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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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10. クルーズンでの商売はじめ

 クルーズン進出にあたって今回は東に拠点を作った、それは本拠地のクラープ町に近いからだ。たぶん本拠地はこちらに移すような気がする。


その時はその時でまた市内のどこに置くか改めて考えなおせばいい。




 そのうち市の南部にも拠点を設ける必要がある。なぜかと言えば、そこに市場があるからだ。


クルーズン市は王国南部を南北に貫くダーフ川沿いにある。そして東の方はゼーラン方面からやはりやや大きい川がクルーズンのやや南でダーフ川に交わる。


またやや北側では小さい川が西からダーフ川にそそぐ。その南の方の合流点近くに船着き場ができ、さらに市場ができたのが市の始まりだ。


いまは政治的な中心はやや北側に移っているが、南には相変わらず大きな市場がある。だから商会なども中心部に店を、南に倉庫を持っていることが多い。


船便については今まであまり考えていなかったが、効率性からすると決して悪くはない。ぜひとも検討すべきだと思う。




 クルーズンで商売を始めようと思うが、すぐには難しい。特に行商の方だ。幹部はそんなにずっとクラープ町から離れているわけにはいかない。


その下の従業員たちはギフトについては知らせてしないし知らせる予定もない。そうすると任せておける担当者がいないのだ。


俺かだれか1人だけでも常駐するようにしたいと思う。




 商会で誰が行くかということになる。担当を考えるとアランかジラルドかカミロだ。ただカミロは明らかに向くとは思えない。


彼はそれなりに大きい組織で複雑で大きな問題を考えるのが得意だ。こまごまといろいろなことが起こる仕事に一人で対処するのは難しい。


向かない業務を無理に頼む必要はない。アランは例の歌の方でもう少し離れたくないらしい。それはそれで生き方なので干渉するつもりもない。


「私でよければ行きます」


ジラルドが申し出る。これはありがたい。彼は常識的でわりと安心しして任せられる。会議で諮った上で、月に7万ほどの手当を出すことにする。


それぞれ事情があるとはいえ面倒な仕事を任せるのに、お互いさまなどと言って手当なしですると、とにかくずるをしたがる人間が出てくる。


そうではなく何らかの事情があっても不公平が出てきたときに不満が大きくなる。仕事を割り振るのにお互い様などという変な情で処理するのは避けたい。


だいたい違うところに移るのはつらいことなのだ。




 ジラルドの向こうでの住居も手当しないといけない。しばらくは幹部用の居住スペースに泊まってもらってもいいが、他の人が使えなくなる。


しかもジラルドもそれでは休まらないだろう。向こうで部屋を探してもらう。こちらでは彼は家族とともに住んでいたので家賃は発生していなかった。


だから向こうに赴任してもらうのに住宅手当も出さないといけない。その辺の規定も作る必要がある。商会が大きくなるといろいろ面倒だ。




 ジラルドに任せると言っても1人だけでさせるわけにもいかないので、しょっちゅう行き来することになる。ギフト使用制限のルールを作ったが完全になし崩しだ。


あまりルール違反が常態化するのはよくない。単なる理念ならともかく、実効性を期待しているルールがいつも守られないと、ルール自体守らなくていいと思いがちになる。


仕方ないので専用スペースがあることなど例外規定を作って逃げることにした。




 結局毎日クルーズンと行き来している。ただそれはホールの維持のためで、一瞬で帰ってくることも多い。これについては向こうの拠点に専用スペースを作っておいてよかった。


それに幹部を連れていくときも、専用スペースは寝泊りができるようになっているので、その点は楽だ。宿屋の方が安くつくかもしれないが、他人がいないスペースは気が休まる。


しかも町と市の間は3日もかかるのにあまり宿屋しょっちゅう入り浸っていると、何か疑われそうだ。機密の保持の点でもこの方がいい。




 ジラルド自身もときどき町に帰すようにしている。さすがに成人しているので離れること自体は問題ない。ただこちらの都合で引き離している。


もっともしょっちゅう帰すとなると商会の他の従業員やジラルドの家族にギフトのことが説明がつかなくなるので、月に1度ほどだ。


クロはまたあんたかいという顔で見ている。





 拠点を作ったからには人を雇わないといけない。それには商業ギルドに頼むか、教会に頼むか、クルーズンでの仕事だと示してクラープ町で採るかだ。


ただ最後のはやりにくい。出たがる人がいるのでその点は都合がよいのだが、既存の組織に外に出ることを前提に募集を頼むことがしにくい。


町のギルドは町の商売の新興を目指しているし、教会も信者と家族の平穏を目指している。募集を生業とする業者でないので、そういうことは頼みにくい。




 クルーズンで採るのはさほど難しくない。幸いにも人が流入している。こういう状況だと新たに仕事を探している人も多いから募集をかければ人は来る。


商業ギルドにジラルドを連れて行き、向こうの担当者と話す。商業ギルドでは職種と職務内容と待遇を出すと、近くの人に声をかけてくれるようだ。あとはジラルドに任せることにする。


ジラルドの趣味なのか、やはりまじめな人が多いようだ。あれでなんでチャラいアランと友達なんだろう?




 採れる人はやはり待遇次第で能力も変わるようだ。特にクルーズンまで来るとやや上級の学校を出ている者も多い。


大半は寺小屋までだが、その上の実業系の学校や神学校などに通う者もいる。


なお神学校の卒業者はあまり厚遇ではないようだ。読み書きは得意だが、あまり儲けにつながる技術を習っていないかららしい。


ただ俺の場合は塾をするのでそちらも雇うことを考えている。それに塾以外でも使いようのような気もする。


とりあえずは当面の商売や拠点の掃除などに必要な人を数人採ることにした。




 クラープ町では流通網を使って商売を効率化してきたが、クルーズンでそれをすぐにすることはできない。時間をかけて実現するしかない。


そこでまずは単独でできる塾と洗濯屋を始める。塾の方は教会と付き合わないといけないので後回しだ。まず洗濯屋から始める。

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