92日目「芽生え」
92日目「芽生え」
俺さ、ここ最近特に街行く人々を見ながら思うんだ…
フィアちゃんとの子供が欲しいって。
この前、フィアちゃんと一緒に街をデートしてた時に迷子の少女が居てさ…
一先ず俺達で保護して親を一緒に探してたんだが、、なかなか見つからなくてな。
そうしている内に、少女のお腹がグーググーググーグーって腹の虫が鳴り始めてたから、付近の調理屋に立ち寄ったんだ。
でさぁ…?
なんだか…親心っていうか、、母性…?父性…?どっちか分からんが、そういう感情を少し理解できた自分が居てな…
子供が無邪気に、しかも美味しそうにご飯を食べているところを見てたら、もっと色んな食べ物を食べさせてあげたくなったんだ。
俺とか特に…モンスターを狩って、手に入った素材を商売道具にして、食べる事ができる部分を調理したりするからさ、数多くのモンスター料理をあの子に食わせてやりたいって思ったんだ。
なーんて事をフィアちゃんに言ったら、即棄却されたけどな…。
たまにで良いらしい。
…たまには良いんだ。
良かった。
あ、話が逸れたな。
ご飯を食べた後…その数分後に母親が無事見つかって、手を振りながら別れを告げたんだ‥‥。
でも、その少女やご家族とは縁があって交流を続けているんだよ。
実はその家族も商売をやってて、色々と援助して貰えるようになってから…やっと俺達の商売も軌道に乗り始めたんだ。
こうして、蟠り無くフィアちゃんと結ばれる事ができたのは、そのご家族のお陰でもある。
マジ感謝…感謝感激雨ナダレだな。
んでまぁ、、少しだけそのご家族を見てて、羨ましくなったんだ。
傍から見てても楽しそうだし、凄く笑顔で溢れてて…キラキラしてた。
だから、フィアちゃんとの子供が欲しい。
別に子供を作る事に関して…俺は知識が無い訳じゃないんだ…。
ただ…フィアちゃんがな、、あまりにも純粋が過ぎてて…ちょっと罪悪感が、、、な。
一緒にベッドに入ってもキスだけで終わって寝ちゃうし、、なんなら、キスで生まれてくるって言う程なんだぜ…。
そりゃそうか…情操教育を一ミクロンも通ってこなかったら、親の子供騙しな知識を信じるのは当然の事なのかもな。
‥‥ここは、俺がやらねば。
いや、俺しかいない。
これは、、そう、情操教育の一環だ。
ちょっとずつ教えていこう…夢を壊さないよう、オブラート10枚重ねを心がけて、な。
運命は加速する。
まだ見ぬ未来へと。