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私のとなりに姫がきた  作者: さへ
第1章
14/32

ともだち

ほんとはもうすこし早くに投稿する予定だったのに!途中で全部消えて遅れました!悲しいです!


それとは別に。

ブクマ60、ポイント200、ありがとうございます!

「ねえ赤城さん、今日放課後暇? カラオケ行かない? 仲良くなった記念も含めて!」



 昼休みもあと少しで終わるといった頃、突然玲ちゃんがそんなことを言い出した。

 向こうの学校ではそんなことしたこともなかったが、こっちでは仲良くなったら何か記念にするのが普通なのだろうか。



「おー、いいねーカラオケ。私も行きたーい」


「私も」



 春ちゃんと杏ちゃんもそれに賛成した。



「姫子ちゃんはもちろん来るよね?」


「当たり前でしょー」



 私はもちろん行く。歌には結構自信あるし、カラオケ楽しいし。



「……じゃあ、私も行きます。カラオケ」


「まじ!? やったー!」



 驚いた。唯も行くらしい。玲ちゃんがめっちゃ喜んでる。春ちゃんもニコニコしてるし、杏ちゃんも……杏ちゃんはよくわからん。


 当たり前だけど、カラオケは歌を歌う場所だ。唯は人前で歌えるんだろうか。

 行くと言ったからには歌うんだろうけど……。






「私はてっきり、断るかとおもったよ」



 自分の席についた私は、隣の唯に話しかけた。



「私は……、私も、本当は断りたかったですけど、でも……」


「……でも?」


「……白崎さんが、来るって言うから」



 私が理由でカラオケにまで来てしまうのだろうか。

 さっきの昼休みも、私がそばにいるなら――みたいなことは言ってた気がするけど。



「ならあそこで私が断ってたら、唯も断ってたの?」


「……(コクッ)」



 唯は頷いた。そして私は数秒、固まってしまった。

 反応に困った、というのもあるけどそれ以上に。

 なんだろう、この可愛い生き物は。

 まるで親から離れたくない子供のような、そんな純粋な可愛さがあった。


 でもそれは、私が赤城さんの初めての友達だからであり、別に誰でも良かったのだ。

 そんなことは分かってる。

 私は赤城さんのお気に入りにはなれたけど、けどそれは初めての友達なら誰でも良かったんだ。

 それくらい分かってる。



「なら昨日カラオケ行って、練習でもすればよかったね」


「……(コクッ)」



 それにどうせなら、初めてのカラオケも私と2人で行けてたらよかったのに。

 その言葉は口を出ることなく、私の胸の中を彷徨った。


 結婚相手を連れてこられたお父さんの気持ちはこんな感じなのかな、なんて的外れなことを考えた。

 これはそんな綺麗なものじゃない。

 これはただの、独占欲という醜い感情であることは、ちゃんと分かってる。


 たまたま可愛い隣の席の子の友好関係を広げてあげることができただけ。

 そんな私が、唯に独占欲を抱く権利なんてないし、そもそも独占欲なんて抱くことすら間違ってるのだ。

 唯はただの、私の友達の1人だし、唯にとってもきっとそう。いやもしかしたら最初の友達だし、少しくらいは特別には思われてるかもしれないけど。



「……ねえ唯、ちょっと顔見せて」


「え、今、ここでですか?」


「そう。大丈夫。誰も見てないから。ね? 少しだけだから」



 私がそういうと、唯は少し躊躇ったようだが、それでも右手で眼鏡を外し、左手で前髪を持ち上げた。


 ほんの数秒。されど数秒。

 唯と私は見つめ合って。そして唯はすぐにまた前髪と眼鏡を戻した。

 やはり可愛い。何度見てもそう思う。

 こんな可愛い子が狭い世界に閉じこもってちゃもったいない。

 料理もできて可愛い唯は将来絶対にいいお嫁さんになれるはずだ。


 でも今のままだったら、そもそもの出会いすら訪れないままだ。

 そんなのはダメだ。だから私は、唯をもっと広い世界に連れていかなければならない。

 でも唯が外へ出るには、もっと準備が必要だと思う。例えば、自分の顔を好きになってもらったりだとか。

 だから、その準備が終わるまでの間くらいは。



「ねえ唯。その顔、私がいいって言うまではさ、私以外の誰にも見せないでね?」



 その可愛い顔を見る権利くらいは独占しても誰も怒らないよね。


 教室で顔を露わにして恥ずかしかったのか、若干もじもじしている唯にそう言った。

