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秋の断章⑦-1
La traviata。
日本では『椿姫』として知られている、アレキサンドル・デュマの小説を元にした有名なオペラだ。
ヴィオレッタという名の高級娼婦が年下の純朴な性格の青年と出会い、本当の愛を知りながらも、息子の面子を気にした青年の父親に請われ、自ら手を引くことを決める。
そして最期には病に罹って、一人で寂しく死んでいく。
彼女は月の大半は白椿を身につけて、生理の間だけ赤椿を身につけたという。
汚れた身の上でありながら愛のために自己を犠牲にし、高潔に生きたヒロインの姿に俺はある女の子の姿を重ね合わせずにはいられない。
実際、彼女がその身に宿す美しさは、姫と呼ぶのに相応しいものだった。
そんな綺麗な女の子に、ずっと俺は恋をしていたのだ。




