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プロローグ

 目の前を見ると、都心から随分と離れた、穏やかな森林が広がっていた。



真夏の熱い日差しを浴びながらも、少しでも遠出気分を味わおうと、わざわざ足を運ぶ人も少なくないのだろうか。



テレビの画面に映る、都内のはずれにある森林の映像を流し見ながら、千里はそう思った。

報道番組なんていつぶりだろ、なんて、うだうだ考えながらも、ニュースの内容は全く入ってこない。だが、その理由は明確だった。千里の頭はその時、ある心配事でいっぱいだったのだ。


 

 数日前に、実家に用事があるからと出かけて行った母親が帰ってこない。連絡しても繋がらず、もう3日も経つ。そろそろ警察に連絡すべきだろうかと悩んでいたその時だった。



 大学に通い始めてからというもの、滅多に聞くことの少なくなった玄関のチャイムが鳴り響いた。覗き穴から外をのぞくと、知らない青年が立っているではないか。


 千里は、おそるおそるドアを開けた。すると、そこにいたのは、ボサボサな黒髪に、茶色のカーディガンを身にまとった落ち着いた雰囲気を持つ男だった。


「ど、どちら様・・・ですか・・?」


「僕の名前はあかつき 礼央れお。君は長江ながえ 千里ちさとだな?

君に頼みごとがあって訪ねてきた。話をしたいから、とりあえず中に入れてくれ。」



「へっ?ちょ、ちょっと」



 それだけ言うと、その男は返事も聞かずに中へと足を進めていく。先ほどまで千里がくつろいでいたリビングに着くと、無言でソファーに腰を下ろした。

 状況がきちんと飲み込めていない千里は、なぜか客人であるはずの目の前の男に向かいのソファーをすすめられ、無言で座る。


 初対面であるはずの彼と、なぜ自分はこんな気まずい雰囲気の中、こんな状況に置かれているのだろうか。そもそも家に入れてよかったのか。


 考えることはいろいろあったが、とりあえず、このよくわからない沈黙をどうにかしようと千里が口を開いたその時。



 沈黙を破ったのは、突然の来客・礼央が発した衝撃の言葉だった。










「単刀直入に言う。君の母親は死んだ。」







この衝撃の出会いが、残酷な事件の始まりだった。





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