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猫の世話人、冒険も商売も猫のためのチート能力で9時5時ホワイト勤務  作者: 猫の手下
3章 12歳~ 商売の展開とクラープ町での陰謀 クルーズン市
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町と村の間の郵便(上)

 クルーズンに行くことにもう一つ大きな問題がある。セレル村との距離が遠くなるのだ。


セレル村からクラープ町は徒歩で3時間ほど、だがそこからクルーズンは徒歩で3日ほどかかる。


俺とシンディとマルコが育ったのはセレル村で、クラープ町には2年余りしかいない。だからなじみの友人知人はセレル村に多い。


ロレンスには月に1度以上は会っているが、クルーズンに行けばそれほどは会えなくなる。




 ロレンスに会ったときにクルーズンに進出すること、近い将来に移る可能性もあることを話す。


「あなたはあっという間に私の手の届かないところに羽ばたいていきますね」

「どうもすいません」

「いえいえ。どんどん活躍してください。ブラック潰しでしたか、もっとなくせるといいですね」

「はい。クラープ町でもドナーティ商会をブラックでなくしました。クルーズンでもそうするつもりです」

「そうだ手紙も送ってください」




 手紙は誰か旅をする人を見つけて頼んんで送ってもらうか、専用の飛脚を頼むしかない。それでは手紙は送りにくい。


せっかくだから町と町の間でも手紙がやり取りできるシステムを作ってしまおうかと思う。


その前にセレル村とクラープ町をつなげなければならない。




 さっそくそれは幹部会議で話す。あとはカミロがかってに考えてくれる。ただ一度は村にも行って向こうの郵便も見てもらわないといけないだろう。


上手く予定を合わせてカミロと村に行く。村では俺の作った郵便のシステムが動いている。村の本体と周辺の5つの集落間は馬車業者が運ぶ。


本体内や集落内では子どもの配達に頼む。伝票を作って記録するとともに、受け渡しは記録するものだ。




 基本的に町でも同じシステムを使っている。それで接続すればいい。受け渡しのときにきちんと記録すれば追跡できるだろう。


運ぶ主体が複数あるとどこでなくなったかわからなくなり、責任があいまいになりがちなので、記録はあった方がいい。


記録があれば手紙がなくなってもどこでなくなったかわかるので、探し直したり、賠償をする者がだれか特定したりしやすい。


今回も接続部分では伝票を作って受け渡したことをすべて記録することにした。





 実際にどのような受け渡しにするのかカミロと考えて、村で郵便をしている馬車業者と話し合うことにする。


カミロとは手紙にコードをつけて管理することにした。そこで向こうの馬車業者のルッツさんからどんな仕組みにするのか聞かれた。


「例えばクラープ町のA地区からセレル村の北の集落まで手紙を出したとします。このときに下の図のようになります」


(クA) ―― (ク中) ―― (セ中) ―― (セ北)


「まずうちが手紙を引き受けてクラープ町のA地区の集配所で手紙にコードをつけて、さらにA地区のノートに引き受けを記録します。


そしてうちがクラープ町の中心部に運び、そこでも中心部のノートにコードを記録します。


さらにセレル村の中心部に運び、そちらに引き渡しまたコードを引き渡しノートに記録し、ルッツさんがサインします。


そしてルッツさんがセレル村の北集落に運び、北集落のノートに記録した後に届け、届け先のサインを伝票に受け取ってからその旨を北集落のノートに記録します」


「ずいぶんと記録が多くて面倒そうだな」

「はい。もしどこかでなくなしたときに、どこでなくなしたか追跡するためです」


前世なら通信技術ですべて把握できるが今はあくまで各地のノートに残っているだけだ。それでも追跡は可能だ。


「手紙をなくしたときに、(クA)で記録があるのに(ク中)でなければその間でなくして、そこを探せばいいことになり、なければうちが責任を取ります。


もし(ク中)にも(セ中)記録があって、(セ北)になければルッツさんが探し、見つからなければルッツさんが責任を取ります」


「なるほどな。それにしても面倒だな」


「記録がないと、どこでなくしたかもわからなくなり探す範囲が広がりますし、あるいは手紙の送り手や受け手が勘違いしたり嘘を言っているかもしれなくなります。

ものすごくややこしくなるので記録はあった方が便利です」


「わかった」




 何でこんな面倒なことを考えるかと言えば将来は全国規模の郵便に広げたいからだ。もっと多数の業者が関わって郵便を行うことになる。


中には怪しい業者もあるかもしれない。その時になくした業者に責任を取らせることで、郵便の品質を向上させることができる。


しかも信頼できない業者には改善を促したり、どうしてもそれができない場合は全国の郵便システムから追放したりできる。


そうすることで、手紙が届く確率が極めて高く、もし届かなかったとしても賠償を受けられるようにできる。


幸か不幸かこのシステムは少し後にうちの商会にとって大変に助かるものになった。




 前世では郵便が届かないことはほとんど考えられなかったが、こちらでは届かないことがざらである。それでは手紙を出そうという気がそがれるし、郵便を利用して何らかのやり取りを進めるにも支障をきたす。


また割増しで配達通知付きもつくることにした。つまり先方に配達が終われば、その旨のサインをもらって逆に発送元に知らせる仕組みだ。


日本だと内容証明とセットで訴訟に使われていた。昔々のイギリスの郵便ではオプションで付けなくても初めからあった覚えがある。

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