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王宮騎士団16

作者: まめ

 『どういうことだろう? わざと、私に、子どもの時間を味わわっせるって?』

 セイガーの言ったことが、何度考えても分からヒューガは、首を捻る。だから、セイガーに疑問をぶつけてみた。

 「やっぱり、分からないんだ? わざと子どもの時間を味合わせるって、どういうこと?」

 「だいぶ、我慢したな?」

 聞かれることが分かっていたのか、セイガーは笑う。

 「だって、すぐ聞くなんて、悔しいじゃん」

 それを聞き、セイガーはもっと、おかしそうに笑う。

 「そっか〜、悔しいか。ヒスイが、お前に子どもの時間を味合わせるって、今はピンとこないかもしれんが、大人になればわかるだろう。それが、どれほど大事なものか。大人になって、初めて子どもの時間を懐かしむ。お前に後悔させたくないって、ヒスイの経験からだな。あいつも依然味わうことなく、たぶん成長しているからな。後悔した口だ。だから、お前には、その後悔をさせたくないと言う、思いからだな」

 「ヒスイありがとう」

 「どういたしましてかな」

 いつからいたのかは分からないが、ヒスイとジェイがいた。ジェイもセイガー同様呼ばれてきていた。ヒスイはにっこり微笑む。

 「私には、玉座に座る、重荷を変わってあげることが出来ないからね」

 「でも、聞かなきゃ。分からなかった。これじゃだめだね」

 「いや、逆にそれで良い。王となる者には、それが、必要だよ。お前はすでに持っているよ」

 頭が?マークになるジェイとヒュウガ。

 「分からないからと言って、すぐ聞くというのは、誰が、王か分からない。が、かと言って、そのままにしておいては、国は成り立たないし、臣下の声にも耳を貸せなきゃ、ダメだ」

 「難しいね」

 「でも、お前はそれをもう身につけているよ。安心した」

 「何が?」

 「お前は怒るかもしれないが、俺の中では、お前が歴代の王より輝くか、もしくは滅ぼすかのどちらかだと思った」

 「何故、僕が滅ぼすと?」

 「お前なら、綺麗に跡形もなく滅ぼすかっと俺は思った。それも、何の理由もなく突然やるだろうとね」

 「やらないよ」

 心外だと怒った風に言う。

 「ごめん、私もそう思った。理由なんて、本当にない」

 「え〜、ヒスイまでヒドい」

 「お前がやるときに理由なんていらない。理由があることも煩わしいと思うはずだよ。昔から、お前はそうだった。それが趣味のときは、徹底的にやったが、ある日、急に、興味なくなったと言って、道具を全部捨てたからな」

 ヒスイがそう言うと、カミューは、気まずそうに顔を逸らす。

 「そうかも、興味がある間はいいんだけど、興味なくなると、それに関連する教材とかもいらなくなるんだ。それに作った物も、困ったことにいらなくなる」

「そうかも」

 「それは完璧に完成してしまい、もう自分がやることがなくなり何もやることがなくなるからだ。つまり、つまらなくなるからだよ。だから、私が否定し続ける。みんなが、完璧だと認めても、私は認めない。それが、お前には一番いいだろう?」

 ヒスイが笑って言えば、カミューは頷く。

 「うん、ヒスイを認めさせるなんて、何かおもしろそう」

 俄然、やる気になるカミュー。

 「それでいい」

 ヒスイは安心したように言う。

 「何か、お腹空いてきた」

 と、言ってヒュウガは燃えて、そのまま下に行く。カミューは二人の言葉に納得する。

 「そう言うことなんですね? お二人が言ったわけ」

 「ああ、あいつが興味を持っている間は良い。ただ、完璧に出来てしまうと、途端に興味を無くす。無くすと今度は、徹底的に。それは、綺麗なまでに壊して捨てる」

 セイガーは、笑いながら、

 「でも、お前、あいつの扱い方うまいな」

 「そりゃ、双子ですから、何でも分かるよ」

 そう言ったヒスイ。だが、それが、これから起こることを暗示していたとは、ついぞ、思わなかった。そんなことになるなんて、この時のヒスイもセイガーもジェイも予想できなかった。

