ギルドマスター
俺は今、ギルドの前にいる。真一によると俺が寝込んでいた間にギルドマスターから呼び出しがあったらしい。
「一体駆け出し冒険者の俺に何の用があるっていうんだ?」
色々疑問はあったが呼び出しに応じない訳にも行かなく、俺はギルドの中に入っていった。
「すみません、ギルドマスターに呼び出されたんですけど」
受付の女性に呼び出されたことを話すと
「ユウ様ですね。一応ギルドカードを見せてください」
どうやら呼び出しのことはギルド職員全員に伝わっているらしく、俺はギルドカードを見せた。
「はい、ではこちらに来てください」
ギルドカードの認証を終え、俺は受付の奥に通された。
暫く通路を進むと受付の女性がある部屋の前で止まり、ドアをノックして言った。
「ユウ様をお連れしました」
すぐに「入っていいぞ」と返事が帰ってくる。
受付の女性がドアを開けてくれたので俺は部屋の中に入った。
部屋の中は書斎のようになっていて、あらゆるところに書類の山が積み重なっている。
そして正面の机の奥で圧倒的な威圧を放っている男、ギルドマスターが口を開いた。
「今回は私の呼び出しに応じてくれたこと感謝する。私はここのギルドマスターを務めているガリル・クラインだ。まずはそこの席に座ってくれ」
座ることを許されたのでソファーに腰を掛けるとクラインさんが早々に話を切り出した。
「実を言うと私は君が冒険者登録をしたときから君のことが気になっていたのだよ」
「と、言いますと?」
クラインさんが予想外の事を言い出したので思わず俺は聞き返した。
「君も心当たりがあるだろう。冒険者登録初日からレベルが15もある奴がそう何人もいると思うかい?」
なるほど、ギルドマスターは何でも知ってるってことか。
レベルの事はギルドカード発行のときに知られたのか?まぁ今はレベル25だし、知られても問題ない情報だから良いか。
「では、今日は僕と関係を作りたくて僕を呼んだということですか?」
「まぁ君とは今後友好関係を築いていければと思っているが、今日は別件だ」
そう言うとクラインさんは真面目な顔になって続けた。
「レベル15もある君が、それもFランクの狩り場で負傷したそうじゃないか。何があったか教えてくれるかい?」
俺は一つ疑問になったことを聞いた。
「僕が負傷した、ということはどうやって知ったんですか?」
「ギルドには冒険者が負傷したときのための医療施設が敷設されている。そこに君の仲間が君を運び込んだ後、横腹に打撲傷が見つかった。もちろん傷は専門家に治してもらったよ」
レッドゴブリンの回し蹴りを喰らったところか。たしかに痛かったけど打撲傷なんて出来てたんだな。
「それはどうも、世話になりましたね」
「いや、冒険者いてこそのギルドだからね。冒険者達に極力のサポートをするのは当たり前のことだ。気にしないでくれ」
そして本題に戻る。俺は本当のことを言って良いのか少し迷ったが結局レッドゴブリンの事を話す事にした。