27日目「奪うべきもの」
27日目「奪うべきもの」
…フィアちゃん、楽しんでくれてたんだな…俺との旅を。
日記で見る君は、とても新鮮だな。
君はずっと笑顔で王国まで着いて来てくれていて、俺の色んな話を聞いてくれた。
だけど、俺の前ではずっと笑顔を作っているようだった。
…冒険中の君はずっと笑顔だけど無口で、いつか口を開いてくれるかと思って楽しませていたけど、結局最後まで自己紹介以外で話してくれることは無かった…
けど、この日記には彼女の本心が、本音が詰まっている。
そして、どの日記にも必ず王国の事や、俺に対する想いを書いてくれている。
…ごめんね、フィアちゃん。
勝手に日記を見て。
だけど、君が素直な気持ちを書いてくれているお陰で気づけたよ。
君は、俺を利用なんてしていない。
利用せざるを得なかったんだと。
きっと、宝奪団にフィアちゃんは利用されているんだ…!
フィアちゃん。
今まで悪かった。
ずっとバカみたいにはしゃいでて
君の本心に気づいてあげられなくて。
だけど、これだけは伝えたい。
俺の事が期待できないなら、結果で見せてやる。
オシャレをしたいなら、借金をしてでも良い服を買ってやる。
綺麗な服を着たいなら、借金をしてでも綺麗な服を買ってやる。
ドレスを着たいなら、俺が着させてやる…!
俺は、お前の願いを叶えるまで傍に居続けてやる!!!!
俺は宝奪団から、お前を奪ってやるよ!!!
変態クソ勇者と罵られても!
どれだけ拒絶されようとも!
俺は、
一人の大切な仲間を救う為に立ち上がる!!!
確かに、ほんの少しだけの旅仲間だった…。
だけど俺は、彼女の道を照らす光になりたい!
やるか…勇者として…!
ここで終わらせない。
これからも続いていくんだ!
俺の英雄譚第二章!
一人の、大切な少女の救出!
もう、迷うのは止めた!
犯罪グループなんて壊滅させれば良いだけだ!!!!!
汚物は消毒だぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
待ってろよ…!フィアちゃん!
また、俺の前で笑ってくれよ。
目覚める想い、昂る拳。