 新たな序曲が幕を開けようとしていた。


 それは、夏のバカンスに、セイガーとジェイも誘い来たときだった。

 「やっぱ、夏と言えば川よ」

 ヒスイが言うと、セイガーは、

 「それを言うなら普通、海じゃねえか?」

 「だって、しょっぱいじゃない」

 「だけど、その分浮くだろう」

 「潜るのに、浮いて何が楽しいの?」

 「さいですか」

 というわけで、川にやってきたヒスイ達。楽しく遊び、夜はバーベキュウと思っていたが、それは思わぬ出来事で中止となるとは、この時のヒスイ達は思わなかった。

 そこは人混みで、にぎわっていた。出店まで、出ている。

 「何で、王族がこんなとこ来るんだよ」

 「だって、水が綺麗じゃない」

 ヒスイはあっけらかんと言う。

 「誰か、警護する奴つれてこいよな」

 セイガーが言えば、

 「そんな人たちいたら、悪くて遊べないじゃない。それに、今回はセイガーとジェイがいるでしょう?」

 「俺達は仕事かよ」

 「頑張ってねぇ」

 ヒスイ達が、人混みを分けて、川に行こうとしたときだった。

 突然、ヒュウガがうずくまった。

 「え、ヒュウガ?」

 ヒスイは自分の前を歩いていたヒュウガに駆け寄る。

 その腹にはナイフが刺さっていた。

 「ヒュウガ」

 それに気づいた人たちから、悲鳴が上がる。

 「しっかりしろヒュウガ」

 ヒスイは抱き起こす。

 「セイガーは、この人達を逃がさず、名を聞け。ジェイは病院を手配しろ」

 二人はヒスイの、指示に従う。

 「誰か知らんが許さん」

 ヒスイは、怒りで目の前が暗くなる。

 「こっちらを王族と知ってか知らずか、どちらにしてもこちらに喧嘩を売ったに等しい。面白いじゃないか。その喧嘩買おう」

 不適にヒスイは笑う。

 その後、ヒュウガは病院に運ばれ、ヒスイたちも一緒に行った。行くのはもちろん、王族指定の病院。病院に行ったら、クロウドとユリも駆けつけた。その二人にヒスイは頭を下げる。それに、二人は驚く。

 「申し訳ない」

 「何で、ヒスイが謝るの? それより、あなただけでも怪我しなくて良かった」

 「良いや、私が刺されれば」

 ユリはヒスイを抱きしめると、

 「そんなこと言わないで、あなたもヒュウガも大切よ。どちらが大切ということはないわ」

 「ありがとう」

 ヒスイは頭を下げる。

 「どうして、そう思うんだ?」

 クロウドは聞く。

 「だって、私はたくさん生きてるし、ヒュウガは大事な跡取りだ」

 「そんなの私たちには、関係ない」

 「クロウド」

 「お前達は、どちらも私たちにとっては、大切な子どもだよ」

 ヒスイは、天井を見つめる。それが、涙を隠すためだと、気づいたのはクロウドだけだった。

 「お前は、昔から生きにくいな」

 「ああ、理由は分かっているが、でも今回は許せん」

 ヒスイが、神からの喧嘩を買った瞬間だった。

 これまでは、黙認していたが、『それなら、自分にやればいい。どうして、ヒュウガにやる。怒っているなら、私にやればいい。ルール違反だろ』ヒスイは、フツフツと怒っていた。『もう、やめようや。私たちの喧嘩に他の人が巻き込まれる、理由はない。そろそろ、決着付けよう。お前も、いくら無限に命があると言っても、もう、飽きただろう』

 と、ヒスイは思う。

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