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私のとなりに姫がきた  作者: さへ
第1章
15/32

席替え

遅くなっちゃいました。

 朝学校へ行き、友達とわちゃわちゃ勉強して帰って寝る。

 特筆するほどの出来事もなく、あっという間に日々は過ぎて行き。

 私がこの学校に転校してから、今日で丁度2ヶ月が経つ。


 あれから唯は毎日私たちとお昼ご飯を食べるようになった。

 最初は緊張していたみたいだけど、1週間経った頃には3人と普通に話せるようになっていた。それ以外の人と話してるところは見たことないけど。


 意外だったのだが、唯と杏ちゃんはかなり気があうようだ。

 唯がミステリー小説を好きだと知った時には、今まで見たことないほど杏ちゃんは饒舌になって話していた。

 それを聞きながら、唯も楽しそうにしていた。

 最初、私はその光景を見て前と同じような独占欲のようなものを感じた。でもそれも時間が経てば段々と無くなっていって。

 素直に私は、唯の世界が広がっていくことを嬉しく思った。

 唯は少しずつだけど、しっかり前へ進めているようだ。


 では、私はどうなんだろう。

 前へ進めているだろうか。

 そもそも、私にとっての前ってなんだろう。

 転校前は別に何も考えてなかった。友達もたくさんいて、勉強もそこそこできて。

 ほとんど毎日遊んで友達とバカやったりして。

 自分で言うのもなんだがかなり充実していたと思う。


 転校後は、唯と仲良くなることだけを考えてた。

 唯と仲良くなって顔を見せてもらう、とか髪をいじらせてもらう、とかそんなことを考えて過ごしてきた。

 最近では普通に頼めば顔を見せてくれるし、多分髪だっていじらせてくれる。

 その点に関しては前に進めたと言えるだろう。


 なら、今後私は何を考えていけばいいんだろう。何を目標にすればいいんだろう。


 ほとんど4人と一緒にいることが多いけど、クラス、いや学年の全員と普通に喋れるくらいには友好関係は広い。

 転校生としてかなり注目され、いろんな人に話しかけられたのだ。そこから派生して……って感じで。LINKの友達の数だって、今の高校だけでも100人はいるだろう。


 勉強だって悪くはない。

 授業は真剣に受けてるし、今度あるテストだって恐らく悪くない成績を取れるはずだ。

 それに遊びだって、先週3人と買い物にもあったし、放課後なんかもよくコンビニまで行ってそこでだべってたりなんかしてる。

 今の私も十分充実してるはずだ。


 けど、唯を見てるとなぜだか私も頑張らなきゃ、前に進まなきゃ、って思っちゃう。

 いったい私は何を頑張ろうとしてるんだろう。何を頑張りたいと思っているんだろう。


 自分のことなのに、よくわからなくなっていた。





「はーい、じゃあ席替えをしまーす」



 担任がそう言うと、クラスがどっと湧いた。

 特に教室の前列にいる生徒たちの盛り上がりようがすごい。


 このクラスの席替えは、先生が全ての席に適当に番号を振り、そして生徒が番号の書かれた紙をくじで引き、その番号の席へと移動する、って感じでやるらしい。



「席替えだってー。後ろの方に座れるといいね」


「……うん」



 唯はなぜか、あまり元気じゃなかった。

 目は相変わらず見えないから感情は読み取らにくいけど、声がそれを物語っていた。



「あれ、唯、元気ない?」


「……うん」


「なんで? 今から席替えだよ?」


「……うん」



 私がいろいろ聞いても、唯はうんとしか答えない。

 まるで私が話しかけたばかりの頃の唯のようになってしまった。



「……もしかして、席替えがいやなの?」


「……(コクッ)」


「えー! なんでいやなの?」


「……白崎さんと、離れるかもしれないので」



 そんな、可愛すぎる理由を言われて私は固まってしまった。

 ここでもし、仲良くなるために奮闘していた私であったら、私も離れたくないとか言ったんだろう。

 でも今の私は、もう仲良くなった後だ。

 今度は唯は、私以外の、もっといろんな人と出会って広い世界へと進むべきなのだ。



「もー唯ったら、またそんなこと言って。嬉しいけどー、唯はもっと友達作らなきゃダメだよ?」


「……私は、白崎さんだけがいればいいんです」


「……そんなわけにも、いかないでしょ。将来的にも友達は多い方がいいんだよ」


「……将来とか、どうでもいいです。私は白崎さんだけでいいんです」



 なんで今更になって、そんなことを言ってくるんだろう。

 どこかにいっていた独占欲がふつふつと湧いてくる。



「……そういってくれるのは嬉しいけど、席替えだし仕方ないよ。隣の席の子と友達になれるよう頑張って」


「……善処、します」






 結局、私の席は1番廊下側の1番後ろとなった。

 唯はなんと前と変わらず、窓側の1番後ろ。かなりの幸運の持ち主なのかもしれない。


 そして私の隣の席は、イケメンでもブサイクでもない、サッカー部の紳堂(しんどう)ゆう君だった。

 少しだけ染まった茶の髪に、そこそこ整っている顔。女子から定評がありそうだ。

 私はあんまりピンとこないけど。



「えーっと、よろしく! 白崎さん!」


「うん、よろしくね紳堂くん」


 そんな感じで私の新しい席での生活は始まった。

 まあ新しい生活なんて大そうな言い方してるけど、ただ席が変わっただけでなにか変わったことが起こるわけではないのだけど。


 ふと気になって左後ろを向くと、丁度こちらを見ていたらしい唯と目があった。

 ふっと微笑み手を振れば、少し恥ずかしそうにしながらも同じように返してくれた。


 唯の隣は、私と同じような感じの、爽やか系なサッカー部の人だった。

 なんとなく、とくに根拠もないけど、唯の方も上手くやっていけそうだと、そう思った。

不定期に更新します。


今回は書きたいことが多すぎて上手くまとまらなかった感じがします。

次からはもっと文章力が多く、更新が遅くなるかもしれません……


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