決めました
なんやかんやいって今日めっちゃ更新しちゃってます。ちょっと短め。
「おはよう!」
私は朝やってきた赤城さんに話しかけた。
赤城さんは朝来るのが遅いので、今話せる時間はもう少ししかない。
けれど肝心の赤城さんはなぜかこちらに顔を向けたままフリーズしていた。
前髪のせいで目が見えないため、感情を読み取ることはできない。
「あれ?どうしたの?具合悪い?」
「……えと、おはよう?」
一向に動かないので体調が悪いのかと思い聞いてみた。多分大丈夫だったらしい。
「うん、おはよう!赤城さん!」
よし。ひとまず朝のノルマは達成と言ったところだろう。会話のテンポが少しズレている気がするのが懸念材料だけど、なんとかなるだろう。
私はカバンから荷物を出して1時間目の準備を始めた。
「……あの、えと……なんで?」
けれどまだ、赤城さんは会話を続けるようだ。顔がこちらを向いたままだった。
「え、なにが?」
「あの、なんで急に……喋りかけてきたの?」
「それは……」
それは、昨日河川敷でみた君の目が綺麗だったからだよ、なんてくさいこと言えるわけない。それにもしかしたら、夕陽を見ていたことを知られるのは嫌かもしれない。夕陽になにやら深い思い入れがありそうだったし。
それに。
「やっぱり、初めての隣の席の人だし、仲良くなっておきたいかなー、なんて」
その前髪を、綺麗な長い髪を弄らせてほしいなんて、まだそんなに仲良くなったわけじゃないのに言えるわけない。昨日なんて逆に遠ざかるような動きをしたんだから。
だから私は当たり障りのない返答をした。
「ふーん……」
煮え切らない返事をしてきたことから、やはりおそらく信用されてないのだろう。まあ仕方ないことだ。昨日の態度を顧みれば当然のことだろう。
これから頑張って少しずつ仲良くなっていけるようにしよう。
私はそう決心して、1時間目の準備を始めた。
「……じゃあさ、ひとつ、聞きたいことがあるんだけど……」
結構踏み込んできた!これはなにを聞かれるんだろう。男関係だろうか、それとも勉強関係だろうか。それとも日常生活関係かな?
けどまだ私たちはさっき初めて会話したばかり。そこまで重い質問はこないはずだ。だから。
「うん、なに?なんでも聞いて?答えられる範囲ならなんでも答えるよ!」
私は知っている。こうすることで、相手にとって私は『親切で色々と聞きやすく親しみやすい相手』と認識されて仲良くなりやすくなるのだ。
だから、さあ、なんでも聞いてからがいい!ナイーブな問題以外なら出来る限り答えてあげようじゃないか!
「あの……名前、なに?」
「だってさー、だってさー!転校して3日目でしかも隣の席だよ!?なのにさ、なんでまだ名前を覚えてないのさー!」
「まあまあ姫ちゃん、落ち着いて」
「これが落ち着いてられるかー!」
時と場所は移り変わり、白崎家の夕食中。
姫子は家族に、特に妹に対して学校の愚痴を撒き散らしていた。
「私が言うのもなんだけどさ、私って結構可愛いじゃん!目立つじゃん!だから隣のクラスの人にも隣の隣のクラスの人にも名前覚えられてたのにさー!隣の!席の!しかも地味子がなんで覚えてないのさー!」
「まあ姫ちゃん、世界は広いってことだよ。ね?」
「その言葉きらーい!」
これ以上あの地味子ちゃんみたいなのがいるなんて考えられないし考えたくない。
あの後も結局、天気がどうとか勉強がどうとか、ありきたりな話しかできなかった。
いや、それでもいいのかもしれないが、あの地味子ちゃんにとってはそうではなかっただろう。だって
「いやー、今日はいい天気だね!」
「うん」
「みてみて!この猫ちゃん可愛くない!?」
「うん」
「どうしよー、極限よくわからないよーう」
「うん」
あの人うんしか言わないもん!なに!そんなに私のこと興味ないの!?
私だって、自分可愛い友達たくさんハッピーって自惚れてた部分はあったけどさ!でも!
「やっぱり流石に興味なさすぎでしょ!」
「姫ちゃんうるさーい。ならもうその地味子ちゃんと付き合うのやめれば?」
「いや、だめ。ここで諦めたら姫子が廃る。それに負けた感じがするからやだ」
「この意地っ張りが」
「うるさいやい」
なんとしても、あの地味子ちゃんと仲良くなってイメチェンさせて、あの髪の奥に眠る目を出させてやるんだから。
それにしても、奴は手強すぎる気がする。
私に興味がなさすぎて名前も覚えていないレベルだ。
だからやはり、毎日話しかけて、うざキャラとしてでもいいから何か印象を持ってもらおう。
とりあえず、当面の目標は連絡先の交換って事で明日からまためげずに話しかけようと思う。
それにしても今思い出してもムカついてくるものがある……。今に見てろよ、地味子ちゃんめ……。
不定期更新です。もっと内容濃くしたいんですけどなかなか難しいです……。
評価・感想お待ちしてます。




