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47.処罰の行方

「ですから、ミリアを嫁がせましょう。」


「「「は?」」」



「フランディ国王が側妃を求めていましたよね。

 条件は若い高位貴族令嬢。

 性格や見目はあまり気にしないが、血筋だけは正しい令嬢をと。」


「……言っていたな。」


「ミリアを側妃としてフランディ国へ嫁がせ、

 生涯リスカーナ国へは立ち入りを禁じる。

 女性騎士二人も、フランディ国へ輿入れする際の侍女として行ってもらう。

 ナイゲラ公爵家は下の娘がいたでしょう。

 その娘に継がせるが、婿はこちらで決めさせてもらう。

 もう二度と教育を間違えないように、令嬢教育のほうもこちらで手配する。」


「ですが…下の娘はまだ六歳で…

 病弱ゆえに領地から出たこともありません。」


「知っているよ。

 そのせいで夫人が領地にこもっていて、ミリアが野放しになっていたのも。

 はっきり言って、その娘もミリアと同じ道をたどると思うね。

 ナイゲラ公爵領の者たちは小柄なものに甘い。

 ミリアだけじゃなく夫人も甘やかされているのでは、

 その娘も結局は同じことになる。

 言われることに心当たりあるだろう?」


「…うぅむ。」


ナイゲラ公爵領は民族的な特徴で体の大きなものが多い。

そのためか、他家から嫁いできた夫人が小柄だったせいで、

公爵領の者たちがこぞって甘やかしている。

社交界に出ることもなく、かといって領地で采配しているわけでもない。

下の娘が病弱だと言っても年に数度風邪で寝込む程度のものだった。

それなのに領地で遊び暮らし、学園に通うミリアは放置していた。

このままでは下の娘もミリアのように礼儀知らずの令嬢になる。

同じことを繰り返さないためにも下の娘を公爵家に任せることはできなかった。


「アンジェが襲われたことが公になれば、

 相手がミリアや女性騎士だったとしても醜聞は免れません。

 処刑して終わりにしたほうがあとくされ無いのはわかってますが、

 おそらくアンジェはそこまで求めていない。

 ミリアがフランディ国に嫁いで、

 もう二度とこちらに戻ってこないのであれば納得するでしょう。

 どうですか?宰相。」


「…そうだな。生涯幽閉にしたとしても、ナイゲラ公爵領では無理だろう。

 周りのものがかわいそうだからと言って外に出してしまう可能性が高い。

 王宮に幽閉し続けるのは…アンジェがいつまでも気に病んでしまう。

 …陛下、私もハインツ様の案に賛成いたします。」


生涯幽閉にするのは処刑するよりも難しい。

ミリアの生活をずっと王家が面倒見ると言っているようなものだし、

監視する人員を必要とするのも無駄でしかない。

なによりもアンジェの心がずっと休まらないはずだ。

宰相としては予算面とアンジェのこと、どちらにしても選ばないと思った。


決めるのは父上だが、父上はナイゲラ公爵に選ばせることにしたようだ。

どの道を選んでもナイゲラ公爵領のものたちは騒ぐ。

それを諫めるのはナイゲラ公爵の仕事になる。

せめて自分で決めさせてやろうということなのだろう。


「ナイゲラ公爵。どちらかを選ぶがよい。

 三人とも処刑か、三人をフランディ国にやるか。

 恩情は十分にかけた。これ以上は譲る気はない。」


「…フランディ国へと嫁がせます。」



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