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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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45. マルクに経営の打診

 アーデルベルトとパストーリ氏に株式会社制度の概要を話したところ絶賛された。


もちろん将来、社会を変えるような制度だ。ただとりあえずは俺が使いたいだけだ。




 さてそこで誰に経営をゆだねるかだ。もちろん商会がつぶれたとき株式としての出資分も痛いが、今の制度だともしかしたらさらに金を出せと言われる可能性もある。


それなら無理なことをしない経営者を選べばいい。


またクルーズンでのうちの資本の規模がはるかに大きくなれば、こちらの町の小さな事業がコケて無限責任を負わされても対応可能だ。



 そこまで考えて、経営をゆだねる相手ももうほとんど決めてしまった。


ドナーティ商会だ。今は経営再建中とはいえ、マルクが入っているから少し安心できる。


しかもカテリーナの方も、もちろんマルキの暴走を許したとはいえ、自分の担当部分の事業はきちんと経営していた。


また彼らならこの町での商売にも詳しい。しかも仕入れについてずっと続けているので関係が深い。




 そこで考えたのは、まだ貸金のあるドナーティ商会と、シルヴェスタ商会を合併してしまい、さらに資本関係を株式で整理する。


その上でカテリーナとマルクを経営者、つまり代表取締役にして業務の執行をさせる。こちらから取締役を送り込んでもいい。


株式会社の制度上の本来の姿は株主が取締役会を選んで、その取締役会が代表取締役という代表者つまり会社の意思を決定するものを選びまた監督する形だ。


日本ではなぜか代表取締役が取締役会より上にいるつもりでいる。この辺は社会的・歴史的な問題もあるのかもしれない。




 ただそれは俺がかってに考えているだけで、カテリーナたちは同意しないかもしれない。


実は再建の過程で出資もしているのでかなりの資本関係があり、有望だとは思う。いちおうマルクの意向も聞いておこうかと思う。


「こんにちは、マルクさん」

「ああ、フェリス君。今日は何の用だい?」

「いや、ちょっと世間話でもしようかと」


マルクは何かにやにやしている。


「君がね、わざわざ来たということは何かまた大事をたくらんでいるのはわかっているんだよ」

「そんなにわかりやすいですか?」

「まあ、君のことは子どものころから知っているからね」


あまり腹の内がすぐにわかる商人というのも困ったものだと思う。少し気を付けないといけないかもしれない。


「それで何の用だい?」

「実はいま領主とトラブっていまして……」

「ああ、聞いているよ。まったく本当に無能な領主だよな。あのごくつぶしのドラ息子が」


アーデルベルトたちと同じことを言っている。とはいえ、マルクは領主より年下のはずだ。それでもそう言わせるものがあるのだろうか。


「それで町の北側は他の商人に譲渡することにしました」


「その話も聞いている。役所の方は初めから領都組に割り振るつもりなのに、公平を装うために土着組にも企画書を書けと言ってきた。

どうせ来ないかろくでもないところが回されるのだろうからと、3人くらい犠牲になって通り一遍の企画書を書いたようだ」


「本当にご苦労様です。うちから取り上げた分の商売ですから、さすがにうちはそんな企画書は書けないので」

「そりゃそうだ」


「それはともかく、クルーズンに移るつもりです」

「ああ、そうかあ。そりゃ、君ならあっちで勝負した方がいいよな」


「はい、それで町の南側の方の商売ですが……、こちらを引き受けてもらえませんか?」

「え? 南側も手放すつもりなのか……」


「いえ、完全に手放すつもりではありません」

「引き受けると言ってもうちの資金規模じゃフェリス君の商売は手にあまるぞ」


「その点はギルドの方と話し合って考えています」

「どうするんだ?」


「株式制度というのを検討しています。うちが出資して資本の方は持つ形で、経営は別の人に依頼する形です」

「それで僕たちが経営するというのか?」


「はい、正確には株主という出資者が取締役という監督者を選んで、その監督者が経営者を監督する形になります。私も取締役になるつもりです」

「それで僕らに経営者になれと」


「お引き受けいただけませんか?」

「あのなあ。あまりにも新しい情報が多すぎてすぐには決められない。だいいちカテリーナとも話し合わないといけないからな」


「実はうちの幹部の方もまだこのことは話していません。そちらで反対が多いともちろんうまくいきません。ただみんなクルーズンに行きたい上にこの商売は残したいというので、うまくいく可能性は高いです」

「本当に君は次から次にものすごいことを考えるよな」


「商業ギルドのパストーリさんには制度の詳しいことを話してあるので聞いてみてください。

ただ決定でなくてもいいのですが、方向性としてありですかなしですか? 後で変えてもらっても構いません」

「いやありだとは思う。約束はできないが」

「それならけっこうです。じゃあこちらももう少し検討を進めてみます」


いちおうマルクからはよさそうな返事をもらった。あとは商会の中の検討だ。




ブックマークや評価やいいねをありがとうございます。

いつのまにか200を超えていました。


ストックが少ないので怖いですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いします。

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