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拝啓、廻る季節に君はいない。  作者: 日逢藍花
第四章 冬の断章 -Irony-

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冬の断章-②

 俺たちは今までできなかったことを、なるべく果たそうとした。



 彼女がずっと行きたがっていた焼肉屋に行った。


 互いに経験のないカラオケで下手くそな歌を披露し合い、バッティングセンターやボーリング場で心の赴くままに身体を動かした。


 動物園と水族館をはしごした。


 日本で一番星が良く見えると言われる高地で、二人で寝転びながら、この世のものとは思えない夜空を見上げた。


 遊園地を一緒に回り、列に並ぶことなくアトラクションを全周した。


 中退した大学の講義に紛れ込んで、共にキャンパスで学食を食べた。


 コンビニで戯れに結婚情報誌を買って、それを二人で眺めた。


 幼い頃、彼女が祖父母に連れていってもらったという思い出の劇場で舞台を見た。


 終演後に力を使って人を散らし、大きなステージの上で『ロミオとジュリエット』のかけ合いを二人でした。


 目玉が飛び出そうなほど高級なホテルで寝泊まりをした。


 今まで飲んだことがないという酒を買い込んで、満足するまで飲み漁った。


 煙草も吸いたいと言ってきたが、彼女はすぐに咳き込んで降参してしまった。


 案の定、悪酔いしてベッドに倒れ込み、俺たちはアルコール臭い呼吸を絡ませ合った。



 時々、彼女は悪戯のように、「永輔」と呼び捨てで俺の名前を呼んだ。


 俺も笑って、「燎火」と悪戯のように呼び捨てで返した。


 金や身分の心配は何も要らなかった。


 彼女の力を使えば、いくらでも電車に乗り込むことができたし、どんな場所にも入り込むことができたからだ。


 今までの憂さを晴らすみたいに、俺たちは世界に対して傍若無人に振る舞った。



 限られた時間は、あっという間に過ぎていった。

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