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私のとなりに姫がきた  作者: さへ
第2章
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未来

本日2話目でございます。

 唯と付き合い始めて1週間が経った。

 毎日が凄く楽しかなって煌びやかになった。確かになったけど、そこまで大きな変化は生まれていない。

 朝一緒に学校へ行って、授業を受けて帰って次の日を迎える。

 変わったことといえば、手を繋いで登下校をするようになったことと、夜に少し電話をするようになったくらいだ。

 周りに騒がれたりしないせいか、若干拍子抜けした感じだ。まあ何事もないのが一番だとは思うけど。


 まあそんな感じで時は移ろっていって、ついにテスト2週間前となった。

 他の学校では2回あるらしいけど、この学校では2学期の定期試験は期末だけの1回しかない。

 要するにこのテストでほぼ全ての成績が決まってしまうということだ。

 私自身、そこまでじゃないけど平均よりそこそこ上には入れる自信はある。

 毎日何時間もやるわけじゃないけど最低限はやってるし、土日もそこそこの時間勉強机に向かっている。


 でも、慢心してはいけないことはちゃんとわかっている。

 去年、高校に入ってはじめての2学期の中間試験でとてつもなく良い成績を取った。

 しかしそれで私は付け上がってしまい、まったく勉強をせずに期末試験にに挑んだところ、赤点スレスレの点数を取ってしまったのだ。

 かつて、中学が始まってすぐの頃に、姉に限定販売のお気に入りのシャーペンを折られたことなんて比にならないくらいのショックを受けた。

 あの時のショックは今でも忘れられない。今後生きていく中でも絶対に忘れられないだろう。

 それからというもの、私は絶対に慢心しないように気をつけているのだ。

 慢心、ダメ。ゼッタイ。


 でも正直なところ、慢心はダメだといったけれど、この2学期で習った範囲で不安なところはほとんどない。

 テスト前に日本史を少し復習したいかな、といった程度だ。

 日頃から英語も日本史も覚えるためにちゃんと復習してるし、その他の科目だってしっかり授業を聞いて、たまに復習して。

 満点を取れるか、と聞かれたらそれは無理だろうけど、全部の科目で7割は取れるだけの自信はある。

 まあそれでも慢心しないって決めたからちゃんと勉強するけどね。







 そんなわけで、それなりに勉強して過ごしていたら、なんとなくテスト1週間前となった。

 この学校では、このテスト前の1週間は、ほとんどの部活が活動を控えて生徒が勉強に集中する期間らしい。まあ部活に入ってない私と唯には関係のない事だけど。

 そんな、多くの生徒が必死に勉強しているであろう頃、私と唯は呑気に電話をしていた。

 その内容は、多くが勉強を占めているが呑気なことには変わりない。



「そうそう! そのレベルを上げると全体のパワーが2パーアップするんだけど、それが結構大きいんだよね〜」


『……こっちの机のレベルも上げた方がいいんですか?』


「うーん、それは後回しでいいかなあ。それ上げても全然パワー上がらないし。すんごい強い人にとってはその0.3パーが――」



 前言撤回。かなり娯楽に走っちゃってます。

 だって唯が一緒に私の好きなゲームやってくれるんだもん。それに電話しながらのゲームがこんなに楽しいなんて知らなかったし。

 これはパンドラの箱を開けてしまったのでは……、なんて。



「あっ、唯のほう弱点行ったよ!」


「……っ、やりました!」


「うおーー! ナイス! さすが唯、上達の具合が半端じゃないね!」


「……そんなこと、ないですよ」


「んんー謙虚なところも可愛くて好き! この調子でじゃんじゃんクエスト進めちゃおーう!」



 会話の量的には私と唯で8:2くらいだけど、それが何とも心地いい。

 私が話すのが好きってのもあるだろうけど、でも唯の話のテンポとかが返しとかが何となく性に合ってる気がするのだ。

 私はベッドに寝転がってゲームをしながら、唯との電話を楽しんだ。







「今週末、またうちに泊まり来ない?」



 そう言ったのは、そろそろ電話も終わりかという頃。クエストも終わり、ゲームの中のキャラクターが自宅のベッドで寝るシーンをみて、なんとなく思いついたのだ。



「え、あの……行きたい、けど、流石に多すぎて迷惑がかかると思うんですけど……。それに、少しは勉強したいですし」


「そんなのいいっていいって! お母さんも歓迎してたし、お父さんとみなみも唯と話してみたいって言ってたしさ! それにこれは、勉強会っていう名のお泊まりだからさ、ね!」


