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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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みなそれぞれに家を買う

 結局まえに検討していた住宅ローンは進めることになった。金利は3%だ。2020年ころの日本の水準からするとずいぶん高いが、他の金貸しから借りるよりずっと低い。


それは身元の保証はあるし、家という担保があるからでもある。



 そして結局は家は借りればいいと言っていたアランも買うことにしたらしい。もちろんカミロもだ。だがカミロは放っておくと投資に回しかねないのでくぎを刺しておく。


「言っておくけど、自分で住む家以外に資金を回したら即刻全額返済してもらうからね。契約書にも書いてある」

「いやだなあ、そんなことはしませんよ」


そう言っているが、何か棒読みっぽい。


そんなに儲かりそうな投資があるなら直接するから、従業員向けサービスの住宅ローンではしないでほしい。




 ジラルドは今度は逆戻りでクラープ町で引継ぎをしている。ものすごい特異な能力があるわけではないが、バランスが取れていて安心して仕事を任せられる。


半年くらいは向こうで引継ぎをすることになりそうだ。とはいえ、俺はギフトで毎日会っている。そんなわけで家を買うのは後回しのようだ。


なお俺はまだ引っ越していない。クラープ町に家がある。あちらの家具は借りていた家の物なので、持ってくる必要はない。


いろいろ小物などはギフトで移動すればよい。一つ移動できないものがある。世界で一番大事なクロだ。彼女はホールを通れないルールのようだ。


だから引っ越すとなれば馬車を頼まないといけない。億の金より最重要だから、護衛もつける必要がありそうだ。


もっともクロ自体は状態異常無効やら無敵やらの加護がかかっているので、盗賊に襲われても平気だとは思う。年がら年中、神もまつわりついているし。




 リアナも家を買うことにしたようだ。彼女はクルーズンに慣れているようで、いろいろ行きつけの場所もあるようだ。


しかも南の方は彼女の好きな食べ物関係の店が多い。なにか食品街の真ん中のあまり人の住みそうにないところに家を決めていた。


それはそれで本人として楽しいならいいと思う。なおレオーニ氏の店は中央やや北寄りなので少し遠い。別にワザとではないと思う。


あの店はコンセプトから言って少し高級志向で市場のある南と離れているのも仕方ない。




 住宅ローン制度を作ったからだろうが、みんな家を買って大丈夫なのかとも思う。人口が流入しているので、今は値上がりしている可能性もある。


そうすると将来値下がりの危険もある。上がるか下がるかは誰もわからない。前世だってアナリストの予測など外れまくっていた。


プロ投資家が株を買っても猿が勝っても同じなどとも言われていた。だからわからない。


いちおう今のままが続くなら、家賃を払っていて10数年でペイする。


「みんな高い家に住みたいだろうけれど、ローンのうちはあまり背伸びしない方がいいと思うよ」


ローンが少なければ少しくらい値下がりしたからと言ってあまり痛くはない。もちろん値上がりして、あの時買っておけばよかったという話はあるかもしれない。


ただそれなら、買っておいて自分で使わず貸家にでもした方がもっといい。例えば2千万の家は買わずに、800万の家に住み、残りの1200万で家を2軒買って貸家にするなどだ。


なんというか、本人がしたいわけではないのに経済のせいでギャンブルに巻き込まれてしまうのだ。


アランが一番派手好きで、高い家を買おうとしていたので、返済シミュレーションを見せてやったら、あきらめていた。


「月にこれだけの返済になるから、使える金がこれくらいになるよ」

「ゲッ。それじゃやめておくか」


本人の自由だが、遊ぶための金だったら、高い物件買わせて強制的に使えないようにした方がよかったのかもしれない。とはいえ、財産の処分など個人の勝手だ。


同僚に借金などしてトラブルを起こさない限りは放っておくのがいいのだろう。




 返済シミュレーションも数学というほどではないが、それなりに技術が必要だ。また電卓もコンピュータもないから手計算でやや面倒だ。


時間もかかる。表計算ソフトがあれば、関数を入力して、割とすぐにできた。というよりウェブ上にアプリがあって簡単にできていた。


こちらで手計算でするとき、前世で高校まで数学をやっていた俺は苦にならないが、こちらの世界の人にはきついようで、ほとんどできない。


カミロなどは説明したら、喜んでいろいろ計算していたけれど。また投資の火に油を注ぎそうだ。



カミロは手堅く800万くらいの家を見つけていた。


「君のことだから、ギリギリまで安い家を探して、投資に回すかと思っていたよ」

「まあ、それでもいいんですが。ただ家で安らぐことも必要だと思いまして。そうは言っても高すぎる家はいけないし。

そうやっていろいろ要素が絡んでくるともう考えがまとまらなくなってしまって。

ただこの家は値段の割には条件がいいんです」


確かにそのようだ。800万なら掘り出し物だ。1千万と言われても納得する。ただカミロが考え抜かないこともあるのかなとは思う。


やはり形式化というか定式化されずにあいまいな条件が多い上に最大化する指標もあいまいだと、考えにくいのかもしれない。


前世で学者の人で、専門のことはやたらと細かいのに、専門外はずいぶんおおざっぱ決め方をしていた人がいた。



 住宅ローンについては幹部だけでなく、その下の従業員たちにも、働きに応じて限度額はそれぞれだが、使えるようにした。


やや無理してこちらに来たこともあるし、せっかく育てて能力があるので囲い込みたいこともある。

けっこう金は使ったが、投資だと思うことにしよう。



 そのうち住宅ローンも商売をとして考えてもいいのかもしれない。金貸しとしてはいちばんリスクがない。


それに日本のように建物の価格が急激に下がるわけでもなく、むしろ上がるから、貸し倒れがあっても担保で清算できる。その時に借りている人があまり悲惨にならないのがいい。



 こういう相談は……やっぱりカミロなんだろうな。なんとなくえげつないこと考えそうで怖いけれど。


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