これから
パチパチパチと後方から拍手する音が聞こえて来た。振り替えるとクラインさんが良くやったと言わんばかりに満足げな顔をしながら拍手していた。
それに合わせてこの場にいた冒険者たちも強田に痛い目を見せた俺を拍手で称賛した。
途端に酒場中の止まっていた時間が動き出したかの様に空間が動き出す。
「いやぁ、君には期待していたけどまさかこれほどまでとは思わなかったよ」
クラインさんが近づいて来て言った。
「いえ、それ程でも・・・」
久しぶりに褒められて一瞬照れてしまったが俺はあくまでも冷静に振る舞った。
ところで、とクラインさんが強田に視線を落とした。
「その男はギルドで預かっておくよ。いろいろ事情聴取しなきゃいけないからね」
「あっ、そう・・・ですか。分かりました」
俺からすれば知ったことではないがおそらく神国はもうこいつは使えないと判断して野放しにしていたのだろう。ギルドと神国の仲がどれほどのものなのかは知らないが神国側としてはこの事はあまり知られたくないのでは無いだろうか?
まぁそれも俺には関係の無いことだし、俺を追放した神国にも多少恨みはあるから少し痛い目を見てもらう事にしよう。
「では、この男は預けます。しっかり事情聴取してあげてくださいね」
「承知した」
こりゃバレたな。神国もこんな展開になるのは予想していなかっただろうが、強田はそれ程までに規格外な奴だ。まず間違いなく事情聴取されれば自分の身を守るために神国の名を出すだろう。
□
「ただいま」
俺は強田を預けて宿に戻った。
「おう、どうだった?」
真一の質問に俺は何から説明するか暫く悩んだ後、まずBランク試験の事を言う事にした。
「突然だが一つ重大な発表がある」
俺は一つ前置きをしてから続けた。
「俺たちはBランク試験を受ける事になった!」




