58日目「紅き行く末」
58日目「紅き行く末」
フィアよ。
もう…エレくん!手を繋ごうとしてるのがバレバレなのよ!
ずっともどかしい気持ちだったわ…。
エレくんの方を見ないようにして平常心を保ってたけど、ずっと胸が締め付けられるように苦しかったのよ!
繋ぐならもっと早く繋ぎなさいよ…バカエレくん。
そうしないと
あっという間に手元から居なくなっちゃうわよ。
…なーんてね。
私が貴方の前から消える事なんて絶対に無いんだから、安心しなさいよ。
貴方の手、暖かかったわ。
ありがと。
今はね、エルフの森を抜けて湖畔付近にやってきているわ。
青く澄み切る湖…オレンジ色の影を浮かばせる、夕暮れの太陽…。
そんな…すぐに消えちゃいそうな水平線の景色。
きっとエレくんに付いて行かなければ…こんな綺麗な場所へ来ることも、もう無かったかもしれないわね…。
…でも実はね。
私、この場所は…以前にも何度か来た事があるのよ。
そして、この近くには私が大好きだった居場所がある…。
決して美しくは無い世界だったけど、この場所で幾度も仲間たちと酒樽持って酌み交わして…毎日のようにバカ騒ぎして…たくさん笑いあった。
あんな事が起きるまでは、仲間たちと笑みも涙も零し合って共に過ごしてきた日々…。
忘れもしないあの場所。
きっとまだ、残ってる筈だわ。
私の想い出の地。
【元宝奪団のアジト】が。
私ね…そこに未練があるの。
だから、絶対に行かなきゃいけないのよ…。
エレくんにお願いしてみるしか無いわね。
あ、そうそう!
何か綺麗って書いてたけど、気づいてくれたのね。
実は、メイドエルフちゃんにメイクをしてもらってたの!
一日だけだけど…少しは可愛い女の子になれてたのかしらね。
それと…気になったからもう一つ書くわ。
さっきの休憩所で頭を抱えて蹲ってたけど…何かあったのかしら?
日記書いているのは見えてたけど…ペンを落として急に悶えだすからビックリしたわよ…。
でも、、もしも何か抱えてるなら…。
いや、この言葉は書くべきじゃないわね。
私はエレ君の事をずっと信じてる。
だから、エレ君も私を信じて。
勇者としてでなく、人間としてでもなく…
「エレ君として」ね。
って、日記で書いても仕方ないわよね…!
いつか口で伝えなきゃ…!
君は一人じゃない。孤独でもない。
信じる事を忘れるな。
‟紅き少年よ”
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こんみか!神果みかんです!
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では!