85日目「強者」
85日目「強者」
ワイや、アヴァローグだ。
まさか…まだワイにも、磨き切れてない弱点があったとはなぁ…。
勇者が水着になって泳ぎ始めた時に、ワイも一緒になって泳ごうとしたんや。
そしたら勇者と同じように手を回してる筈なのにどんどん沈んでいってな、少しだけ溺れかけてしまったんや…!
それに気づいてワイを救助してくれた後に、勇…アルタイルからしっかりとコツを教えて貰ってな?
今では、少しだけやけど身体を前に進ませる事ができるようになったんや。
身体は完璧に鍛えたと思っていた筈やったけど、、まだまだワイは…それだけで満足してた半人前だったみたいやな…。
って事は、もっともっと強くなれる証拠って訳や!!!!!
勇者には負けてられんからな…少し休憩したら、また泳ぎまくってくるぜ!!
にしても、やっぱり初めての経験って言うのは何時でもワクワクするもんやな~。
エルフの領地には水辺なんて無かったしなぁ…帰ったら、子供たちが遊べたり、エルフ警備隊が訓練できるような水辺を作ってやりたいぜ…。
その時までには、ワイが泳ぐのを教えれる側にならねぇとダメやな!!!
みんな、どんな顔するだろうな…今から楽しみや。
あと…勇者と彼女が無事に仲直りできたみたいで良かったぜ。
一時はどうなる事かとヒヤヒヤしてたんやぞ??
何せ、別世界のキャンプ地で勇者の彼女とワイが二人きりになった時があってな…ずっーと気まずかったんや…。
その時な?少しでも静寂が来ないように、ワイが色々な話をしてたんや。
エルフの館に居る子供たちの話、エルフ警備団の話、そして
今のワイの話。
いつの間にか口に出してしまってたんや…
俺の立場がないって
何の役にも立てれてないって
確かにワイらしくない話だとは思った…でも、あの時はそんな事を考える余裕が無かったんや。
だから…少しだけ、弱音が出ちまった。
そしたらな?
アルタイルの彼女‥‥いや、ディアノちゃんが言葉をくれたんや。
貴方が居てくれるから、私たちは安心して旅をすることができているのよ。
だから…気負いなんてしなくても良いわ。
貴方も、私たちの仲間なんだから。
って言ってくれたんや!!!!
ワイは凄く嬉しかった…本当、沢山の良い仲間に巡り合えて…支えられて…今のワイが生きているんだってめっちゃ感じたんや。
それなら…こんな場所で弱音を吐いている場合じゃねぇなって前を向けたし、何時もより轟轟と燃える焚火を作り上げる事ができたんやで!
きっと小さなことかもしれんけどな…
その焚火で、ワイを仲間と思ってくれている皆が笑顔で過ごしてくれたり、暖かく過ごしてくれるのを見るのが
ワイにとって、一番幸せに感じる瞬間なんや。
己の『弱さ』を知り
己の『強さ』の限界を顧みない。
彼こそ
元エルフ長 リリティエ・アヴァローグ
エルフの≪ 明日 ≫を照らし
エルフの≪ 未来 ≫を担う者
そして
彼らの笑顔を守る「 強者 」である。