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第13話 冒険の夜明け

 はげしくもアホらしかった戦いの夜が明け、まぶしい朝がきた。

 半壊した村の様子が嫌でも目についてしまう。

 昨夜の出来事は、やはり夢ではなかったのだ。


 村は半壊。

 部族の半数がモンスターたちによって殺害されてしまった。

 家畜も多くが犠牲ぎせいになった。

 生きのびたものの逃げてしまった動物たちも多い。はやく回収しないとモンスターたちのエサになってしうまうことだろう。


 まさに悲惨のきわみ――。

 ただ一人アイシラをのぞいて、部族の誰もがそう感じているようだった。

 例外のアイシラにしても平気でいられるわけではない。


 半分は守れた。だが半分だけだ。

 あのふざけた視聴者どもが来なければもっとたくさん救えたのに……!

 

 怒りとストレスで顔をしかめながら、アイシラとタカキは救助活動と瓦礫がれき撤去てっきょ作業を手伝っていた。

 こんな災害時だ、さすがに働きたくないとは言えない。

 アイシラもしぶしぶ肉体労働にはげんだ。



 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞



 その夜。

 アイシラとタカキの二人は妙にかしこまった形式で、長老である祖父の前に座らされた。

 そしておごそかに命じられる。


 お前たち二人は旅に出よ――と。


「これは村だけの問題ではない。

 なにかとてつもないことがこの世界におころうとしておる。

 それをお前たち二人で確かめてくるのだ」


(おお、これぞRPGのはじまりって感じね!)


 これからはじまる大冒険の日々を思うとワクワク胸が高まってくる。

 タカキも目に強い光をたたえながら深くうなずいた。


 しかし、続く祖父のセリフはちょっとばかりアイシラの予想をこえた。


「手始めに北の砂漠にむかい、我が部族の秘宝を取ってきなさい」

「えっ!? まだ早すぎない!?」


 アイシラは反射的に叫び、そしてしまったと思った。


「なにが早いんだね」

「姉さんもしかして村を出たくないの?」


 祖父と弟が不思議そうにアイシラの顔を見てくる。


「あ……、いや……」 


 それゲーム後半のイベントだから、なんて言えない。

 アイシラたちが暮らす大草原の北に、ビゴー砂漠というゴビ砂漠みたいな名前のマップがある。

 そこには流砂地帯があって、うまく流れに乗っていくと広大な地下ダンジョンに入れるのだ。


 最深部には神があたえし宝珠の一つ「土のトパーズ」と、小剣系最強の武器「ガイアのつるぎ」がある。

 他のキャラでも行くことはできるが、ほぼほぼアイシラのために用意された後半イベントだ。

 

 先祖代々守りぬいてきた部族の秘宝「土のトパーズ」。

 これを狙って邪神はモンスター軍団を使い村を滅ぼしたのだ。

 そうとは知らずに世界を旅して多くを学んだアイシラは、ようやく神話の時代と部族との関係を知る。

 最後の生き残りであるアイシラは先祖代々守りぬいてきた秘宝を手にし、仲間たちと最後の決戦に挑む――。


 ……みたいなのがアイシラ編の後半・・イベントなのだが。なぜそれが二番目・・・のイベントになってしまったのか。


 砂漠の地下にはヤバいボスがいる。

 クッソでかくて激強げきつよなドラゴン、「地竜」だ。


(いま行ったって勝てるわけないじゃん!)


 一難いちなんってまた一難いちなん

 今度はたった二人で後半のダンジョンに行かなくてはいけなくなった。

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