「え、えと……みなみって?」


「ん? あー! みなみは私の妹ね。まだ紹介してなかったっけ?」


「……はい。一度見たことはあるけど、話したことはないです」


「そっかー、じゃあさ、紹介も兼ねて、ね?」


「……分かりました」



 そう言って私たちは電話を終えた。

 最後はだいぶ押し通してしまった感じだけど、まあいいだろう。もっとたくさんの時間を唯と一緒にいたいし、唯だって多分私と同じ気持ちのはずだ。

 ならば何も問題なっしんぐ!


 でも1つ懸念があるとすれば、みなみが人見知りを発動しないかってことだ。

 私たち姉妹の中で、私とお姉ちゃんは結構誰とでも、初めて喋る人とでも普通に話せるけど、妹だけは人見知りなのだ。

 だから転校したときも友達を作るのに相当苦労したらしい。今ではそこそこな友達ができたらしいから安心だ。

 私はお母さんに確認をするために、下へと降りていった。


 夜の10時を回ってるけど、リビングにはまだ私以外の全員が残っていた。

 お父さんはソファーでテレビを見ながらうとうととしていて、お母さんと妹が机を挟んでなんかを話してた。

 全員揃ってるとは、なんとも丁度いい。



「ねえー、今週末唯が泊まりに来るけどいいよね?」


「あら、また来てくれるの? 唯ちゃんのお料理がまた食べられるなんて嬉しいわ」



 本当にお母さんは、相当唯のことが気に入ってるらしい。うん、実にいいことだ。

 将来、もしかしたら唯との関係を話すことにだってなるかもしれないのだ。

 いや、まだ将来のことなんて全然わかんないし、そんな遠い先のことを考えても目眩がするだけだけど。でも実際、今私は唯とずっと一緒にいたいと思ってるわけだし。

 でも何年後かの時にはもうそうじゃないかもしれない。もしかしたら私が、もしかしたら唯が離れていってしまっているかもしれない。そんな、未来のことなんて分かるはずもない。

 ……いや、こういうのは考えない方がいいね。ただ嫌な気分になるだけだし。



「……またあの子くるの?」


「え? いや?」



 どうやら妹は唯が来ることには不満があるらしい。いや、まだそうは言ってないけど口調からして恐らくそうだろう。

 ちなみに父は完全に横になってしまって、寝息が聞こえている。お仕事お疲れ様です。



「……べつに、そうじゃないけど。仲いいんだなーって」


「ふふん、そうだよ? 私と唯はとーっても仲良しなんだから」


「確かに姫ちゃんがここまで特定の子と仲良くなるなんて珍しいわねえ。余程、唯ちゃんのこと気に入ったのねえ」


「ま、まあね」



 なにやらお母さんが怪しげな視線を私に向けてくる。まさか、バレたのだろうか。

 確かに今まで特定の誰か、みたいなのはいなかった。でもそれだけで、そんな気づくなんてないはずだ。

 どうせカマかけに決まってるよ。



「じゃ、じゃあそういうことだから。また詳しいこと決まったら言うけど、把握しといてね」


「はーい」



 返事はお母さんだけだったけど、そんなこと特に気にすることなく私は足早にその場を去った。

 後ろから刺さる2つの怪しげな視線を私は気にすることなく階段を上がっていった。


 その後は特にすることもなく、あてもなく少しスマホをいじった後に唯におっけーのメッセージを送って、そして寝た。

 そのあと見た夢がなんだかすごい居心地の悪い、詰所で問い詰められるような変な夢だったけど、起きた時には気だるさだけが残っていて、どんな夢だったかは思い出せなかった。

不定期に更新します。


めっちゃ印象的な夢なのに全く思い出せないことってありますよね(?)

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