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第X章 第三節 妹 ー2ー
第X章 第三節 妹 ー2ー
お兄ちゃんの葬儀の喪主はわたしが努めた。
父がやるのが普通なのかもしれないけれど、わたしの結婚式のバージンロードは、お兄ちゃんにお願いした。
「親父の面目、丸潰れだろ。普通、こういうのは父親がやるもんだろ」
ーーーお兄ちゃんがやってくれないなら、わたし、結婚しないから
はあ、仕方ないなぁ。と言った顔をして、諦めた兄。
「ならさ、約束してよ?」
ーーーなあに?
「お前の結婚式のバージンロードは、俺がやる。親父にも話はする。ただ・・・」
ーーーただ?
「俺が死んだら、葬式の喪主はお前に託すw」
ーーー変な冗談、やめてよ。お兄ちゃんが死んだら、わたし、後、追うかもよ?生きて?
「結婚しようとしてる奴が軽々しく死ぬとか、言うな?なら、親父と話、しろよ?」
そのときのお兄ちゃんは、
最近痩せたね、とか、
カッコよくなったね、とか、
職場のエースだね、とか、言われてたけど、
わたしには、全くそんな風には見えなかった。
死ぬ前にやり残すことの無いように、強がって。
わたしは、お兄ちゃんの葬儀の夜に大泣きした。
(未完)