永遠、そして完全な自由
永遠を知りたければ
青空を見上げればいい
恐ろしいほどの永遠がそこにあるから
永遠の自由が欲しければ
星空を見上げればいい
どこまでも行ける完全な自由がそこにあるから
高速で渦巻く銀河の辺縁で
地上の僕の小さな心は
小さな螺旋を描いて行き場を失う
もし僕が完全な自由を無限に手に入れたなら
あの空へ向かって飛び出すだろう
この小さな心からとめどなくあふれだす憎しみも嫉妬も欲望も
僕の体と共に銀河の渦の真ん中に飛んでいって
ぐるぐる回ってすべてが泡のように消えて
清らかな真空になってしまえばいい
決して手の届かない頭上には
いつも完全な自由が永遠に広がっていて
ここに留まるしかない地上はいつも
完全な自由に完全に包囲されている
己の醜い本性に心が潰れようと
己が人間であることの残虐性にどれほど恐れおののこうと
僕が僕であるしかない地上に、人間として留まるしかない僕
頭上には完全な自由が無限に広がっているのに
決して手の届かない無限の自由を
永遠に見ているだけの自由
むしろ僕は
無限の自由から
永遠に逃れられないことを知る
決して手の届くことのない青く澄み切った自由から
フォーレのレクイエムを初めて聴いた時の不思議な印象を言葉にしてみました。
――Gabriel Urbain Fauré: Requiem in D-minor, Op. 48――