怠惰な世界
ずっと、そうだった
何にだって、真剣に向き合ったことは、ない
そもそも、「真剣に」って何だ
現代社会で、物理的に刃を交えることなど、まずない
あるのは、一方的な暴力
野菜も
肉も
魚も
人間も
切る、刺す、叩く時はいつも
一方的
そんな世が、ずっと続いている
法だの規則だのは、ただそこに鎮座するだけで
その法ですら、行使には力が要る
相手を頭から押さえ込む、力が
それで私たちは
「安全な」社会にいると、安心している
胡座をかいている
自分が拳を、刃を握る時のことを考えず
忌避して、忘れて、怠けている
「真剣」な瞬間から目を逸らす
この世界は怠惰だ