表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のとなりに姫がきた  作者: さへ
第1章
18/32

荒涼

サブタイの

いいアイデアが

浮かばない


姫子ちゃんの席って、唯ちゃんの席の一列前なんですよ。

唯ちゃんの列は唯ちゃんとその隣しかいません。

 あれは絶対デキた。私はそう確信した。


 今日も今日とて学校に行き、いつもと同じように授業を受けた。

 朝からなんだか怪しいと思っていた。

 お互い笑顔で朝の挨拶を交わし合ってるし、その後もなんか雑談してた。


 そして確信に変わったのが、3時間目の英語の授業中だった。

 なんと唯が木村くんの肩を叩いたのだ。

 それだけ? と思うかもしれないけど、唯は滅多にスキンシップを取らない。

 私だってこの2ヶ月長くを一緒にいたけど、唯から取られたスキンシップなんて両手で数えられるほどしかないのだ。


 その光景を見て私は確信し、そしてその瞬間、何か言葉では表しにくい負の感情がわきおこった。

 劣等感か、敗北感か、寂寥感か、諦念感か。

 その全てが混ざったような、言語化できないぐちゃぐちゃな気持ちが私を襲い、途端に気持ち悪くなった。

 保健室には行かなかったが、その授業は全く集中できなかった。


 そもそも何故、唯に彼氏ができただけで私はこんなにもダメージを受けているんだろう。

 先を越されたから?

 いや、べつに彼氏が欲しいとは思わない。

 なら唯が木村くんに取られたから?

 でも唯は、私のものなんかじゃない。

 ただ私が唯の友好関係の糸口を開いただけ。

 唯は私の友達の1人で、私も唯の友達の1人。それだけだ。


 なら、どうすればこの嫌な感情を払拭できるんだろう。

 もっと仲良くなればいい?

 親友とか、そういう彼氏とか何か別のものに揺るがされることがない、確固たる関係に唯となれればこの黒いモヤモヤは消えるの?

 分からない。でもそれしか私が進める道は分からない。


 じゃあ明日、いや今日からもっと一緒にいる時間を増やせばいいのだろうか。

 昔からの幼馴染とか友達とかの、長くの時を一緒に過ごした人が親友になるって話はよく聞く。


 でも私が唯と出会ったのはほんの2ヶ月前だ。

 だから私は、もっと一緒に唯と2人で遊ぶしかないと思う。

 もっともっと、長い時間を一緒に過ごすしかない。

 もっともっともっと、関係を深めるしかないんだ。


 だから早速明日、いや今日からやろう。

 今日の放課後一緒にどこか遊びに行こう。


 4時間目の間、私はそんなことをずっと考えていた。






「ねえ赤城さんって、隣の席の木村くんと付き合い始めたの?」



 そう言ったのは、玲ちゃんだ。

 お昼休みのまだお弁当を食べてる途中。

 いきなりすぎて、若干唯が咽せている。

「おーいきなり大胆だねー」と春ちゃんが言った。私もそう思います。


 でも正直、その話題は今はやめてほしかった。唯の口から惚気とか聞きたくない。



「……え、な、なんでですか?」


「えーだって、なんかそーゆー雰囲気出てるんだもん」


「わかるー」



 やっぱり、他の3人からみても唯はそう見えたらしい。杏ちゃんも頷いている。



「えっと、あの……、付き合ってないですよ?」


「えー嘘ー。じゃあなんでそんなオーラが出ちゃってるの?」


「そんなの分からないですけど……、でも、付き合ってはないけど、仲良くはなりました」


「ほらーやっぱり。てことは付き合うってことでしょ?」


「そんな、全然そんな気持ちはないです。ほんとに」


「えー、あやしいなー」



 やめて。

 もうその話題はやめて欲しい。

 そんな唯の話は今は聞きたくない。



「あっじゃあ昨日、なんで呼び出されたの?」



 だから私は敢えて事の核心を訊ねた。

 もしかしたらここで聞くのはマズかったかもしれない。唯は3人に聞かれるのは嫌だったかもしれない。

 でもここではっきりさせておきたかったのだ。


 私がそう言うと、唯は若干顔を赤らめてこちらの様子を伺いながら。



「……それは、言えないです」



 ……ああ、やっぱりデキたんだ。

 私はなんだか、無性に泣きたくなった。

 なんでだろう。おかしいな。

 唯はただの友達なのに。なんで唯が付き合ったからって泣きそうになってるんだろう。

 今までだって、友達が彼氏作ることなんて当たり前にあったのに。おかしいな。



「うわー! 昨日呼び出されてたの? しかもその内容が言えないって!」


「あーやしー」


「もはやこれは確信犯」


「いや、あの、ほんとに告白とかじゃなかって――」


「ごめん私、ちょっとトイレ行ってくるね」



 その場にいるのが辛くなった私は思わず席を立った。

「大丈夫ー?」という春ちゃんの声を背中に聞きながら私は廊下へ出て、トイレへ向かって駆け出した。

 トイレに着く頃にはすでに涙が溢れてきていて。

 誰にもみられないように俯きながら個室に入り、気付かれないように声を押し殺して私は泣いた。


 跡が残ったら大変だから、頑張ってすぐに泣き止んで。

 チャイムが鳴るまで私はトイレにこもった。






 教室に戻ると、いくつかの視線を感じたが全て無視して自分の席へとついた。

 その後の授業は私の気持ちなどに構うはずもなく、滞りなく進んでいき、そして帰宅する時間になった。

 いつもなら唯と一緒に途中まで帰る。

 それに今日は放課後遊びに誘う予定だった。


 でも私は、一緒に帰ることも、ましてや遊びに誘うこともなく、ただ1人帰路についた。

 教室を出るときもなにやら視線を感じたが、やはり無視した。

 今日は帰ってすぐ休んで気持ちを落ち着かせて、そして明日ちゃんと謝ろう。

 そう考えた後はただ無心に、家への道を歩き続けた。


 帰宅途中、まるで私の今の気持ちを表したかのような冷たい雨が降り出して。

 私はその中を頭を冷やすように、少しだけゆっくり歩いて帰った。

 もちろん傘など持ってるはずもなく。冷たい雨に打たれながら、1人歩いた。

不定期に更新します。


同性に対する恋心なんて全然気付かないと思うんですよね。特に経験はないですが。だって同性だし……。

普通の恋愛は男女ですからね。そう言った部分を私は結構入れてく予定です。

もちろんGLの道から外れることはありませんが。


それと、もしかしたらあと10話程度で一章終わるかもしれないです。

30万字書く予定は何処に……(笑)


評価・感想お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