自殺少女の悪夢
冬の空を見上げれば、雪はつもり優しい歌声が空気を揺らした一足先を歩く少女
「砂奈 」
息を切らしながら走っても追い付くことはない
何故こんなにも自分は彼女を追いかけているんだろう。
カンカンと一定のリズムを刻む音楽が鳴り響く
「待って待ってお願い待ってよ!!!砂奈」
どれだけ叫んでもどれだけ読んでも、彼女は振り向くこともせず、ただ、ただ、足を前へ前へと進めていくのだ
_____砂奈______
少女の手を掴むために伸ばした手は宙を切り、少女の手は行き場を失い その合図と共に踏切りの遮断桿が行く手を阻んだ
「 _________ 」
目の前に広がる光景は妙に鮮明に脳が捉えた、
ゆっくりとミシリミシリと雪を踏みしめる。
降り積もった雪は踏み込んだ足跡を残しながら赤く鼻をかすめて、真っ赤な色を鮮やかに強調させている
ああ、自分は何で何も出来なかったのだろう
横断歩道と電車の揺れ動きにあわせて
少女の腕や足が無惨に路上へと投げ出されていた
「ごめんなさい」
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
自分は何てことをしてしまったんだろう。
「ごめんなさい、砂奈」
溢れる涙で視界はぼやけ、大勢の視線が少女の遺体を見つめ、悲鳴の声が、巧妙の声が、慌てる声が、耳にこだました
その日から少女は夢を見る少女の心を黒く染め上げる悪魔の夢を
息苦しい、、呼吸のままならい状態
必死に手を伸ばすのに、その手は呆気なく、空気を切るだけで、彼女の手には届かない
「砂奈_____砂奈____」
口の中が焼けるような痛みと鉄の味がした。
必死に叫んでも、砂奈は此方に振り向こうともしない。
「待ってよ、待って、私を置いていかないで
一人ぼっちにはなりたくない、
嫌だ嫌だ嫌だよ、砂奈、私は_____」
手を伸ばしても、届くことのない距離
叫べば叫ぶほど、悲しい思いが込み上げて、頬に涙がつたう
「___私を置いていかないで___」
悲痛な叫びだけがこだました。