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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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クルーズン拠点と幹部スペース

 クルーズン進出にあたって拠点は買わずに借りることにした。そうしたのは失敗して撤退する可能性もあるからだ。クルーズンにある競合の商会はクラープ町ほど甘くない可能性がある。


だいたいギルマンのような能力のある奉公人が何人もいる商会を相手にしていかないといけないのだ。


その時に物件を持っていると動きが取れなくなる。事業がうまくいって本当に進出することになれば家賃分損するだろうが、保険だと思い初めは借りることにした。


商売が順調なら改めて買うことにすればいい。




 市の東の郊外に拠点から商売を広げていくつもりだ。東にしたのはクラープ町からくるときは東地区に入るからだ。


クラープ町とのやり取りがしばらくは多くなる。郵便もそうだし、いまはアクセサリを買い付けてクラープ町で売っているが、それ以外も売るかもしれない。


逆にクラープ町から何か持ってきてクルーズンで売るかもしれない。そういう時にやはり近い方がやりやすそうだ。


店自体はするつもりがないので奥まったところに借りる。通り沿いはやはり家賃が高い。少し奥でも人口増加気味なのでクラープ町のように安いわけではない。





 物件はある程度行商の拠点になるように、それから塾とクリーニングができるように、それから幹部が出張して泊まれるスペースがあるように広めにした。


この最後のところは俺がギフトのホールを使うためのスペースでもある。だから幹部以外立ち入り禁止だ。それにまた出入口が2つあるようにしてある。


どちらからも入ることができようにするためだ。俺がギフトでそこに入ったとしても、どちらかの入り口をずっと見ていた人が、他方から入ったと思う仕掛けだ。


「この建物のいいところは、このスペースに出口が2つあるところなんだ」

「それで何がいいんですか?」


「ギフトのホールでここからクロのところに帰ったとする。片方の入り口前にいた人は俺がいなくなっても他方から出たと思ってくれる。

逆にギフトのホールでクロのところからここに来たとすると、やはり片方の入り口にいた人は俺が他方から入ったと思ってくれる」


「なるほど」

「これならギフトも使いたい放題だな」

「いやいや、それは危ないからやはり制限付きだ」




 やはり行き来したい幹部は多いようだ。だいたいアランなど物件を探しているわずかな間にクルーズンの女の子と知り合いになっている。


一体いつの間にと思う。神様にいただいたギフトをデートに使われても困る。クロ様というこの世界の至高の存在とデートするためのものだ。



 カミロの方はそんなことはないが、何か定期的に運びたいものがあるらしい。おいしいキャットフードか猫のおもちゃを運ぶならいいけど。


でもそんなものは手下かみが勝手に用意する。とにかくどちらもほどほどにしてほしい。



 なおカミロはクロとは関係が悪くない。カミロ自身が猫っぽい気もする。


猫と猫というのも前世では仲が良かったり悪かったり、ある時はよかったのに別の時は悪かったりしていた。


ある時はうなりあいどころか吠え合いしていた雌猫同士が、仲がいいとまではいわないが近くにいてもさほど気にしなくなっていたこともあった。


それは人間同士でもそうだから、そういうものなのかもしれない。




 泊まれるスペースができたので、幹部たちはけっこう意気が上がっているらしい。宿屋というのはやはり仮のスペースでしかない。


荷物などをずっと置いておくことはできない。帰るときは忘れ物がないか不安になるし。


その点で自前のスペースは好きなものを置いておける。もっともその分は家賃がかかるけれど。


シンディは剣を置きたいという。

「だって敵から攻められたときに防衛しないといけないでしょう」


いやいや、商人はふつう武力では攻められない。算術を勉強してくれた方がよほど防衛になる。とはいえとりあえず一本くらいはおいておく。


「楽譜と歌詞カードと俺の色紙を置いてクルーズンでもファンを増やしたい」

とアラン。それは自分の家でしてくれ。いや儲かるくらいファンがつくなら商会としてもバックアップする。


ジラルドは特に何もない。そういうところで主張しないとああいう連中に全部持っていかれちゃうぞと言った方がいいのか。


カミロは作業するための広い机が欲しいという。それはもっともだ。用意させよう。とはいえ、そのうちカミロの資料だらけになりそうだけど。


リアナは食材中心でもっと外のスペースでもよさそうだ。エミリも特にないらしい。




 そんな感じで始まったが運用していくと、けっこうみんな思い思いに勝手なものを置いていく。


共用スペースなのにいや共用スペースだからかあまりにもごたごたになっていく。


幹部スペースの外の方が広いので、そちらで構わない物はできるだけ外に出すようにする。





 ちょっと面倒なのは幹部以外出入り禁止にしてあるので掃除も自分たちでしないといけないことだ。いちおう使用人たちには機密書類などがあるからと言っておいて、鍵もかけている。


シーツなどは外に出しておいて洗ってもらい、新しいものを出入り口の前に置いてもらう。




 やはりジラルドやエミリのように几帳面な人が使った後はきれいだが、アランやシンディのあとだとさんざんだ。


ただ清潔さにかけてはリアナが一番厳しくて、俺達にまで掃除の研修をしたり、清潔を呼び掛ける標語を貼っていた。


研修の方はアランとシンディには少しは薬になった気もするが、標語の方はさすがに休まらないのでやめてもらった。




 拠点はできたが、まだ何も仕事を始めていない。幹部の誰かが常駐するくらいでないと実際には始められないと思われる。


まずはそれを誰にするか考えないといけない。それに人も採らないといけない。いろいろ立ち上げ期は大変なことがわかる。


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