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拝啓、廻る季節に君はいない。  作者: 日逢藍花
序章
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幕間1-①

 ひとまず導入のために、少しばかり退屈な身の上話から始めようか。


 まずは名前だ。福島永輔(ふくしまえいすけ)


 両親曰く、俺が生まれた当時に持て囃されていた男性タレント(想像に難くないだろうが、母はその熱心なファンだった)と、祖父から一文字をもらって考えた名前らしい。


 四月二十日生まれ。


 貧乏とも言えないが、さりとて裕福とも言えない一般家庭の出身。


 想像力には欠けるが、普段は温厚で絶品な煮物を作る母親。


 柔軟性には欠けるが、半年に一度は必ずボーナスが支給される父親。

 

 兄弟はおらず、絵に描いたような平凡な三人家族だった。



 いや、すまない。

 

 そんなくだらない情報を、くどくど羅列していっても仕方がないな。

 

 ここは思い切って、時系列を大きく飛ばしてしまおう。


 その方がきっと実りが多いだろうし、何より退屈が少ない。


 いささか唐突だが、俺にはいつまでも忘れられない四つの季節がある。


 時系列はてんでばらばらだが、それぞれの情景、空気、音、匂い、温度。


 その全てが忘れることのできない記憶として、脳内の深く深くにこびりついている。


 それらが互いに絡み合って、福島永輔という一つの人格を形成していると言っても過言ではないだろう。



 幼馴染に裏切られた春。

 

 初恋の女の子を奪われた夏。

 

 大学を中退した秋。

 

 人生で最も大切に思えた人と出会った、冬。



 経緯を一気に話せば長くなる。


 だから今はとりあえず、彼女と出会ったあの年の冬の話をしよう。

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