プロローグ
どうも、転移者です
なんか、魔王が居るとかって世界に、学校ごと飛ばされたよ
俺らは原住民たちに勇者って呼ばれてる
最初は混乱したけど、そろそろ状況把握しないと
腹も減って来たし
あ、俺の名前は優成
クソみたいなキラキラネームを付けられなくて良かったと本気で思ってる14歳だ
お、女子の声が聞こえて来た
あれは!学校のマドンナの真央さんじゃないか!!
「真央はどんな能力貰ったの?」
「私は・・・魅惑っていうスキルみたい」
「えーなにそれー」
「真央にぴったりー」
「真央さん好きだ―――!!!」
「きゃ、きゃああ!!」
「ちょ、ちょっと、優成?あんた何してんのよ!」
「ハッ!魅惑のスキルに引っかかってしまった!」
「どさくさ紛れに真央に触ったでしょ?」
「ああ、触ったさ」
「び、びっくりしたぁ、クスン」
「泣いちゃったでしょ?責任取りなさいよー」
「何故?」
「え?」「何故って・・・」
「真央さんが魅惑のスキルを持っている、俺はそれに引っかかった、俺は被害者じゃないか?」
「え・・・?」「そうなるの?」
「だって急に頭がクラってなって何も考えられなくなって、気が付いたら抱きついてたんだぜ?」
「そ、そうなの?」「こ、怖い、私どうなっちゃったの?」
「真央さんは今、○○○を出して歩いてる露出狂みたいなもんだよ、見た者を惑わせ、狂わせる」
「ちょ、ちょっと優成あんた」「わ、私が露出狂?!」
「俺が一人だから良かったような物の、他の多数の男子に見つかったらどうなるか」
「こ、怖い」「優成友達いないだけでしょ」
「うるせえ、とにかくそんな○○○丸出しで歩いてられちゃ困るんだよ、この○○○○が!!」
「!」「ひ、ひどーい!」
「人の迷惑考えて生きてね、よろしく」
「・・・」「・・・」
ふう、まったく○○○○が
自分が変態のクセに人に冤罪吹っ掛けて来るんだもんなー
「優成!」
「なんだ?クラスメートの田中じゃないか」
「生まれ変わった俺をどう思う?」
どう思うって・・・
見た目変わってないって言うか、元々どんなヤツだったか記憶も定かでは無い
「・・・お前は、何が変わったの?」
「ふっふっふ、聞いておどろけ?俺は名前が変わった!『キリト』になった!!」
う、うっわー
それは今逆に・・・
どこのオンラインゲームに行っても無限に居て逆に有象無象化してる名前じゃないか
「か、かっこいいぜ」
「お前がそう思ってるなら良いんじゃないか?」
「俺はこの世界を救って見せる!」
名前が変わっただけで何が変わると言うのか
多分すぐ死ぬだろう、お大事に
「おい」
「あ!武者桜 斬之信 先輩!学校の番長(笑)でいっつも群れている先輩!」
「なんだと?」「舐めてんのか!」「やっちまうぞ!」
あらら、取り巻きが怒っちゃった
金魚のフンが怒っちゃった
「まあまあ、先輩方はどんなスキルを貰ったんですか?」
「ふっ聞いて驚け!俺のスキルは『威圧』だ!」
「俺は『潜伏』だ!よろしくゥ!」
「俺は『恫喝』だ!よろしくゥ!」
「俺は『警告』だ!よろしくゥ!」
「なるほど、脅しと隠れ蓑とハッタリとチクリですか」
「んーだとおら!!」「どんな耳してんだよぉ!よろしくゥ!」
「お似合いのスキルじゃないですか、でもそれって今までの人生と変わりがないんじゃないですか?」
「な、なんだと?」
「どうせ新しい能力貰うなら、今までの自分とは正反対の物のほうが良いでしょ?悪い物特化させてどうすんのって話でwww」
「こ、この野郎」
「皆さんは山賊にでもなるのかも知れませんが、この世界では山賊ってスライムですからねー、頑張ってー」
「あ、この野郎!」「逃げるな!」「よろしくゥ!」
ふう、馬鹿が
無駄スキルに喜びおって
「おい、お前」
「あ、神様」
宛も無く走って来たら、神様が居た
俺達をこの世界に呼び寄せた張本人
「何か用?」
「・・・お前は、ワシに何か言う事は無いのか?」
「何かって?」
「・・・ワシは、お前にはスキルを与えなかったんだぞ?」
ああ、そうだね
何?泣きわめいてすがり付けとでも言うの?
「うーん、今見た限りでは、あっても無くても大して変わらないような」
「・・・良いのか?」
「じゃあ一応聞くけど、なんで俺にスキル与えなかったの?」
「・・・お前は、性格が最悪じゃからじゃ」
な、なんだって!
親にも言われた事無いのに!
「親は言わんだろう、馬鹿な子でも信じたいもんじゃ」
「甘やかしって良くないよね」
「お前の事を言っておるのだが・・・」
「で、性格悪いとスキル貰えないの?そんな差別する奴が性格悪いと思うけど」
「ぬう、これは罰じゃ」
「罰?」
「お前は、スキル無しでこの世界を生きて見ろ」
はあ
性格悪いから罰か
番長(笑)にすらスキル与えといて、俺には罰か
俺ってそんなに悪い事したのかな
「まあいいよ、俺が魔王を倒すような事は無いと思うけど」
「期待しとらんわ」
「まあ面白そうな世界じゃん、俺は好き勝手生きさせて貰うよ」
「あ、お、おい!」
スキルくれないくせに話は聞けだ?
構ってられるか、我儘な奴だぜ
そもそもスキルなんか貰ったら本当の俺では無くなってしまうではないか
自分に自信が無い奴らがスキル貰って喜んでりゃいいんだよ
人に与えられた物を使って感謝されて、自分の手柄みたいな顔してりゃいいじゃん
ただ与えられた物を誇って後生大事にしてりゃいいじゃん
「俺はそんな物には頼らないぜ」
さっさとどこかの街にでも行こう
この世界で生きる為に情報を集め、仕事でも見つけなくては
世界を救うのは勇者の皆さんにお任せしますよ
せいぜい頑張ってくださいよw
優成は宛も無く走って行く
この世界を楽しむために・・・