 唯は数秒こちらを見つめた後、静かに頷いた。






 何気、転校後の初カラオケである。

 唯は言わずもがなだろうけど、地味に私も緊張している。

 歌うことに自信が無いわけじゃないし、さっきも自信はあるとは言った。

 でも、別段上手いわけじゃない。

 音程を外さず綺麗に歌える程度。

 だからもし、3人がバリバリ抑揚あってビブラートもめっちゃ使うような歌うまだったらどうしよう、なんて思っちゃったりはしてる。

 まあでもその時はその時だ。開き直るしかない。

 え、唯? 唯はまあ、歌えればいい方でしょ。


 なんて思ってた時期もありました。

 いや、唯歌うますぎでしょ!

 料理もできて可愛いくて歌うまいとか、なんなの!やば!


 部屋に入ってまず歌ったのはなんと杏ちゃんだった。

 選んだ曲は、惑星ループ、と言う曲だった。私は知らないけどボカロの曲らしい。テンポも良くていい曲だと思った。

 杏ちゃんは私と同じような感じで、音程を外すことはないけど上手すぎることもなかった。

 私も気兼ねなく歌えそうだ。


 その次は春ちゃんが歌った。

 曲はドラマツルギー。また私の知らない曲だったけど、これもボカロらしい。

 いつもおっとりしてる春ちゃんは歌う時はなんか凄い豹変して、すごくカッコよかった。

 低い声で、そして抑揚やビブラートなんかもすごくて上手かった。

 ここに来てまた、人は見かけによらないと思い知らされた。


 その次は玲ちゃん。

 AKBのポニーテールとシュシュを歌った。

 これは私も知ってる曲で、というかかなり好きな曲だったため思わず口ずさんでしまった。

 玲ちゃんは杏ちゃんと同じような感じだった。


 その次が私。

 私は無難、かどうかはわからないけど、高嶺の花子さんを歌った。

 私の好きなグループの、特に好きな曲だ。

 少し高いけど、それくらいが私にとっては丁度いい。

 なんども歌った曲なので楽しく歌うことができた。



「おー、姫子ちゃん案外普通」


「なんじゃ、普通で悪うござんしたね。普通が1番なんじゃ!」


「私は姫子ちゃんの声好きだけどねー」


「私も」



 普通、と言われてしまったが、概ね好評であった。よかったよかった。


 そして次は唯の番だ。



「私、知ってる曲あまり無くて……。それに知ってる曲も英語なんですけどいいんですかね?」



 突然の洋楽宣言。

 確かに音楽なんて聞いてなさそうだとは思ったけど、洋楽なんて歌えるのだろうか。



「全然大丈夫。楽しけりゃなんだっていいのいいの!」


「そーそー楽しけりゃーいーのー」



 玲ちゃんと春ちゃんがそう言うと、唯は選曲を始めた。

 そして画面に曲名が表示された。

 コールミーメイビー?聞いたことあるような無いような……。

 そして唯が歌いだす。


 唯が歌った曲は、サビだけなら誰でも知ってるような有名な曲だった。クセになるようなフレーズを私も覚えていた。

 でも、口ずさむことなんてできない。

 唯の歌声に圧倒されてしまったからだ。


 最初は綺麗な発音だな程度にしか思っていなかった。でもそれでも、その抑揚のつけかたとかしゃくり?とかで上手いな、とは思ったけど。

 サビが、すごかった。

 とにかくすごかった。

 その盛り上がりかたといい、声といい、抑揚とたまに入るビブラートといい、全てがすごくて。

 私は息をするのも忘れるほど聞き入ってしまった。

 他の3人もそんな感じで、驚いた顔で唯を見てた。





「いや、赤城さんうますぎでしょ! 歌手でも目指してるの!?」


「思わず聞き入っちゃったー」


「これには杏香さんも驚きました」



 皆が拍手しながら唯を褒め称えた。確かに歌手すら目指せるのではとも思える歌声だったから当然の反応だろう。

 唯は恥ずかしそうにしながらも、楽しそうに笑っていた。


 私は皆と唯の反応を見ながら微笑んでいた。

 そんな私と唯の目が合うと、唯は私と同じように、微笑みかけてきた。

 それだけでなんだか私は満たされるような気持ちになって。

 カラオケに来てよかったと思った。

不定期に更新します。


今回は書きたいことを形にするのがなんだか難しかったです。

それと、一章30万字書くとかいいましたが、あれはあくまで予定ですからね。ふふ。


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