えた方がよさそうだ。


そうすると行商人が多数必要になる。仕事がないかと周辺の村や町から人がたくさん流入してきているので、人手不足ということはない。


さいわいマニュアルや教育体制も整えているので、比較的短期間に即戦力にすることもできる。もちろんある容易な仕事の範囲だけだが。




 そんな状況で地図を見ながら幹部間で話し合う。


「そういうわけで、クルーズン市は人口でクラープ町の10倍。中心部は少し手を出しにくいですが、そもそも人口が多くないので後回しで構わない。現在も人口が増えつつあり、店が足りない場所も多くある」


「どんどん出店できるわね」


「こいつはいい、どちらを向いても客ばかりだ。狙いをつける必要もないくらいだぞ。やれやれ、拡大しまくるんだ!」

アランが壊れてしまった。


「まあそれでも流通網の都合があるので、まずは南部を抑えましょう。流通の拠点になる店舗も確保していく必要があります。

人が足りないので急ピッチで育てる必要があります。時間との戦いです」

カミロは相変わらず、冷静に計画を立てている。



「クラープ町の北部のパラダに譲渡したところがどうもブラックっぽいんだよね。

いろいろな都合で残りたいといった人たちだったけれど、いまは考えが違うかもしれない。

ブラックに行かせたなんてことになったらうちの名折れだから回収してこようかと思う」


「それはいいな。彼らだったら行商にも慣れているし、一から指導しなくてもいい。それどころか下に見習いつけて指導させることもできそうだ」

「そうだね。ブラックで働くのはよくないね。あれは精神をむしばむ」


さすがマルコはブラック経験者だけある。13歳でブラック経験者というのも嫌なものだが、部活だったら実際にあるな。



「ところでクラープ町と違ってかなり街が広がっているけれど、そんなにたくさん不便な場所ってあるの?」

「確かにね。あちこちに店がありそう」

「ものすごく遠くしか店が出せないとなるとつらいな」

「確かに出店だけで片道2時間などかかると利益がかなり吹き飛んでしまいそうです」


いろいろ懸念の声が出る。ただその点は都市にコンビニや小規模スーパーが増えていった様子を見ているのであまり不安はない。


もっともコンビニ同士や小規模スーパー同士でつぶし合いをしていたから、そちらの方の不安がないわけではないが、それはずっと先の話だ。


街中だってけっこう不便な場所は少なくない。しかも今までは20分か30分歩いていてそれが平気だった人も10分の場所に店ができればそこで買いたくなる。


「すでに先行してジラルドと店を出したからわかるけれど、けっこうお客さんはつくよ。だからそんなに心配ないと思う」

「そうか、それならいいわ」

「まあ、やってみるか」

「失敗してもたいして痛くないですしね」


そうなのだ。行商の利点はそれがある。


これが権利金を払って、店を新築して、そこまで行かなくても改装してと大金をかけた上で撤退するとなると、失敗したときのダメージが大きい。


だが行商であればその点はずいぶん楽だ。広場についても使用料を払っているわけでもない。

もちろん人を雇う金も家畜の飼育費用もあるが、失敗したときにすぐに他に振り向けることができる。この辺は実に柔軟だ。


「じゃあ出店先には試しということで、もしあまり売り上げが伸びないようなら撤退ということは伝えておこうか」


実はすでに契約時の説明のフォーマットが作られていて、その中にその旨の説明もある。ただいままではそういうことはほとんどなかったからみなあまり意識していない。説明を忘れてしまうかもしれないので強調しておいた。


フォーマットを作ったのはその方がだれもが安定的に説明ができるし、だいいち楽だからだ


この点で全部現場に丸投げをしたがる人は前世では多かった気もするが、それは上が楽できるだけで実は全体としては楽になっていない。


いや上だって後で面倒が起こるだけなので、実は何もいいところはないのだが、上に立ってはいけない人というのはいるのだ。



「じゃあ出店候補地を決めよう」


みんなで地図を見ながらワイワイと話す。


「ここが今の本部だよな」

「人が多いところと少ないところはどこだ」

「他の店があるところもちゃんと把握しておいた方がいいな」

「通りにくい道の情報なんかも知っておいた方がいい」

「他にも何かその場所と特殊な事情とかもあるかもしれないね」

「幽霊が出るとか?」

「ばかばかしい」

「怖いこと言わないでよ」


カミロは幽霊は信じないらしい。確かにそんな感じそうで、その通りだ。逆にシンディが嫌がっているのはわかると言えばわかるが、わからないと言えばわからない。


シンディはまだ相手を殺したりはしていないはずだが、何かそういう人の話でも聞いたのだろうか。


「街の様子を把握するためにも一度歩いてみようか?」

「そうだね。そうしたほうがよさそうだね」


ということで、街を歩き回ることになった。


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