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73日目前編「幸せな臆病者」

73日目前編「幸せな臆病者」

ワイには幼馴染で、結婚した妻が居たんだ。


どんな時も明るくて…何があっても、ワイを信頼して頼ってくれるようなエルフだったんやで?


ワイと彼女の間には双子ちゃんが居てさ、どちらも可愛い女の子やったわ…。


そんな幸せな家庭に恵まれる前の俺なんて、酷い有様だったんやぞ…?


子供の頃のワイなんて、誰よりも弱虫でさ…簡単に泣きべそをかくもんだから、色んなエルフらに嫌われていったんや。


次第に一人を好むようになって≪エルフの楽園≫に何度も足を運ぶようになった…。


そんなワイに一輪の花をくれたのは、まさに彼女だった。


一人で泣いていたワイに声を掛けてくれて≪エルフの楽園≫に咲いていたであろう一輪の花を、ワイにくれた…。


そしたらワイの手を引いてくれて、一緒に花園の上を走りまわったなぁ。


くしゃっと無邪気に笑う彼女に心を奪われてさ…気が付けば毎日≪エルフの楽園≫で遊ぶようになっていったんよ。


時には追いかけっこしたり、時には花冠をお互いに作ったりしてさ…何もかもが、ワイにとって初めての事ばかりで、全ての想い出が宝物になっていった。


しかもワイを嫌うエルフらからイジメられていた時も、彼女は手を広げて止めに入ってくれてさ…ワイの事を何度も助けてくれた…。


いつしか心が何度もドキドキしてて、上手く言葉に言い表せないような感情に振り回されるようになっていったんや。


それが恋心だと知ってからはずっと、彼女の事を想うようになって…ずっと告白の練習をしたり、良いところを見せようとしたり、自分を変えようと必死になった時もあってさ…。


でも、彼女がな


「そのままの君も大好きだよ」


って言ってくれた時…


ワイは、彼女を一生愛すると心に誓ったんや。


だが…告白するまでに時間は掛かったし、なんなら勇気を出して口走った言葉が…



「結婚してください」



だった。


言葉を間違えてしまってあたふたしてたワイに、彼女がな


優しく微笑みかけてくれて、頷いてくれた…!


それからは、お付き合いを何時間、何か月、何年と重ねていく内にお互いに深く惹かれ合うようになって…彼女と過ごしていく中で、次第に自分に自信を持てるようになって、声も張れるようになっていったんや。


まさに、彼女との出会いが…ワイと言う一人のエルフを成長させてくれたんや!


今のワイが居るのは彼女のお陰で、彼女が妻で居てくれる事がワイにとって何よりも誇りだったんよ。


だから、大切な妻を今度はワイが守る側になろうって決意した。


守ってもらうばかりのワイはもう捨てようって、惚れた女を守れる男になろうって、そう決めた。


身体も精神も鍛えて、彼女と同じように笑顔を大切にして生きるように心がけてきた…。


全ては大切な妻と子を守れる父になる為に‥‥どんな血の滲むような特訓だって耐え抜いた。


ずっと…こんな幸せが、生活が、生き方ができるって…ずっと…ずっと…そう思ってた。


だが…

この力ではどうにもならない暴虐が…あの日、始まった。




炎はあっという間にワイたちの絆を




容易く塵に変えていった。










紙の上でペンを走らせるエルフが一人。

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