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8.王族という立場

「…ジョーゼル様が王太子になったら、私が王太子妃になるってことですよね。

 将来的には王妃に…私はそんなことは望んでいません。」


「…わかっている。アンジェならそう言うと思っていた。

 だからこそ、公表しなければいけない。

 第三王子だと公表し、結婚と同時に王族から抜ける意思を表明しなさい。

 そうすれば王太子になる気が無いと先に伝わるだろう。

 貴族だけでなく民衆まで騒いだ後に王太子になる気が無いと言っても無理だ。

 最初からそんな気は無いと言い続けなければ、騒ぎに巻き込まれる。」


なるほど…なりたくないからこそ、王子だと先に発表したほうがいいと。

王子だと公表した上で、王太子になる気がないことも伝える。

そういうことなら公表しなければいけない理由はわかる。

先に言っておかないと都合よく考えて動かそうとする人たちが必ずいる。

だけど先に王族を抜けると表明しておけば、もうどうしようもない。


「わかりました。結婚と同時に王族を抜けさせてください。

 アンジェ様もそれでいいよね?」


「ええ。私もそれが良いと思います。」


「よし、では明日の朝までにはそのことを公表する。

 それで…二人は公爵家と侯爵家、どちらを継ぐんだ?」


ジョーゼル様は侯爵家の嫡男で、私は公爵家の一人娘。

ジョーゼル様には弟がいるし、公爵家は従兄が継ぐこともできる。

どちらを選んでもそれほど困ったことにはならないと思うけど…。



「…えーと、アンジェ様はどっちがいい?」


え?私に聞くの?急にそんなことを言われても?

思わずお父様へと助けを求める。

公爵家をどうするかはお父様が決めることだろうし。


「…お父様、どちらがいいですか?」


「…侯爵家に次男がいるなら、うちを継いでくれるとありがたいな…。」


「わかりました。公爵家を継がせてください。」


あっさりと受け入れてもらったけど、本当に大丈夫なのかと心配になる。

キュリシュ侯爵の許可はいらないのだろうか?

ジョーゼル様を見上げたら、大丈夫だよと微笑みを返された。



「では、公爵家に婿入りっていうことでいいな?

 ジョーゼルは王宮薬師にはなるのか?」


「公爵家に問題なければそのまま王宮薬師になります。

 弟も毒耐性スキルを持っているので、問題なく侯爵家は継げるでしょうけど、

 それはそれで俺は薬師に興味があります。」


「ふむ。それは心強いな。

 毒耐性スキル持ちの薬師は一人でも多いほうがいい。

 ぜひそうしてくれ。」


「では詳しいことは陛下と私で詰める。

 アンジェはもう遅いから屋敷に戻りなさい。」


「はい。」


「送るよ。」


「ええ。ありがとうございます。」


ジョーゼル様と謁見室を出ると、もうすでに外は暗くなっていた。

話している間に結構時間が過ぎていたようだ。


馬車へと向かおうとすると、近くの応接室からナイゲラ公爵が出てきた。

ミリア様が一緒にいないのは先に屋敷に帰したのだろう。

申し訳なさそうな顔した公爵様は、

私とジョーゼル様へと時間をもらえないだろうかという。


その表情から想像するとあまりいい話ではなさそうだが、

今日にでもジョーゼル様とミリア様の婚約の解消が公表されることになる。

関係が無くなればあらためて話すのも難しい。

ジョーゼル様と話すのは今しかないと思ったのだろう。


「…アンジェ様、少しだけつきあってもらってもいいか?」


「ええ。大丈夫です。」


「ナイゲラ公爵、少しなら話せます。

 この後、アンジェラ様を送らなければいけないのであまり時間は取れません。

 それでもよろしいでしょうか。」


「ああ、ありがとう。それでかまわない。

 応接室の中で話しても?」


「わかりました。」


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